日本縦断歩き旅《島根⇒佐賀編》7日目『「行わない事は知らないのも同じ」松下村塾”知行合一”の精神』阿武⇒長門
5:40起床。
前日、銭湯に服を忘れた事がわかり、いつもより早めに起きる。
テントを畳み。
公園のトイレで歯磨きをする。
するとおじさんが入ってきて、
なにやらトイレの用具入れを開けて忙しそうにしている。
早い時間から清掃かもしれないと、
歯磨きしながら「おはようございます。」と会釈。
無視される。
テントはすでに畳んであるが、野宿していたのを見かけていたのかもしれない。
明らかに快く思っていない人だろう。
歯磨きもすぐにやめて、撤収する。
荷物を持ちに戻って再びトイレの前を通ると、
上の写真の看板が立てられていた。
来た時には無かったので、さっきのおじさんが立てたのだろう。
あきらかに見せしめである。
重いだろうし、さっきおじさんがあけたトイレの用具入れには無かった。
そもそもトイレの清掃もする気配が無かったから清掃の人ではなかった。
あの看板をわざわざ持ってきたのだろうか?
くれぐれも言っておくが缶のごみ箱に缶以外のゴミを入れる行為は旅の中でやっていない。
ここに連泊しない事を示す為にも「日本縦断」の看板をテントの外に見せている。
公園にゴミ箱がない事は多いので、夕飯や朝飯のごみはいつも持って出ている。
そんな事は相手には関係ない、今までの旅人が捨ててきたのだろう。
僕はゴミを捨ててない。と言いたいところだが、
ここの地元の人にとって公園に居てほしくない事は間違いない。
早々に撤収。
野宿は日の出前に撤収した方がいいのは頭では分かっているが、
なかなか起きられない。
明るくならないと目覚めないので諦めていた。
地元の人に心配をかけた事に反省し、
気持ちがどんより落ちて歩き始める。
川で野宿したほうがよかったのか。とか考えながら歩く。
しかし、虫が苦手でどうしても公園を選んでしまう。
北海道警察に相談したときは、
「河川敷や浜辺で野宿するより、公園で野宿して問題ない。
目立たないようにベンチで寝るより、テントを張っていたほうがいい」
と言っていたが、あくまで警察が認識しやすい、
という意見だったのかもしれない。
それに土地によって違うのだろうし。
人が良さそうな警官だったから警察でもちがうのかも。
気持ちとは裏腹に、美しい光景が広がる。
朝日を浴びた花がひときわ鮮やかにみえる。
川がきれなのか鯉が泳いでいる。
池でいるような鯉を川でみたのは初めてかもしれない。
前日、銭湯に立ち寄った道の駅に着く。
自販機で飲み物を買っていると、
近くのゴミ箱でゴミを回収している婦人がいた。
公園での事もあるので、
そのままゴミ箱に入れず
婦人に「ゴミいいですか?」と聞く。
「中に缶とか混ざってないね?いいよ。」
「ありがとうございます」と言って、
気持ちよく大きく広げてくれた回収袋にゴミを入れた。
良かった。
山口県ではゴミが捨てられないかもしれないと、
焦ってきていたので一安心した。
銭湯で忘れてた服を回収。
営業時間外で10時まで待たされるかもしれない懸念があったが、
運よく従業員の方がいて助かった。
よく聞き取れなかったが、方言で話されたあと、
標準語で「あそこに置いてあったの」と言い直してくれた。
前日、止まりたかったキャンプ場。しかたない。
手押し車を見かける。
これで日本縦断した人もいて、少し憧れていた。
荷物がたくさん載せられ。
野宿のみで補給地点が少ない場所でも安心の積載量。
私の場合はキャリーカートなので引いていて手が疲れるのだが、
これなら押す力で引ける。
車輪が大きいので安定感もよさそう。
これで旅してみたいと何度も思ったが、
日本の道は歩道が狭い場所が多い、
車道で追い越されながら歩く事を考えると選択肢から外れる。
前日に地元の人が、沖縄の海よりも透明度が高いといっていたが、
