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世界の希望と絶望が交差する時、あなたはどちらを選ぶのか_第1話

もし今、この国で戦争が始まって、国が滅びたら、あなたはどうしますか?いつ死ぬか、いつ殺されるかもわからない中、あなたはどう生きますか?





西暦2022年、1月1日、陽海共和国のとある戦場の町の最前線にて

「もう絶望的か……」

銃声が鳴り響く市街地で、一人の少年は呟いた。

「13年間、長いような短いような、自分が生まれた時とは世の中も全く違うしな…」


西暦2021年12月16日、隣国である紅平社会主義共和国に宣戦布告無くして侵攻された陽海共和国は、圧倒的軍事力と国内の反戦勢力の前に為す術なくして、各所で敗退を繰り返していた。

戦争のきっかけと言えば小さな離島一つの争いであったが、それがいつしか陽海共和国の本土が狙われ、全面戦争に発展していた。

本土の大半が大量破壊兵器によって荒廃し、敗戦色の漂う陽海共和国。世界の列強各国は自国への被害と、この戦争に干渉した先に待つ世界大戦を恐れ、傍観していた。

陽海共和国は2週間余りで国土の3分の2を失いながらも徹底抗戦を続けていた。しかし、それは無理なもので戦死者が増えていくだけだった。

「この先に我が国の勝利がある!突撃!」士官が叫んでも、突撃をしに行く者はいなかった。前線へ向かわされたは兵士はこの町を守り切ることが唯一の目標であったため、士官のことなど気にしていなかったのである。それもその筈、政府の失策により避難が遅れたこの町では、13歳以上の健康な男子への徴兵命令が出ていたが、それは国ではなく愛する家族を守るためだけの戦いだったからである。

占領地では住民が虐殺され、安全だと思われていた土地でも大量破壊兵器によって焼け野原になっていた。

そして人々はこの戦いを陽海共和国の滅亡へのカウントダウンとして「最終戦争」と呼んだ




-2022年1月1日-


「13年間、長いような短いような、自分が生まれた時とは世の中も全く違うしな…」

少年は一人そう呟いて、最前線に出て突撃を行った。そして、当然ながら銃撃を受け、その場で倒れこんだ。

「…せめて…………だけでも守りたかった…」

そこで少年の意識は途切れた。










「こんなところに、ボロボロの人…何があったんだろう」

聞きなれない少女の声で目を覚ました。

「…ここは…」

「話すと長くなる、行きましょ。立てる?」

少年は答えた。

「…はい…」

その瞬間、奥にある森の方から叫び声が聞こえた。

「敵襲!至急配置に!」

周りには次々と弓を持った同じぐらいかやや年下の子供たちが集まってきた。

少年は目を覚まし、持っていた自動小銃を構えた。

森の奥の方から音が迫ってきた。その瞬間、目が見えなくなるほどの眩しい光が森の奥の方からして、たくさんの叫び声が聞こえた。少年は反射的に構えていた小銃を連射した。

その光が収まるとあたりにはボロボロに焼け焦げた先程の子供たちらしきものがあった。そしてその奥には撃たれて体に穴の開いた大人が3人ほど倒れていた。

「ここにいては危険。一回撤退するよ。」

最初に声をかけてきた少女の声に連れられ、小高い丘を歩いて行った。






rw_iroi&ロン