就活に、いや採用に透明性を #ES公開中
「対策してくる学生って、何か嫌なんですよねぇ」
2年前、僕が今の会社で営業をしていたときに、商談相手の新卒採用担当の人に言われた言葉を、今でも覚えている。
その時は何を言ってるのか理解できなかった。今は、悲しいかな、理解できるようになった。
その人は、対策する学生が嫌なんじゃなかった、進化することが嫌だったんだ。
今は、そう解釈している。
新卒採用マーケットは、何十年間、ずーっと進化が止まっている。原因はシンプルだ。
①毎年、就活生は「素人」だから(当たり前)
②ずっと新卒採用だけやってる人事は、毎年「素人」相手に仕事できるから
③職業選択という大事な意思決定をするには、情報があまりに不透明だから
そして、①、②の状態が一向に改善しないボトルネックは明らかに③だ。
「情報が不透明であること」
これがこのマーケットの進化を止めている。
これまで、就職活動において学生がアクセス可能な情報は両極端だった。
脚色された自画自賛求人情報と、真偽不明の匿名の個人によるゴシップ
これだけの情報で、いきなり職業選択を迫られても到底無理な話だ。
他の産業では「嘘がバレる」のはすでに当たり前
飲食マーケットにおいては、食べログやRettyが生まれ、ぼったくり飲食店が減った。認知と体験のネガティブなギャップはレーティングを下げていく。
結婚式マーケットにおいては、みんなのウェディングが悪徳結婚式場を。
不動産マーケットにおいては、マンションノートが悪徳不動産屋を。
Amazonしかり、Airbnbしかり。
他の産業では、個人が意思決定の質を高められるように、マーケットが進化してきた。体験をした個人が確からしい情報をストックし、それを別の個人が参考にして、また体験のログを残す。法人は言動不一致をごまかすことができなくなり、結果嘘がバレる。
採用マーケットはどうだろうか?
「若手のうちから活躍できます!」
「アットホームな社風です!」
「成長できるインターンを提供しています!」
「女性が活躍しています!」
求人広告には今日も美辞麗句が並ぶ。かっこいい採用サイトがいっぱいある。本当かもしれないし、嘘かもしれない。
ただ、これの真偽をいちいち確認する時間と気力のコストは、学生にとってあまりに大きい。特にキャリア教育の土壌が発達しなかった(しなくてもよかった)この国においては、ほとんどの学生がキャリアイメージを持てないまま、一瞬で一生モノの選択をしなければならない。
「やりたいことがわからない」
悩まなくていい。当たり前だ。仕事の疑似体験の機会がなかったんだから。
じゃあ、どうすれば「嘘」を見抜けるのか。
ぼったくり採用をなくすために
企業は大きく4つに分けられると考えている。
就職活動において、学生の目に飛び込んでくるのは上半分だ。いわゆる就職人気ランキングは札束の叩き合いで決まっている。不器用企業には比較的小規模な企業が多い。ノーチャンスだ。
僕らのような新卒マーケットにいるプレイヤーは、本来なら、嘘つき企業の嘘をちゃんと開示し、不器用企業に光をあてることをしなければならない。
ここにジレンマがある。嘘つき企業はけっこうお金持ちだ。湯水のように「学生への見せ方」にお金を払う。お金のためだけに嘘をつく求人メディアなんていっぱいある。ただ結局、中身が伴っていないので、新入社員はすぐに辞めていく。
その事実は、これまでは次の年度の素人就活生には(一部の先輩のツテがある人にしか)伝わらなかった。毎年同じ悲劇が起きるのはこのためだ。
VORKERSという救世主
昨年、国内のHR業界で最も話題を呼んだニュースのうちのひとつが、リンクアンドモチベーションによるVORKERSの買収だった。リクルートのグラスドア買収(海外の口コミサイト)と並んで業界を揺るがす大きなニュースだった。
これでやっと、採用マーケットは「嘘がバレる」ものになり始めようとしている。
僕らも当然、クチコミを貯めている。
学生は、企業のアピール内容と、選考を受けた先輩のクチコミ、社員のクチコミ、退職者のクチコミを見比べることができる。矛盾する点や、懸念点があれば、選考時に確認することができる。
例えば、オワハラ(他の企業の選考を辞退しなければ、選考を進めないなど)をしている企業は、ワンキャリアのレーティングが著しく低い。食べログでいうと1.0だ。「他の店に行かないと誓わないと料理が出てこない」そんな店には誰も行きたくない。