確かにそうかもしれないと思った。
荻反射炉の前を通る。
観たい気持ちもあったが坂を上るのが億劫で先をいそぐ。
道の駅 荻しーまーと に立ち寄る。
全国道の駅参考にしている所らしい。
期待が上がるが、結局何も買わずにでる。
物産がいいらしい。
近くにラーメン屋がある、コインランドリーを見つけ立ち寄る。
ようやく洗濯ができた。
雨を吸った衣類が袋の中で蒸していたので、だいぶ臭くてヤバい。
洗濯している間にラーメン屋へ。
セットを注文。
餃子うまい。
ライスうまい。
梅干しもうまい。
ただ、本体のラーメンがいまひとつ。。。
麺がクチャクチャして、硬めにしてもらえば良かった。
スープはしょっぱくて水で薄めた。
ただネギは大盛にできてありがたかったし、
チャーシューは薄いが柔らかくジューシーだった。
松下村塾へ向かうと大砲など色々目かけた。
松陰神社。
いよいよ松下村塾に着いた。
歴史に詳しいわけではないが、
新選組よりは松下村塾の方が興味があった。
中でも全国を渡り歩いていた事がこの旅と重なって、
彼のすごさが身に染みる。
行動しない事は知らない事と同じ、
知行合一の精神は、
ずっと机の前で仕事してきたものとして刺さる。
歴史資料を展示している施設があり、
なんとなく入ってしまう。
見るつもりはあんまり無かったが
客が俺一人だけで、
「チケットはこちらからどうぞー」
との声で、
なんとなく後にひきにくくなり
入場券を買ってしまう。
中は書簡が多く、
古文が読めるわけでもないので、
ぼんやり関心して出る。
俺には合わなかった。
洗濯に観光にと時間をだいぶ使ってしまったが、
この日40km歩く予定だったので、
この後は休憩をなるべく減らして進む。
のどかで歩きやすい道が続く。
オーディブルで「三体」を諦めて「ドラゴンタトゥーの女」を聞く。
意外と聞きやすくて助かる。
ミステリー特有の話題ずらしが、やや、まどろっこしいが、
メインの謎とヒロインのリスベットの話は興味があるので、
気になって聞き続けてしまう。
主人公の自慢話と新聞社再建の話は興味ないが、
聞きやすいので我慢できる。
山口県特有の黄色いガードレール。
坂を上る。
写真でみると大したことない坂だが、
結構しんどい。
まだまだ歩く、しかも休憩している時間もない。
ピーヒョロロロとトンビの鳴き声が聞こえる。
まだまだまだ歩く。
すでに日没過ぎまで歩く事は決定しているが、
山の中で日が暮れないか心配だった。
だいぶ疲れてきていて。
野営できそうなところがあれば倒れこんで休みたい気持ちだった。
車がほとんどいないので嬉しいが、疲れでバテバテで
朦朧とした意識の中歩いていた。
日没までに街灯がありそうなところまで行きたいので、
とにかく休まず歩く。
街に近づいてきたころにはあたりは真っ暗。
街灯に照らされた木が、やけに映え幻想的にみえる。
都会では真っ暗が少ないせいで見慣れていないだけかも知れない。
まるで火垂るの墓で高畑監督が演出したように、
暖色の映像が目の前に広がる。
奥が真っ暗、妙に幻想的だ。
街の灯が奥に見える。
なんとかあそこまで・・・。
対向車がいると夜の道は眩しくて疲れるが車も少ないのでその辺は助かる。
この日の朝の事もあるので、野宿は避けたかったが、
すでに21時。
今からは宿泊できそうにないのでやっぱり野宿に。
朝、散歩でこなそうな。丘の上の公園があってそこで野営。
階段が急で、疲れていた最後の力を振り絞って荷物を上にあげる。
足がぱんぱんだが、気を抜くとカートを転がしそうなので一気に登る。
上に着く頃には息があがっていた。
倒れこんでそのまま眠りたい気持ちだったが、
虫がいるので、お酒を飲んで疲労をごまかしながらテントを設営。
丘の上からみる街の灯が綺麗だった。
深夜には星空も見れた。
この日歩いた距離 40km