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旅はフルーツ~2024夏★山旅の想い出~

私は旅が好き。山も好きなので、旅は山歩きを兼ねた山旅が多い。
先日ふと、旅はフルーツ(果物)と似ていると思った。
生きていく上で必ずしも食べなくてもいいけど、あればライフ(生活=人生)が豊かになる。
そして、旅の想い出は、ドライフルーツのようで、時を経ても、噛みしめると、たちまち瑞々しく、滋味深く、心を潤してくれる。

この夏は、久しぶりに北アルプスの山小屋泊を含む山旅をした。
予定どおりには行かないからこそ、旅は楽しい。
できるだけ新鮮なうちにドライフルーツにするため(笑)、noteに綴る。

目指すは白馬岳…のはずだった

北アルプスの山々の頂を目指すには、山小屋泊が必要となる場合が多い。
前回山小屋に泊まったのは、2019年夏、槍ヶ岳、蝶が岳に登ったとき。
その後、新型コロナウイルスの流行により、山小屋泊はもとより、他県への旅が出来ない時期を経て、実に5年ぶりに、今回ようやく、以前から行きたかった白馬岳を目指す山旅を計画した。

白馬岳の山頂近くに日本最大級の白馬山荘がある。そこに泊まり、感動的な夕陽・雲海・ご来光を観る、それが今回の山旅のメインテーマだった。
私達はまず麓の栂池高原のホテルに前泊し、さらに手前の白馬大池山荘にも一泊してから、白馬山荘に泊まり、下山後も栂池高原で後泊、というかなりゆったりした行程を組んで、久しぶりの北アルプス山行に臨んだ。

ロープウェイで栂池自然園まで行き、登山口から最初に泊まる白馬大池山荘まで3~4時間。それくらいなら、時々歩くいつもの陣馬山~高尾山の縦走よりも短時間の行程であり、初日は「楽勝」のはずだった。

大きな誤算だった。ザックが重い。山小屋2泊のためのあれこれ、できるだけ軽量化しても、着替えとか水とかいろいろ重い、重過ぎる。
家から麓の栂池高原まで車で来たので、ザックはほとんど担いでなかった。
登山口から歩き出して直ぐに「重い」「肩が痛い」と泣き言が止まらない。
夫は久々の長距離ドライブ(東京~長野)で腰痛となり、その上やはり重いザック…二人して足取り重く、歩みは遅く、たちまち苦行の様相を呈した。

途中「天狗原」という平原・木道のある救いのようなエリアはごく短時間で終わってしまい、それ以外の登山道は、ほぼ石の多いガレ場や雪渓など、気を抜けば直ぐにケガにつながりそうな道ばかりが続いた。さらに、白馬大池が近くなると雨も降り出し、益々「苦行」感が高まった。

久しぶりの山小屋

なんとか到着した白馬大池山荘は、夏休みで大いに賑わっており、私達の泊まるスペースは、蚕棚上の一段、4畳くらいのスペースにもう1組のご夫婦と一緒。初対面の人達と狭い空間で着替え~寝起きまで共にする。トイレはもちろん水洗ではない。食事は食堂で決められた時間に給食のように頂く…

いろいろな制約があっても、山の中でここまでのサービスを提供して頂いて有難いと思うし、こうした制約ゆえに、初対面なのに打ち解けて話すことができたり、山小屋泊でしかできない体験があるのは確かだ。
そして、夜には満天の星空に包まれたり、朝には美しい白馬大池の景色を心ゆくまで楽しめたり、ライチョウに間近で会えたり…それらの美しいかけがえのない時間は、ここに自力で歩いてたどり着いた者だけが楽しめる贅沢だ。

ライチョウの鳴き声を聴いたのは初めて💕


私はそれらを存分に楽しみながらも、重いザックや様々な制約を思うと、山小屋泊はなかなかキツイな~連泊は無理かも…と思っていた。

翌朝、夫の腰痛がひどいこと、白馬山荘に泊まると下山にかかる時間が長くなり、天候悪化も予想される中、リスクが大きいことから、私達は白馬岳登頂を断念して、白馬大池から栂池高原までピストンで下山することにした。
下山もかなりきつかったが、「勇気ある撤退」は良い選択だった。

下山時に何度も振り返って観た白馬大池山荘

怪我の功名?!白馬山麓泊での出会い

ようやく栂池山荘まで下山して、美味しい「白馬三山そば」を頂きながら、私はその日泊まる宿をスマホで探していた。
「温泉、白馬」といったキーワードで、たまたまヒットした白馬八方エリアにある温泉宿。口コミ高評価のとおり、リーズナブルなのに食事も温泉もお部屋もホスピタリティも、全てが素晴らしい、小さなお宿。リピーターが多く、なかなか予約できないのよ、と常連のお客様から聞き、その日たまたまお部屋に空きがあり、泊まれたご縁に感謝。
この宿が気に入りすぎた私は、チェックアウト時に次回予約もした。
白馬山麓ではそのほか、私達が大好きなアウトドアショップ(パタゴニア、ノースフェイス、スノーピーク、モンベル)を巡り、森の中に佇む整体院で身体をほぐして頂いたり、行き当たりばったりで行ったイタリアンのランチが美味しかったりと、よき出会い・ご縁が続いた。
腰痛で白馬岳登山を断念することとなった夫は「怪我の功名」と笑った。

次はどこへ行こう

そんなわけで、今回の山旅も、予定外の部分も大充実で楽しかった。
旅から戻る帰り路で、私はもう次の旅のことを考えていた。
苦行のように感じた山歩きも、次回は荷物を減らして、山頂ではなく山麓泊の日帰りで、荷物を超軽量化し、ウルトラライトトレッキングにしようと、早くも次の山行に思いを馳せて、ワクワクしている。
山旅の翌週には、いつもの出勤、仕事が待っていた。直ぐに戻る日常。
でも、先週の今頃は、あそこであんなことをしていたと、反芻できる想い出があることがシアワセと思う。
旅はやっぱりフルーツだ。

ここまで読んで頂いて、ありがとうございました!!

下山後に食べた白馬三山そば
白馬三山は白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳
どれにも登頂してないけど😁美味しかった