北海道縦断歩き旅 9日目 「日本一危険な神社」大成町~
4時に起きる。寒かったのを覚えている。
熱いお茶を淹れて温まり、出発!
前日に比べて天気もよく外の風が気持ちいい朝。
しかし、この日はこれから長いトンネルに向かう。
この辺りは交通量も落ち着いていたが、朝は特に車が減るので、朝のうちにトンネルを渡ってしまいたかった。
庭師が整えたような丸い山
帆越山トンネル。全長1857M。
綺麗なトンネルだが、照明は古いオレンジのタイプだった。
ところどころ照明が消えていて、足元が真っ暗で見えなくなるところもあった。
ちなみにライトは持っているがドライバーに見えるように後ろにチカチカ照らしているだけ。
車もトンネル内では3台くらいしか通過せず、快適だった。
綺麗なトンネルをひとりで長い間歩いていると本当にゲームの中みたいだ。
電灯が弱いからだろうか。
長いトンネルは中の空気も冷えていて肌寒く、出口に近づくと温かい空気が戻ってくる。
■
トンネルを抜けると、すごく落ちついた空間が広がっていた。
トンネルとトンネルに挟まれた土地は人気がすくなく陸の孤島な感じが強い。少しの間、見渡す景色を独占したような気持になれた。
■太田山神社
鳥居があり近づくと、階段にロープが下がった神社があった。
階段を見ると、角度が急なうえに階段の終わりが見えない!
素人が描く階段のような角度。
壁を上るような角度。見たことがない。それに長いから転んで落ちたら死にそうだ。
のぼってケガしても責任を負いません。と書かれていて。
その異様さが増す。
上りたくてたまらなかったが、1時間以上かかりそうだと思って断念。
後になって調べると、
日本一危険な神社らしい。
この先に崖を垂直に金輪を梯子にして上る所があり、思い付きで参拝するようなところではなかった。
後で、民宿の人に聞いたところ、地元の人は割とよく参拝し、若い人はロープを使わずスイスイと上るらしい。
少し歩いた所に用途がよくわからない広場があって。中央の銅像を見てみる。
1993年北海道南西沖地震 哀惜鎮魂の碑
と書いてあった。
無くなった人の名前と年齢が彫ってあり、小さな子供も入っていた。
静かに手を合わせて、先に進む。
北海道には地震、津波、戦争、開拓、トンネル事故。
様々な傷跡を見かけた。
観光というパッケージには外れた、土地の記憶が目に入る。
歩き旅の良いところかもしれない。
太田トンネル(全長3360km)の前までくる。
北海道最長のトンネルだと古い情報の浅知恵で思っていたが、後になって違うと知る。
これから長いトンネルを通るというのに「トンネル内節電中」の看板に肝を冷やす。
中は割と綺麗で道路も比較的新しくキャリーバッグを転がしやすい。
長いトンネルは中にホコリが少なく、虫もいないくて清潔な事が多い。
中に入っていくと照明も暗くなり。寒くなってくる。
カーブも多かったので音がすると道路の端によって、いないときはど真ん中を歩いたりして貸し切りのトンネルを満喫した。
これが中間の看板!出口までどちらに行こうと1,7キロ!!
