リクスーいちばん売ってる会社が「リクスーやめよ」って #きがえよう就活
ひさしぶりにnoteを書いています。
令和は本当にいろんなことが起こります。
きっと長い間固まった「こうあるべき」という正義を、外圧で壊したり、溶かしたり、そうでもしないと固まったものがなかなか変わらないから、神様が見かねて帳尻を合わせにきてるみたい。
そんなふうに思います。
令和は多様性の時代
いろんな変化がありますが、ひとつは多様化だと思います。ジェンダー、年齢、外見、考え方、いろんなものがあっていいよねという空気は確実に生まれているように見えます。
というよりは、実はもともとみんな多様な考え方をしていて、それを言いやすい空気になったという方が適切かもしれません。
一方で、「みんな違ってみんないい」とはどういうことなのか?いきなり多様であっていいと言われて困惑しているのも確かです。
「なんでもいいって言うからこうしたのに!」
とか
「同じ人ばかり集まってて多様じゃない!」
とか
「いきなり自由って言われても困る」
とか
「みんな違ってみんないい」は、多様性初心者(というか長いブランク明け)の私たちには、いきなり言われても難しいことだらけです。
自由って言われたら困るからやめてほしい。
もう3年前になりますが、自由をテーマにしたソーシャルムーブメントに関わる機会をいただきました。
P&Gのヘアケアブランド、パンテーンが「#令和の就活ヘアをもっと自由に」を謳い、就活ヘアの自由化を139社の賛同企業と共に進めたものです。今僕がいるワンキャリアという会社も共感しプロジェクトに協力していました。
当時、内定式のためだけに黒染めをしないといけなかったり、就職活動の期間中だけ自身のスタイルを隠さないといけなかったり。違和感を感じる声は多くありました(今はオンライン化や時代の流れもあるし、少しは和らいでいることを願っています)。
外見も内面も自分らしくいたいけど、自分らしさを見せることによるリスクが大きすぎる(というか読めない)というのが、多くの就職を控えた大学生の方々の本音なのではないでしょうか。
今の就職活動は、個性を抑えてしまうシステム
髪だけでなく、やはり今の仕事選びのシステム(就職活動)はどうしても、求職者の個性を抑えてしまうシステムだなぁと思うことはまだまだあります。
大学生の方とお話しすると、今もこんな声が聞こえてきます。
「初対面の人になかなか本音は言いたくない」
「本気で頑張ったことを正直に言ったら笑われた」
「人生で辛かったことを言ったら、こうしたらよかったんじゃないの?とダメ出しされた」
「本当に気になることを聞いたら、面接で不利になりそう」
などなど、未だに大学生の方々が本音を伝えて傷ついているシーンに出会います。
誰が悪いとかいうよりは、やはり仕事選びのあり方やシステムの構造自体を時代にあった新しいものにしていかないといけないと、このマーケットにいるとつくづく思うのです。
「寺口さんに参加してほしいプロジェクトがあります」
そんな中、一通のメッセージが届きました。
中山さんでした。彼とは腐れ縁で、4年前にいきなり「話がしたい」と言われ、関西からわざわざスーツケースを持って会いにきてくれました。
そんな彼はユーザベースグループで仕事を始め、結局初対面の時からずーっと何かしら一緒に仕事をしています。そんなことあるんですね。
話を聞いてみると
「青山商事がリクルートスーツの自由化をしようとしていまして」
とのこと。
すごいなと思いました。
僕はブランドアクティビズムという考え方が大好きで、なんかいいことを言うだけじゃなくて、ちゃんと覚悟を持ったアクションが伴っているブランドが好きです。
ナイキやPatagonia、LUSHがすぐ浮かびますね。
今、支持されているブランドは表面的ないいことではなく、常に自分たちの哲学に沿ったアクションを続けています。
プロモーションとしてうまい!という評価の声も聞こえてきますが、パブリックリレーションズに関わりつづけている一人として言えるのは、見せ方の技術だけでここまではできないということです。尖ったコミュニケーションというよりは、ちゃんとブランドの哲学やキャラクターを守ってきて、それがたまたま尖って見えたというだけなんじゃないかなと思っています。
