縁の下にいた犬との想い出
子どもの頃、犬を飼うのが夢だった。
今は考えられないけど、
私が子どもの頃、段ボールに入った仔犬や子猫を
公園の生け垣で見つけることは珍しくなかった。
その度に、母に相談したが、一回も承諾を得ることはなかった。
いつも、いつの間にか、
仔犬や子猫たちは姿をけしていったけど、
その中で、一匹、
中型〜大型の
白い毛に腰の一部分茶色のメスの犬だけが
いつもどこからともなく現れ、懐いてくれた。
友達とロチャ(シロのロとチャイロのチャを合わせた名前)と名付け
こっそり残して持ち帰った給食や
家から持ってきたオヤツをわけると
美味しそうに食べてくれる姿が嬉しくてたまらず
毎日、一緒に遊び、とても可愛がった。
そんなロチャが
ある日、友達の家の縁の下で赤ちゃんを産んだ。
ビックリし、戸惑ったけれど
頑張ってお母さんになったロチャを
応援したくて、
より一層給食を持ち帰ることに力を注ぐことを決意した。
ある日、いつもの通り、コッペパンをお土産に
「ロチャ!ただいま!」
って、縁の下を覗き、声をかけたけど、
仔犬たちも、ロチャの姿もどこにもなかった。
次の日も、またその次の日も
子どもながらに、事を理解するのに
そんなに時間はかからなかった。。。
いつも、どこか淋しく、不安で
日常に小さな光を探していた子ども時代。
注いだ愛に素直に喜びで反応してくれた
優しく、賢く、逞しいロチャから
心に栄養を与えてもらっていたのは
痩せっぽちの私のほうだった。
あれから40年近く経ち、
今、性格がロチャに似た優しいメスの犬と暮らしている。(ロチャよりずっと臆病だけど)
一緒に散歩して、
温かい毛布でくっついて一緒にお昼寝して
ロチャとやりたかったこと、、、
夢が叶ったな。