中央は肌寒く、息が白くなる。
足を止めると超静寂!足を鳴らすと、しばらく反響する。
車がいない間、極上の孤独を味わった。
路面がぬれた所もあった。排気ガスを水が吸ってくれるせいか、空気が澄んでいて、濡れたトンネルを通るのは好きだ。
ただトンネルが崩れる想像をすると途端に閉所恐怖症になってくるので、入ったら崩れたり火災があったりとかは考えないようにしていた。
出口が近づくと暗闇に目が慣れた為、眩しい。
トンネルでは孤独だが、まだ少し一人でいたい。そんな思いに駆られた。
外は天気がよかった。
海岸沿いを歩いているとポツンと店があって。アイスクリームを食べる。
休憩していると、トラックの運転手も買い物に停車して話しかけてきた。
2,3話す。この先の道は険しくもっと長い雷電トンネルというのがあるらしい事を教えてもらう。
自転車が道民を轢いた事故があったらしい。
自転車も気を付けてもらいたいと話していた。
海岸から離れた道を通る。
北海道らしい風景が続くがこの日は強風がすごかった。
瀬棚町の商店街まできて、この日はこの辺で宿を探すことにした。
スマホで探すと民宿が多く、民宿に泊まったことがないので、入りやすそうな民宿を見つけて恐る恐る尋ねる。
「御用の方はこのボタンを押してください」と書かれたボタンを押しても返事がなく3度目で中から娘らしき子が出てきて泊まりたい意思を告げる。
「ちょっと待ってね」と親らしき人にその場で電話してくれた。
すると「今日は満室です」と告げられる。
部屋数も多く、空室が並んでいるのが玄関から見えていた。
仕方ないので、この民宿を諦める。
旅行慣れしていなかったので、「今日は営業する気がない」という時に「満室です」と嘘を言うのを知らなかった。
少し歩いて、ほかの民宿を探す。
ピンク色の外壁が目立つ「民宿 長栄」さんを訪ねると承諾してくれた。
常連が泊まりに来ているそうで、素泊まりではなく食事も用意できるとの事だったので食事付きでお願いする。
久しぶりの布団、久しぶりの手料理だった。
お風呂を用意してくれると言っていたが、午後3時ぐらいで時間もあったので温泉に行く事にした。
車で温泉まで送ると言って貰ったが、歩いてきた道を少し戻る程度なので自分の足で行くと告げる。
荷物を降ろし、来た道にあった温泉施設まであるくと足が痛くて遠く感じた。
一度休んだ為、足の痛みが蘇って歩きにくかった。
”公営”の温泉に初めて入った。
発券機で入場券を買い、
スマホをいじったままの職員に渡す。
自分の携わったスマホアプリは、
課金もログイン時間も多いお客さんは、
地方の利権に携わってる人が多いと聞いていたので。
こういう職員が仕事中にスマホゲームのマラソンしてるのかもなぁ。
とか勝手な妄想をした。
脱衣所には盗難注意の張り紙が多い。
お金がないと旅行できなそうだが。
現地の人が金持ってそうな旅行者を狙うのだろうか?
自転車とかで節約して旅してる人が盗るのだろうか?
とにかく、この先の公営温泉にも「盗難多発」の張り紙を必ず見かける。
3日ぶりの風呂で入念に垢を落とす。
民宿で夕飯を頂く。
久しぶりの豪華な食事だ。
久しぶりで胃が驚くほど小さくなってしまっていたらしく。
一品一品美味しかったが食べきれなかった。
残したくないたちなので、悔しい。
常連の方と距離をとって同席となった。
長距離ドライバーの方で度々、この民宿を利用していて、ここの食事がお気に入りなのだそうだ。
マスクをつけた民宿の女将と、常連の方と、3人で会話しながら食事となって民宿ならではだと思った。
民宿の女将はここで数十年続けていて、
泊まったお客さんの口コミで長く続けているそうだ。
本にのったり最近ではネットで紹介してくれるお客さんがいるそうだが、本人は載った事を知らないく。
「○○を観てきた」というお客さんが絶えないという。
女将さんも気配りが丁寧で、長くお客さんに愛されている民宿に感じた。
午前に通った太田神社にも毎年参拝されているらしく、階段を上った先の話を伺う。地震の時に高台に避難した事なども聞かせてもらった。
同席していたドライバーの方にも、色々、先の道について聞かせてもらった。
オロロンラインは本当に何もない、道民からするとわざわざ行くようなところじゃない。
熊は道民は気にしてたら生活できない。
こないだシカが飛び出してきて轢き、ライトが壊れた。
トンネル内で自転車見かけるが、反射板やフラッシュライトを付けない人がいて、ドライバーから全然見えない。
歩いて宗谷岬までは正気じゃない。
コロナは、道民からすると道外の観光客はちょっと警戒する。GOTOトラベルキャンペーンも時期を見送るべきだと思う。
と色々 踏み込んで聞かせてもらった。
自室にもどり久しぶりにニュースを見る。
朝から晩まで札幌で感染者が増えた発表し続け、北海道もコロナの緊張感が増していた。
■9日目終了 歩いた距離 約33km
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