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中小企業診断士 1.5か年計画は本当に得?
今回は中小企業診断士の1.5か年計画について書いていきます。
2次試験に2回落ちているとはいえ、1次試験については一応1.5か年計画でクリアしているのは事実なので、今回この記事を書いてみることにしました。
この記事にたどり着いているということは、科目合格や1次試験の合格基準について知っていると思うので、基本的な制度については割愛。
1.5か年計画のメリット
勉強の負担を分散できる
1.5か年計画の最も大きいメリットはこれ。
1年目に2次と関連の薄い科目を科目合格しておくことで、2年目に主要3科目(財務・会計、企業経営理論、運営管理)に集中できます。
いかんせん1次試験7科目を一気にやるのはかなり大変ですからね……ストレート合格する人が4%前後しかいない試験であることを考えると、最初から2年くらいかけての合格を見積もるのは悪くないかと。
中小企業診断士試験の勉強を始めるのが遅かった人は、現実的には1.5か年計画で行くことになる人が多いと思います。
2年目は2次試験の勉強と並行しやすい
これもメリットの一つ。
特に事例Ⅳはぶっちゃけ財務・会計なので、2次対策が1次対策にもなります。
まあ事例Ⅰ~Ⅲについては1次の後からでもなんとかなりますが、事例Ⅳについてはなるべく早くから対策に着手したいところ。
1次前から事例Ⅳをやりやすいのはメリットでしょう。7科目受験だと現実的にはそこまでできないと思うので。
1.5か年計画のデメリット
爆弾科目に弱くなる
中小企業診断士の1次試験では、たまに極端に難しい科目があることがあります。通称:爆弾科目と呼ばれるやつですね。
たとえば平成29年の運営管理(科目合格率3.1%)、令和元年の中小企業経営・政策(科目合格率5.6%)などが挙げられます。
2年目に受験予定の科目がコレにぶち当たった時のリスクが高くなるのがデメリットです。
具体的な例を挙げてみましょう。2年目は主要3科目受験でその中の財務・会計が難しくて40点しか取れなかったと仮定します。
3科目受験の場合合計180点以上で合格なので、残りの2科目で140点が必要になります。要するに科目平均70点が必要。
一方で7科目受験の場合合計420点以上で合格なので、残りの6科目で380点ということに。つまり科目平均63.33点です。
このように、爆弾科目の影響をモロに受けてしまうのがデメリットです。
貯金が作れない
科目合格狙いの場合、60点を取れるか取れないかのみの勝負になります。60点を大きく越える点数を取ったとしても、その貯金は無駄になってしまうということですね。
7科目受験の場合、例えば80点を取った科目があれば20点分のアドバンテージが作れるのですが、科目合格狙いだとその20点を翌年に持ち越すことはできません。
まあ一応科目合格したとしても免除申請をしなければ科目免除はされないため、2年目も受けるという選択肢を持てるのですが。
でもそんな人は最初から7科目受けた方がいい気もします(笑)
1.5か年計画の具体的なプラン
2年目に2次試験でも必要な財務・会計、企業経営理論、運営管理の主要3科目を受験するのは共通。
1年目に暗記三兄弟+経済学
大手予備校だとLECはこれを採用しています。暗記三兄弟とは2日目の経営法務、経営情報システム、中小企業経営・政策のこと。
自分もこのパターンを選択していました。1.5か年計画のうえでは最もスタンダードと言えるでしょう。
最大のメリットは、2年目は2次試験に関連する科目だけに集中できること。
あとは仮に科目合格に失敗しても、2年目にある程度の知識を持った状態で再挑戦できること。
デメリットは4科目全てで60点以上取ることが地味に難しいこと。結局1、2科目は60点未満で2年目も受けることなりがちだと思います。貯金を多く無駄にしてしまう傾向も。
そもそも4科目もやるのならあと3科目増やしてもなんとかなるのではという説もある。
1年目は暗記三兄弟のみ
大手予備校だとTACはこのパターンを採用。経済学を2年目に回す作戦です。1日目はそもそも受験をしないという。
メリットは1日目を完全にスルーすることで直前まで勉強時間を確保できること。1日目受けないことで過去問を温存できるのもメリットかも。
デメリットは仮に1科目でも科目合格できない科目が出た場合、2年目の負担が大きいこと。経済学+科目合格できなかった科目+主要3科目をやらないといけないのは結構しんどいかと。
特に経済学は二次試験と最も関連が薄い科目と言っても過言ではなく、これを2年目にやるのはちょっと、という考えもあります。その割に勉強の負担がそこそこ重い科目でもあるので……
1年目に経済学、経営法務、経営情報システム
あえて暗記三兄弟の中の中小企業経営・政策を2年目に回すパターンです。
自分がたまたまこれに近いパターンになってしまったのですが、意外と有効な気がしたので紹介します。
メリットは2次試験と関連の薄い科目を1年目に片付けられること。
