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子どもが生まれたら、自分の人生は後回しになる

2歳8ヶ月の息子と、もうすぐ2ヶ月になる娘がいる。
知る限りの単語を駆使してあたりまえのように会話をこなし(時おり混ざるチャーミングな言い回しにこちらはゾッコン)、路線バスに偏愛ぶりを発揮する息子は、とにかく愛おしい。
ふにゃふにゃの身体にそぐわぬ真っ直ぐな眼差しで懸命に世界を見て、何かを確かめるように手足を遠くに伸ばしては戻すを繰り返す娘は、ずっと触れていたい。
時の流れが遅くなる・もしくは止まることを毎日願うくらい、だ。

でもふと、
何を選ぶにしても子ども第一に考えている自分への"虚しさ"がちらつくことがある。
直径2センチくらいの真っ黒な穴が心の隅にぽっかりと空いている、みたいな。

欲の持ち方がわからなくなった

大袈裟じゃなく、息子を妊娠してから今までの3年半、
「この命を守らなきゃ」という使命感や責任感・プレッシャーが途切れたことは一時も無かっただろう。

それまでの人生で自分が守ってきたものたちとは比べ物にならない尊さがあるから。
そして、その事自体は決して悪いことではなく、
むしろ私の人生に別次元の色彩を与えてくれる、代え難いエッセンスとなっている。

でも、だからこそ、何を考えるにしても子どものことが頭に浮かび、
子どもにとって何がいいかという目線での思考や選択を
無意識にしてしまうことがある。

「夕食は子どもが好きなあれ作ろうかな」
「栄養バランスと薄味に気をつけなきゃ」
「土日はあそこに行ったら喜ぶかな、あの絵本やおもちゃも喜ぶだろうな」…

子ども第一であることが幸せで何も心に引っかからない、という方も多いと思うし、
もちろん否定するつもりは露ほどもない。
ただ、私は何か引っかかりを覚えてしまう。

いま私が生きている人生は私のもののはずなのに、
私自身がしたいこと・スキなことが思い浮かばない。
純粋に、今食べたいもの・行きたい場所・したいことってなんだったっけか。

ちょうどいいバランスを目指して

引っかかるのはきっと、子どもや家族を大切にするために
自分のことも大切にしたい、と考えているからだと思う。

なぜ自分のことも大切にしたいのか。
理由は大きく2つで、
一つは、自分が心穏やかな状態で(笑顔でまでは言わない)子どもと接するため、
もう一つは、子どもが大きくなった時に胸を張って説明するため、だ。

心穏やかな状態のつくり方

子どもが生まれる前にはあった、その時々の欲。
本来あるはずの欲の上に、子どもへの義務感のようなものが
厚く大きく覆いかぶさり
自分の欲は押しつぶされ
薄く小さくまるで無かったかのようになってしまうと、
子どもや家族に向ける笑顔がどこか空虚のような
常に我慢と背中合わせのようなものになってしまい、
しまいには偽りの姿を見せているんじゃないかという
罪悪感にすらさいなまれることもある。

なので、本来あるはずの欲をほんの小さくてもいいから叶え、
心に色を持った状態で子どもと接することを意識している。

その欲の叶え方がわからないんだ、というのはごもっとも。
正直なところ、私もまだ素直に欲に応える方法は模索中なので
小手先のテクニックをお伝えすることはできない。

でも、根本に置いておきたい自分自身の態度やスタンスは固まりつつあるので、
幾分気持ちは楽になってきた。
その態度とは、
「子どもとはいえ、良かれと思ってすべてを私の価値基準で奉仕するのはおこがましい」というもの。

子どもが生まれた時から抱いている危機感が、
別人格であるのに、あまりに介入したり想像だけで共感しすぎると、
私の人生に巻き込んでしまう
私の人生以上の人生にならない
共依存関係になる
ということ。

私の価値観ではかると、
「自分とは別の存在である子どもに自分の人生を押し付けることが何よりも怖い」
ということに気づいた。
そもそもそんな自信もないし…。

なので、子どももいち個人として向き合おう、
向き合うというより横に座って同じ方向を見ているイメージで
同時に自分の人生も進めよう、と思っている。

子どもが大きくなった時に胸を張って説明する、とは?

私は息子が5ヶ月の時から保育園に助けてもらい、仕事にはフルタイムで復帰している。

周りと比べると復帰が早いんじゃないか、
時短勤務にして子どもとの時間をもっと確保したほうがいいんじゃないか、
葛藤はあった。

でも、子どもが大きくなって理解ができるようになった時、
我が子との時間を大切にしたかったから仕事を妥協した自分 と
納得できる仕事をして仕事人として輝いている自分、
どちらの自分に胸を張って説明できるか?という価値基準で判断した時に、
私の中で答えは明白だった。

だから、がむしゃらに働き、
仕事以外は短いかもしれないけれど子どもと家族との濃い時間を楽しんでいる。

仕事復帰して1年ほど経ったころ。
上司に言われて嬉しかったひと言がある。
「自分のこと、かっこいいお母さんって〇〇(子どもの名前)に胸張ってくださいね。それだけのことはしてますから。」

欲しかった言葉を、綴る

「子どもができる 母の人生は後回し」と検索すると、
自分の時間も大切にしてね
時間は作ればある
子どもが小さいうちしかできないことがあるから今を大切に
たまには夕食はお惣菜に頼ろう
などの言葉を多く目にする。

でも私が欲しかったのはこういう言葉じゃない、と思い、綴ってみた。
誰かの心に届くと嬉しいな。

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