バス夜話
てるる詩の木(うたのき)工房メールマガジンへようこそ！Vol,23
2023年12月23日号
こんにちは。
てるる詩の木(うたのき)工房、高良のり子です。
昨日は冬至、一陽来復の日。
今日は旧暦12月1日、新月です。
暖かい沖縄でも「冬至寒さ」（トウンジービーサ）といって
毎年寒さが訪れます。
そして「ジューシー」という炊き込みご飯を
お供えします。
皆様どのような冬至をお過ごしになったでしょうか？
今回は「バス夜話」です。
最近娘が落語を面白いとよく車で聴いているようです。
買い物に行くときに一緒に聴いてみました^o^
今回は歌丸さんの「井戸の茶碗」でした。
正直者の清兵衛さんという屑屋（くずや）さんが
年老いて貧しい浪人から預かった仏像を
若いお侍さんに300文で仲介をしたところ、
古ぼけた仏像から50両もの小判が。
正直な二人はお互い受け取らないと言い合い、
最後は浪人の娘さんと結ばれる
ハッピイエンドの人情噺でした。
「お父さんの聴いた話そっくりだよ！」と
いうのが今回の話です。
輝幸が20代のころ
岐阜県のヤイリーギターに勤めていました。
その頃彫金にも興味があり、
仕事が終わると名古屋まで教室に通っていたそうです。
バスで片道一時間余り。
長い時間は勉強できませんでしたが
いつも最終バスで帰っていたそうです。
バスの運転手さんはいつも同じ人。
お客さんも輝幸一人。
ある時運転手さんが
「お客さん、いつも遅くまでお仕事ですか？」と
聴いてきたそうです。
ギターを作っていて、
名古屋へは彫金の勉強をしていることを話すと
「お客さんいい趣味ですね」
そこで運転手さんは何か趣味をお持ちですか？と尋ねると
骨董集めが趣味で、乾山も持っているとのこと。
「かの有名な尾形乾山ですか、光琳の弟ですよね。」と輝幸。
気を良くしたのか、こんな話をしてくれたそうです。
・・・
ある時なじみの骨董屋さんへ行くと
なんだか気になる茶碗がある。
どうしても気になって譲ってくれないかと話すと
この茶碗は５つ揃いで、
全部で2万円ではどうか、ということで早速購入。
とても気に入って
家族で毎日お茶を飲んで愛用していた。
ある時骨董仲間の友人が訪ねてきて
その湯飲みでお茶を出したところ
なんだかちょっと気になるから少し貸してくれないかと
預けることとなった。
後日友人が興奮した口調で電話をくれた。
「調べたらどうもあの茶碗は大変な代物だよ！」
（運転手さんが言うには、金額について詳しくあなたには言えないけど
一つでも国産高級車が一台買えるくらいの値段だったんだよ。）
それを聴いてもう運転手さんは
仕事を終えて家に戻るまで
気が気ではなかった。
家のやんちゃ坊主が割ってしまっていたらどうしよう！
幸い無事で、運転手さんはすぐに骨董屋さんへ向かった。
「この前買った茶碗は大層な値打ちものだ。
とても2万円で買えるようなものじゃない。
返すから2万円を返してくれ！」
骨董屋さんは
「いや、あんたがのことが気に入ったから売ったんだ。
2万円は返さないよ！」の一点張り。
何度言っても受け取ってもらえず、
仕舞には根負けして、
今は大切に包んでタンスの奥にしまってある。
・・・
落語さながらの話って本当にあるんですね。
輝幸も落語が子どものころから好きで
良く聴いていたそうですが
娘が興味を持ってくれたことも
今回嬉しかったです。
＊今回もてるる詩の木(うたのき)工房メールマガジンを
ご購読いただきありがとうございます。
今年一年の感謝を込めて改めてお礼を申し上げます。
そして新しい年も皆様方にとって
良い一年となりますように。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
私たちは沖縄県うるま市で、 楽器を制作する工房です。
2002年より、 厳選した沖縄の木を用い、
手加工で竪琴・ライアーをはじめ
心を込めた手作りの楽器をお届けしています。
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編集後記
古の人は夜が一日のスタートだと考えていたそうです。
工房も楽器のいろいろな仕込みや、来年へ向けて動き出しています。
今年一年ありがとうございます。
どうぞ皆様良いお年をお迎えください！
（のり子）
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