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イベント・お出かけメモ#18 特別展「毒」(名古屋市科学館)

昨年度は大阪市立自然史博物館で開催されていた時に、行ってみたいと思いながら見送った「毒」展が名古屋で開催されることを知り、早速行ってきました。

昨年度のこの時期は「猫」展に子どもを連れて行きました。

「毒展」への案内


夏休みの自由研究の素材提供の意味もありそうな企画展示をありがとうございます。

さて、「毒」です。推理小説や幻想小説などが好きな人でしたら、多分ほとんどの人が好きな「毒」です。「毒」という感じを見るだけでちょっとした気分の高揚感を覚えてしまいます。

こちらの企画は
第1章「毒の世界へようこそ」
第2章「毒の博物館」
第3章「毒と進化」
第4章「毒と人間」
終章「毒とはうまくつきあおう」
の5章構成となっていて、私の関心対象は第4章です。

第1章は、導入として日常生活で遭遇する可能性のある人体(もしくはペット)に有害なものが紹介されています。パンの青かび、ジャガイモの芽といったものから、たばこやお酒、アジサイやユリなども毒に含まれます。身近なものが多く紹介されていて、来館者の関心に対する掴みはOKという感じです。

観葉植物も毒になることもあるらしい

続く第2章は、攻めるため」と「身を守るため」に大きく二分して、動物や植物などの毒が、標本や剥製などと共に紹介されています。


どちらの有毒生物も遭遇はしたくはないです


外見としては優し気な有毒植物(トリカブト、ドクウツギ、ドクゼリ)から、苦手な人は見るだけでダメだろうなと思われる毒虫、そしてコモドオオトカゲやブルーノイシアタマガエルといった、「見知らぬ動物には決して手を触れてはならない」ということを納得してしまう有毒爬虫類や両生類(魚類や哺乳類も勿論有毒のものはある)たちが続きます。


「鳩」ではない

また、ニュースなどで耳にすることがある毒キノコを食べてしまった、というキノコたちは、毒がないもの、苦みなどはあるけれども食べれなくはないもの、幻覚症状などがあるもの、触れてもいけないもの、といったキノコ類が展示されています。説明のところに危険度マークがついていて、それをチェックしながら見るのが楽しかったのですが、それでも有毒・無毒のものの見分けがつきづらいものも少なくないので、「キノコはお店で売っている、多くの人が知っているキノコ以外には手を出すまい」と思ったりもしました。

「細胞破壊」とは破壊力の強いワードです

このあたり秘密結社 鷹の爪 とコラボした説明もあって楽しいです。

また、鉱物の毒(カドミウムやヒ素)や人間が作った毒(マイクロプラスティック)なども展示されていて、生き物にダメージを与える物はどこにでもあるのだなということが理解できるような展示になっています。

鉱物の毒

第3章「毒と進化」生き物の生存戦略として、毒をうまく利用している事例としては、たとえばユーカリとコアラ(「毒に耐える」)が有名ですが、「毒」のある生物への擬態(テントウムシ)や、有毒生物からの「毒」の盗用(ムカデミノウミウシ)などが紹介されています。「毒」を盗用する進化形態がとても興味深かったです。
有毒昆虫に擬制する昆虫

第4章「毒と人間」
そして待ってました「毒と人間」です。狩猟や戦争、あるいは処刑や暗殺などで人々は毒をどのように使ってきたかがコンパクトに紹介されています。ここも第2章ぐらいスペースがあって、推理小説などで用いられる毒についてもっと紹介されていたらさらに楽しいと思いましたが、それは無いものねだりなのでしょう。蚊取り線香も殺虫効果があるという点ではよく考えたら毒でして、人間は毒をうまく使って生きてきたのだなと思いました。

鉛入り白粉たち


また、白粉の鉛毒、毒があっても好まれる食材(ウナギの刺身が提供されない理由が特に面白かったです)なども紹介されていて楽しいです。

終章「毒とはうまくつきあおう」
エンディングとして、世界には、私たちの身の回りには毒はいろいろ存在している。それを完全に除去することはできないし、人は毒をうまく利用してここまで生きてきた。今後も毒と共存していきます、といった内容の動画が流されていた様な気がします。

実は終章の記憶がうっすらしているのは、そこにお子さんたちが固まっていたので近づいてみるのが躊躇われたことと、気分がすっかりミュージアムショップの方に向いていたからです。

今回「毒」だけあるのでどのようなミュージアムグッズが販売されているのかとても気になっていました。前評判が良かった図録は絶対に買うとして、通常だとTシャツやトートバッグが二番手の候補になります。ただ、今回は図録>毒饅頭>毒グラスの上位3点は決まっていました。いろいろ悩んだのですが、その3点に追加してラウンドポーチも買いました。Tシャツはできれば、①毒キノコモチーフ ②有毒爬虫類・両生類 ③ミステリーに用いられやすい毒 の3パターンがあれば欲しかったなと、勝手なことを思いました。

図録は装丁もとても素敵で一目ぼれしました

時期的に子どもたちも多くにぎわっている特別展でした。