「転」がすべて てまきねこ1601
てまきねこを書くために「エッセイの書き方」を研究した。エッセイスト曰く「アマは自分が書きたいことを書くが、プロは読者が読みたいことを書く」。テーマの選択・論旨の展開において読者の好奇心を満たすような工夫をするらしい。別のエッセイストは「起承転結の転から考える、転がすべて」。
私もプロとして文章を作ることがある。授業のプリントは、私の書きたいことではなくて生徒に教えなければならないことを書く。時間はかけない。授業の進行に合わせると一枚のプリントを二時間以内に仕上げる必要があるからだ。
趣味の写真集を作るときは、好きなテーマを選んで素材を集め、文章にも時間を惜しみなく投入して最善をめざす。完成した写真集は「こんな本、売れるのか」と言われるが、それでもネット経由でパラパラと注文がやって来る。目標は印刷費の回収、赤字の回避。
この文章はその中間、あいおいライフに掲載という縛りがあるので紙面にふさわしいテーマを選ぶ。難しいのは読者の設定。授業のプリントは高校生が理解できるように、写真集の解説はテーマに関心と知識のある人が読んで面白いと感じるように書く。てまきねこは?。
縛りがあるのでプロの仕事のようだが、授業用プリントとは比較できないほど時間をかける。私的(わたしてき)には、てまきねこは趣味の範疇(はんちゅう)の作品になる。今年も、季節感があって、少し社会性があって、自分が扱ってみたいというテーマで、読んだ人が「なるほど」と共感するような転(新しい視点)のあるエッセイを書き続けられたら良いなと思う。