2月にNewsPicksとVORKERSとONE CAREERでちょっと変わったコラボをしてみた。
学生の人気度 × 社員の働きがい度
VORKERSとONE CAREERの持つデータを掛け合わせて、採用プロモーションと社員評価の一致状況を分析した。いわゆる就活ランキングとは全く異なる結果になった。是非見ていただきたい。
ではなぜ #ES公開中 なのか
僕らは、就活がもっと透明なものになることを願っている。
シンプルに「書き方」を身につける時間を、「自分が書く内容」と向き合う時間に使ってほしい。そう願っている。このマーケットはとにかく学生にとってノイズが多い。
「絶対に受かるエントリーシートの書き方!」とか、不安につけこんだ適当な内容の就活コンサルタント(笑)の本が書店には何十冊も並んでいる。てテキトーな就活塾(笑)の月謝は10万円を超えるものもある。
そんな「就活でしか使えない方法論」に、大事な時間とお金と気力を使ってほしくない。
自分の過去について振り返ってみたり、未来について考えたり、仲間とそれを語ってみたり、社会に出て少し冒険してみたり、もっと大事なことに使ってほしいのだ。
でも、なぜESなのか?
この国の雇用を、まず新卒採用のマーケットをもっと透明性のあるものにしたい。そう願ってこのメッセージを発信している。
でも、それをそのまま言っても「そうだよね」で終わる。
「就活のブラックボックスをなくすべきだ!」とか
「企業はもっと学生のキャリアに向き合うべきだ!」とか
「採用はフェアにやるべきだ!」とか
もう、実行意志のない夢見心地の綺麗事は、聞き飽きたんですよ。
何も変わってないじゃん。ずっと同じこと言って。
「就活のブラックボックスをなくすべきだ!」⇨「そうだそうだ!」
「採用は透明性をもってやるべきだ!!」⇨「そうだそうだ!」
「じゃあ、例えばES公開してもいいですか?」⇨「う、コピペが増えるじゃないか!」
…
心から、そうならないことを願っている。
抽象的な美辞麗句だけ言ってても何も変わんない。言ってる自分が気持ちよくなってるだけ。
本当に就活とか雇用が透明化してフェアになるのを望むなら、何か具体的なアクションおこさないと。何も変わらない。
ぶっちゃけESは超各論です。起爆に過ぎません。
あ、ちなみに今はIBMという企業が開発したワトソン君という優秀なAIがいます。ワトソン君すごい賢いです。コピペそっこーバレるので、内容丸パクリは悪手です。書き方は参考に、内容は自分で考えてくださいね。
話を戻します。
上位概念として、このアジェンダを実行していきます。
僕らはこれから、これに沿っていろんなことをやり続けます。
全て、この国の雇用に透明性をもたらすためにやります。まずは、 #ES公開中 に対する社会の反応を見てみたいと思います。
少しでも賛同いただけたら、力を貸してください。声を聞かせてください。アクションを起こしてください。
この国の雇用を、もっと透明なものにするために。
学生の皆さんへ
ESに関する本音や、透明化したほうがいいと思うことなど、是非教えてください。きっと言いにくいことがたくさんあると思います。#ES公開中 がついたツイートは全部見ます。今後のために、声を聞かせてください。
渋谷の銀座線の改札付近にあります。近くにいますので遠慮なく声かけてください。
企業で採用に関わる皆さんへ
学生が「受かるため」ではなく、「キャリアを考えるため」に時間を使ってほしいと考えています。就活の透明化や、学生に対する応援メッセージがあれば、Twitterの #ES公開中 のツイートで、お寄せください。#ES公開中 のツイートは全部見ます。
Twitterアカウントはないけれど、応援メッセージをいただける企業の方へ、ONE CAREERや僕のTwitterアカウントでメッセージを伝えます。
メッセージをいただけると幸いです。
応援してくださる皆さんへ
是非、共に意見を発していただけると嬉しいです。今後、就活や、雇用の透明化がどのように進むのがよいか。透明化しない問題点や、提言。ご感想など、なんでも結構です。 #ES公開中 でのツイートは全部見ています。
最後までご覧いただきありがとうございました。
ソーシャルアカウントは解放しています。気軽に遊びに来てください。