MX Master 3を静音スイッチに換装する
MX Master 3を常用している。とても良いマウスで、これまで発売されてきたMX Masterシリーズと比較しても最上級であることは間違いない。特にMX Master 3から採用された「マグネティック・ホイール」はさわり心地も挙動も静音性も完璧だった。
しかし、何年経ってもLogicoolのマウスは音が五月蝿い。フラグシップモデルであるMX Master 3でさえ左右のクリック音は「カチカチ」と安物マウスと同じ響く音がする。これをなんとかしなければいけない。早速MX Master 3を静音化することにした。
……のだけれども。
中国の業者に注文した静音スイッチが届かない、届いても換装改造が面倒で着手しない、改造してもnoteにまとめるのが億劫で放置していた結果、MX Master 3の静音モデルであるMX Master 3Sが発表され、且つ発売されてしまった。この記事はそんな戒めも込められている。
必要なもの
必要なものは前回テストで改造したMagic Mouseの時と変わらない。一度必要なものを揃えてしまえばマウスの静音化改造は何度でもできる。よければ前回の記事も参考にしてほしい。
1．Kailh 静音 マイクロスイッチ
Aliexpressで購入できるKailh制の静音マイクロスイッチを使用する。日本Amazonでも注文できるが値段が10倍ほど違う。同じ値段を支払うのであれば内容量が多いAliexpressで注文するべきだ。
2．ピンセット
お薦めのピンセットはコレ。ホーザン製のピンセットにはいくつか種類があるが肉厚のタイプが特にお薦めだ。剛性が高いため小さなものを摘んでも弾いて飛ばしてしまう心配が少ない。
3．ハンダゴテ
マウススイッチの交換に必要不可欠。高いハンダゴテは必要ではない。40W程度の入門用ハンダゴテで十分対応できる。
MX Master 3を改造する
必要なものが揃ったらMX Master 3の改造に着手しよう。
まずは分解
MX Master 3の分解を行うにあたり、底面のソールシートを3枚剥がさないといけない。シートは両面テープで接着されており、それを爪などで引っ掛けて剥がす必要がある。
ソール内のネジはプラスドライバーで、USB-Cコネクタ付近のネジはトルクス5ドライバーを使って取り外せる。ネジを取り外したら底面と上部カバーを外していく工程に移る。
底面と上部カバーの固定部分を外すと取り外せるようになる。しかし、このタイミングで持ち上げてしまうとサイドボタンや水平スクロールスイッチと繋がるケーブルが断線してしまう。まずは観音開きだ。
バッテリーコネクタまで取り外せたら、バッテリーを固定している3本のネジをドライバーで取り外す。するとバッテリーを基盤から取り除ける。
次に基盤上部を固定しているマグネティック・ホイールを取り除いていく。マグネティック・ホイールは基盤に2つのケーブルで固定されているので、まずはこれを外さなければいけない。
ケーブルを取り除いた後は基盤上部にある2つのネジを外せばマグネティック・ホイールパーツ一式を取り除くことができる。
あとはマウスの基盤を底面から外していくだけとなる。5つのネジで基盤が固定されているので全て外してしまおう。
左クリック部分は非常に脆いケーブルで固定されているだけなので切断しないよう、この後の作業でも注意が必要だ。
左右スイッチの交換
取り外した基盤にはオムロン製のマウススイッチが取り付けられている。この2つのスイッチを外し、Kailh製の静音マイクロスイッチを取り付ければ静音化改造は完了だ。
オムロン製マウススイッチは3本の足で固定されているが、Kailh製静音マイクロスイッチは2本足で作られている。基盤手前側の穴が1つ余ってしまうが動作に影響はないため気にしなくて良い。
無事に静音スイッチに交換できたら分解した手順を辿って組み立てる。これだけでMX Master 3が静音化された。
静音効果について
MX Master 3の静音効果については以下の動画で確認できる。手元に未改造のMX Master 2Sがあったので、これと比較する形で撮影を行った。MX Master 2Sも3と同じオムロン製マウススイッチを採用しているため音は基本的に同じだ。
左右クリックの音が劇的に軽減されていることが分かる。私は未購入だがMX Master 3Sも同程度（というか同じスイッチ）と推測できる。残念ながらマグネティック・ホイールを押し込んだ場合の「カチッ」という音は静音化できていないが、それ以外の操作では五月蝿い音がならない。できれば交換したいのだが代替品情報が見つからないため現状は保留。情報を持っている人がいれば教えてほしい。