チリツモ方式でコツコツとなが〜く学ぶ
Twitterで付添犬のことがあがっていたので少し書いてみたくなりました。
裁判所で証言をする子どもたちに付き添う犬↓
日本介助犬協会さん、日本初となる付添犬の育成と活動協力をしています。
また、付添犬実現のために昨年夏にReadyForでクラウドファンディングをして、無事にネクストゴール達成しています↓
日本介助犬協会は、日本で初めての病院で勤務する「勤務犬」活動もされています。入院している患者さんたち(大人も子どもも)の不安に寄り添い治療を促進する役割を担う犬たちです。
高齢者施設などには訓練を受けた犬が定期的に巡回して、入居者の方たちとふれあい、リフレッシュや心の支えになっている、いわゆるAnimal Assisted Activity(AAA)は、ご存知の方も多いでしょう。
その病院版がAnimal Assisted Therapy(AAT)。Therapyですからそれは治療の一環。担当医からの指示があった患者さんに勤務犬が手術室入室に同伴したり、苦痛を伴う検査に勤務犬が同室するなど。一般の人はもちろん、家族でも同伴できない場所にも医師の処方として犬が同席できるわけですね。
定期的に手術しなければいけない病気をもった子どもさんに、勤務犬(ミカという名のオスのスタンダードプードルでした)が一緒に、手術室に入室し、子どもさんが手術台に横たわり麻酔が効いて眠るまでそばに付き添ったエピソードなどはメディアでもとりあげられました。手術室は家族でも入れない場所なので、エレベーターホールでお母さんにバイバイする場面は、見ていてもせつないものがあります。そんなとき、ミカがいてくれて、ニコニコで手術室に向かう我が子を見送れる親御さん。この勤務犬という存在は、患者さんにも家族にも心強いものでしょうね。
ミカのことを本に書いてくれた人もいらっしゃいます。
犬の中にはこのように、人間ではなかなか難易度が高い任務を本人(本犬)はそれと意識することなく、難なくやり遂げてしまう、そんな人並(犬並)外れた能力をひそかに持っている犬がいるんですね。
もしかしたら、イヌという種の特殊性ゆえ多くの犬にはそういう能力が潜んでいるのかもしれません。それをうまく見つけ出して引き出してあげるのが、犬のプロであるハンドラーやトレーナーさんの仕事なのでしょう。
まさに、犬と人の協働なしにはできない仕事です。こうやって、犬は人と「共に」いろんな仕事をこなすことができる稀有な動物です。
実は、うちのパブロフもミカと同じ協会出身なんですヨ。
パブロフも現役時代は、小学校や企業研修などに出向いて、介助犬のお仕事をデモンストレーションしたり、『オレら、ちょっとでかいけどコワくないよ~。』って(犬が言ったかどうかわかりませんが)子どもさんになでなでしてもらって、へそ天でおどけて見せたり、そういうお仕事をしていました。
彼らにはちゃんとスイッチがある。オンとオフ。
仕事終わってマイホームではいたって普通の犬です。疲れたら、でれ~んと床でひっくり返ってるし、かいぬしの目を盗んで、いたずらしたり、爪切りやシャンプーを「ヤダヤダー」ごねたりもします。
ピンポンに「ワン!」と吠えることだってある。
でも、お仕事しない犬だって、家族のために何かできることはないかと、警戒吠え任務を頑張っているのかも。
ただ、ちょっと人間社会で暮らすには不都合なときがあるので、そのときは、犬とよくよく話し合って、「こうしてくれる?」を教えてあげる。それを人は「しつけ」と呼びます。
相手は犬なので、人間の言葉はわかりません(短い言葉はだんだんと理解してコトバが通じるようになりますけどね)。
だから、わたしらHomo sapiensのほうが、イヌについて勉強してどういうふうに教えたら良いか知恵を蓄積して…。勉強ったって、大学受験だの公務員試験だのみたいな、夜っぴて猛勉強じゃなくてチリツモ方式。毎日こつこつ、ちょっとずつ歩んでいけばいい。
なにせ、文字で読んだ知識を目の前にいる犬本人が再現して見せてくれるわけなので、習得はしやすいと思います。百聞は一見にしかずのチリツモ。見たものをあとで本で確認してもいいし、逆でもどっちでもオッケ。
ワタクシの場合は、その勉強が面白すぎて中毒になった人。犬学はいまやライフワークとなり、このまま犬を学びつづけた先にどんな世界が見えるのか、突っ走れるところまで駆け抜けたい!
なんだかんだとわれわれ人間に力を貸してくれる犬たち。
われわれ人間のほうは、犬に十分尽くしてあげられているだろうか?
犬らしさをだいじにしてあげられているかな?
「しつけ」と称してむやみに人間仕様を無茶ぶりしてないかな?
今日も読んでくださってありがとう。