そして試験当日、1日目と2日目の間に長時間空くことで、直前に最後の中小企業経営・政策の詰め込みが可能になること。
1日目の運営管理の終了時刻が17:10、中小企業経営・政策の開始時刻が翌日の13:30なので、約20時間ものフリーな時間が使えるように。
また、中小企業経営・政策はひたすら暗記するだけの科目なので、2年目に回したとしてもそこまで勉強の負担が増えません。過去問をやるにしても1問あたり数秒から数十秒で終わります。
財務・会計なんかはそもそも簿記ってなんやねんレベルの人だと基礎を固めるのに時間がかかりますからね。それに比べれば前提知識が不要で覚えるだけの中小企業経営・政策は楽な方。
あと中小企業経営・政策は経済学、経営法務、経営情報システムよりは2次試験に関連する科目なので、最新の白書の内容を覚えておけるのもいい点。
デメリットは2日目は1科目のために会場に行かないといけないこと。地方か
ら受ける場合は負担がそれなりに大きくなります。
あとは科目合格に失敗すると2年目の負担が大きいのは1年目は暗記三兄弟のみのパターンと同じ。特に経営法務、経営情報システムが残ると約20時間ものフリーな時間が使えるというメリットが完全に消えてしまいます。最悪経済学が残っても残りの2つは確実にクリアしたいところ。
応用情報と科目免除
応用情報を取得することで経営情報システムを科目免除する作戦です。
もし1年目に経営情報システムを科目合格できなかった場合、応用情報を受験して合格すれば経営情報システムを科目免除する権利をゲットできます。ついでに生涯有効な応用情報の資格も残るという。
応用情報技術者試験は10月第2週に行われるので、時間的な猶予はあるにはあります。経営情報システムの勉強をしていたならそれなりに知識はあるはずですし、ある程度勉強すればなんとかなるかと。
注意したいのは、例年通りだと1次試験の前に応用情報技術者試験の受験申込が終わるため、1次試験の結果を見てから応用情報を受験するか決めることができない点。
その辺りも含めて全てこの記事で解説しているので気になる方はどうぞ↓
中小企業診断士 1.5か年計画の現実
自分はもともと1.5か年計画で学習を進めていました。1年目で経済学と暗記三兄弟を科目合格し、2年目で主要3科目を受験するというプランです。2年目は事例Ⅳのみ1次前から対策をしていました(経営分析とCVP)。
その現実をお見せしましょう。
2022年
・経済学 48点
・財務・会計 36点
・企業経営理論 57点
・運営管理 46点
・経営法務 60点
・経営情報システム 72点
・中小企業経営・政策 52点
合計371点
この年は主要3科目は基本的に勉強していません。実質4科目しか勉強していないのですが、一応全科目受験はしています。
しかし勉強したはずの経済学が勉強してないはずの企業経営理論よりも下。運営管理とほとんど変わらない点数になっています。
また、勉強していない企業経営理論が科目合格まであと一歩のライン。
結構こういう事態が起こりやすいのが現実だったりします。
あと全く勉強していなかったとしても常識とか消去法は使えるので、完全にランダムにマークを埋めるよりは高い点数が出ます。
2023年
・経済学 56点
・財務・会計 44点
・企業経営理論 61点
・運営管理 66点
・中小企業経営・政策 75点
合計302点
2年目は経営法務、経営情報システムが科目免除のため5科目受験。500点満点で300点取れば合格ということに。
ということでなんとかギリギリでクリア。財務・会計でやらかしているものの、中小企業経営・政策でなんとかカバーできました。5科目受験だったからこそ財務をカバーできたと言えます。
そういう意味では、科目合格で科目数を減らすことが必ずしもメリットにはならないというのがわかるでしょう。1年目で中小企業経営・政策を科目合格していたら落ちていた可能性が高いです。
ちなみにこの年は財務よりも運営管理のが難しい年でした。没問が2問もあったのに科目合格率1桁台でしたからね。
別に特別財務が苦手なわけではないのにこうなった理由は不明。本番は何が起こるかわからないです。
中小企業診断士 1.5か年計画は本当に得?
これについては時間の価値をどのくらいに見積もるかにもよると思います。
1.5か年計画の1年目は科目合格狙いの科目の点数が60点以上か否かしか見ないので、それ以上点数を取っても無駄になってしまうというのは事実。
とはいえ、2年目に2次に関連する科目に集中でき、2次対策を並行して進めることができるのは大きなメリットだと思います。
しかし1年でのストレート合格を事実上諦めるということでもあり、これをどう見るかといったところ。診断士として活躍するのが確実に1年は遅れるわけですし。
点数だけでみると損ではありますが、全体でみると人によりけりとしか言いようがないですね。
まとめ
今回は1.5か年計画について書きました。
個人的にはなるべく7科目一気に受けた方がいいような気はしますが、まあ微妙。勉強の負担、2次対策、リスク分散等考えることは多いです。
1.5か年計画計画を考えている人の参考になれば幸いです。