そんな中で、今回の青山商事が考えていることを聞いた時は、なんだかとても嬉しくなりました。
だって、リクルートスーツを一番売ってる会社だから。
むしろ今だけ切り取って見ると、諸悪の根源のように見えていたので(ごめんなさいw)
でもよくよく話を聞いてみると、青山商事は実はいいことをしてきた会社でした。
この理念のとおり、創業58年の会社ですが、当時はスーツはとても高価な商品で、多くの人は着たくても買えない、着ないといけないが買えない状態だったそうです。そんな時代に、働く人のために働こうという気持ちで安価なスーツをたくさんつくって多くの人がスーツを着れるようになったそう。
なので、働く人が必要としているものをつくって働く人たちに提供してきた。そんな物語がありました(全然知らんかった)。
でも、時代は変わります。
みんな一緒から、みんな違ってみんないいへ。
そんな中で、変わらないといけない、でもなかなか変われなかった。そんな話を聞きました。
個人個人は変えていきたくても、会社となるとなかなか身動きが取れない。
「もどかしい。」
働いている人は、きっと多かれ少なかれ、そんな葛藤を感じたことはないでしょうか。
青山商事の方々がその正直な思いを「自分の言葉で」ちゃんと語っています。
企業の一社員が自分の正直な気持ちをメディアで話すのはとてもとても大変なことなのです。(特に大きな企業の広報の方は、このインタビューを出すのがどれだけ難しいかわかるのではないでしょうか)
星川さんが一生懸命書いたnoteも読んでほしい。
大きなものを動かすというのは、とても大変なことで、変えてみたいではなかなか変わりません。まずは自分のこれまでを顧みないといけないし、変わる途中のもがいている姿を見せないといけない。悔しいこともたくさんあるでしょう。
相当な勇気が必要だし、胆力もいると思います。コスパだけ考えるとサラリーマンはやらない方が得だと思う。
でも、そこには、それをやろうとしている人たちがいました。
気持ちはあるけど、やり方がわからない。
でも気持ちはある。
「初めてスーツを着る体験が明るい気持ち出会って欲しい。」
「ちゃんとお客さまの声に向き合いたい」
プロジェクトメンバーの方々が言っていたのは本心に聞こえました。
何ができるかわからないけど、求められているからには、何か力になりたい。そう思いました。
仕事は大変なこと面倒なこともたくさんありますが、たまにご褒美があります。
それは意志のある人たちと仕事ができることです(僕にとっては)。
意志のある人たちとの仕事は、だいたい前例がなく、だいたい反対され、だいたい3歩進んで2歩下がるの繰り返しです(たまに4歩くらいさがる)。
でもいいこともあって、みんなで喜び、みんなで悔しがり、感情を共有し、時間を共有し、大人になっても友達ができる。そんな感じです。
実際に共創コミュニティのシン・シゴト服ラボは、大学生からベテラン、老若男女、いろんなことやっている人たちが出入りしています。立場、役職、年齢関係なくフラットにみんなで話しています。
「どうしたら、大学生が服装のことで悩まずにすむだろう」
ずーっとこのテーマについて話して、企画をつくっています。
楽しいので気になる人は入ってみてくださいね。
始まったアクション
2022年7月14日、やっと一歩目のアクションが出ました。(1年以上前からそれはそれは大変な調整がたくさんあったようです)
仕事選びの服装の自由化に向けてやっと踏み出せた一歩です。
みんなの服装を見える化することで
「自由な服装でお越しください」
で大学生の方々が困らないように。
当事者たちはみんな気づいてる。この状況は変わった方がいいこと。
でもうまく伝わらない。個人では気づいているのに、みんな身動きが取れない。
じゃあ、そういうことをちゃんと腹を割って話す機会を、リクルートスーツを一番作っている会社が、腹括ってやりましょうよと。
そんな感じのプロジェクトです。
まだ、ほんとに始まったばかり。きっと変わるはず。
はじめて仕事を選ぶときの気持ちが、少しでも前向きで明るいものになるように。
これからみんなで変えていきましょう。