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読書記録『個性化とマンダラ』(ユング)

本書は、ユングが行った講演をまとめたもの。

C.G.ユング『個性化とマンダラ』

西洋哲学、聖書、神話、東洋の仏教やヨガ哲学、コーラン、さらには錬金術の本質にも触れられており、とにかく中身が濃い。

わたしが確認したかったのは、西洋占星術に関する記述。
本書を読むと、ユングが西洋占星術に深く通じていただけでなく、精神分析のシーンで実際に活用していたことがうかがえる。

本書を読んで、「ホロスコープを読み解くことは、無意識を意識化させ、自分を理解する糸口になり得る」、という確証を得た。

ユングは、X夫人が描いたマンダラアートについて下記のようなコメントを残している。ここから、X夫人も西洋占星術に精通していることが分かる。

X夫人は蟹座の最初の度数(約三度)のあいだに生まれた。彼女は自分の生まれた星座を知っていたし、生まれた時刻の意味を完全に意識していた。すなわち彼女は、昇っていく黄道帯の度数によって誕生時の星座のその時々の個性が左右されているということを知っていた。

C.G.ユング『個性化とマンダラ』

訳者である林道義さんは、チューリッヒのユング研究所への留学経験もあるユング心理学の大家である。林さんは、個性化とマンダラについて以下のように説明している。

ユングのいう「個性化」とは、無意識を統合し、個性的で自立した個人をつくるということである。もともとサンスクリットで「円」という意味をもつマンダラこそ、この「個性化」のシンボルである。

C.G.ユング『個性化とマンダラ』

専門性の高い難解な講演録だが、本質が大凝縮された本だと思う。また折に触れて立ち戻り、理解を深めていきたい。

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