見出し画像

北海道縦断歩き旅 17日目「この旅で最高の夕暮れ」石狩市~

バナー1

朝早く起きるが、すこし雨が降っていた為。ホテルでゆっくりすることにした。

朝食はコロナの為か、お弁当だった。

渋谷で働いていた時はビルの下にお弁当屋さんが来ていて買いに行っていた。そのお弁当に似ていて。働いていた頃を思い出す。


あの頃は、休憩中も常に頭を動かしていて。食べた後、仮眠をとるため。

どうしても食事は急いで食べる必要があった。

急がずにゆっくり食べるお弁当はそれだけで贅沢な心地がした。

雨が止んだ為、出発。

すこしアスファルトが湿っていたが、晴れた為すぐに乾いていった。

画像3

大通りジャンクションの脇を通る。

人がいなく静かで心地よかった。

昨日に引き続き、ひたすら真っすぐの大通りを歩く。

一応、オロロンラインに入った事になる。

今までの道と違い、宗谷岬までの道はこういう道が多いのかもしれないとこの時思った。

クッションソールのおかげで足の痛みも引いてきて、

小樽まで苦労して歩いたのが不思議なくらい、穏やかに歩いていた。


気温は昼になると熱く、雨が降った後もあって蒸し暑かった。

汗が止まらず、目に何度も汗が入り、煩わしい。

麦わら帽子の下にバンダナを巻いて抑える。


画像4

画像5

石狩川を渡る。

川幅が大きく、橋が長かった。

川を越えたあたりから、すこし風景も変わってきて、いよいよ宗谷岬への道に来たと感じられた。

やはりこれまでの道と違いあまり曲がらず起伏も少なくなるだろう。

小樽、石狩で休み。クッションソールで足も良くなり。

なにか、緊張の糸が緩まっていたのを感じた。

だいぶ歩いていると、一台の車が引き返してきて、

「どこまで行くの?乗せようか?」と尋ねてきた。

「宗谷まで歩いて行く」と答えると目を丸くして驚いていた。


進んでいくと歩道が無くなる。

道路の端はアスファルトの状態も悪く、交通量は途絶えない。

宗谷まで歩道がないと想像するときつく感じた。

ここで、交通量が少なそうな道でショートカットする事に。

画像6

道に入ると交通量が無くなり、穏やかな風景を楽しむことが出来た。

指先まで流れる汗を交互に拭きながら歩いていると、

キャリーバッグの持ち手がクルンと回った。

すこしグラグラしていたのは感じていたが回ったのは初めて。

車に注意しながら、持ち手を見てみると、

持ち手と棒をロックする部品が無くなっていた。

部品が接触していた部分が摩耗でえぐれていて、

おそらく部品が長い旅で摩耗により変形し取れたのかもしれない。


引き返して部品を探そうと思ったが。

車が通っていて止まれず、曲がってしまってからだいぶ歩いて、道幅が広くなってから持ち手を確認した為、探す範囲が広く、諦めた。

しばらく持ち手ではなく棒を持つようにしてキャリーバッグを引きずる。

交通量の多い道と合流して、キャリーバッグを慎重に支えながら、下り坂を下る。道幅が狭く。午前中とは一転して、厳しい道のりだった。

民家のある落ち着いたところで体制を整え直し、

上り坂はキャリーだと引きずりにくい事もあって、バッグを担ぐことにした。

だいぶ軽くなったとはいえ、まだまだバッグは重かった。

登山用のバッグと違い、重心が不安定で肩掛けは食い込み、呼吸が苦しかった。


道は穏やかになっても、これで宗谷岬まで行くと思うときつく感じた。

重いリュックを抱えながら歩き。

自炊道具を捨てるか、キャンプ道具を捨てるか。

考えていた。


しかし、そもそも、オロロンラインの後半北側の補給が少ない所の為にキャンプ道具を持ってきたのに、一番必要な時に手放すと思うと悲しかった。


それに真っすぐ単調な道をキャリーバッグで引きづるのと重く抱えるのでは全然違くなる。


やはり、引きづりたい。

壊れた部分が直れば、どうにかなる。

道中、釘やネジなど足元を探しながら歩くが落ちていなかった。

錆びた金属を見かけてもサイズがあわない。


厚田村まであと少しなのだが、坂道が多く、なかなか進まない。


ベルトの金具が使えないか?と思い、荷物を広げられる場所を探す。

このバス停の待機所をみつけ、

重くて降ろしにくいリュックを椅子のところにおいて、

中の荷物から金具を探すことにした。


持ってきていたベルトは金具が少ない丸い金属二つのベルトで金具が会いそうになかった。

バッグの中の留め具を使おうとするが、驚くほどもろいのと、サイズが合わなかった。

持ち手と棒を支えていた金具の穴は思いのほか小さくて短い為、合う金属はホームセンターとかでネジを探さないと無いのかも知れないと感じた。


諦めて、一息ついていると、

「プシューーッ!ピピーーン、ピピーン!!」

と、バスの停車音が聞こえた。


自分には関係ないと思ったが、

今いる場所は場所の停留所、、、、


はっ!!

自分の為に停車したのか!?

細い道の為、後続車両を待たせてしまう。


迷惑をかけたくなくて、とっさにリュックを抱えて乗ってしまった。


厚田村まであと少しのところで、これまでどんなに歩くのが激痛で辛くても乗らなかったバスに簡単に乗ってしまった。

「ちくしょう!やっちまった・・・」

放心している間にもどんどんバスは進む。


はーっ、と息を吐いて、車道脇の狭い道を見て歩く気が失せ、

諦めて厚田村まで乗ってしまった。

看板であと1km以内のところまで、来ていた記憶はあるが、バスで通るとあっけなく着いた。


厚田に降りて、バッグを直すためにどこかに泊まろうと思い、旅館らしきところを尋ねる。

玄関の近くで子供のピアノレッスンしている音がして、玄関から尋ねるとピアノが止まり。女将が出てきた。

泊まりたいと尋ねると今日は営業していないと言われて断られる。

「満室」という嘘ではなかったのが、清々しかった。

これまで幾度となく「満室」と言われる度に、嘘を言わずに断ってくれたほうが良いのに。と思っていた。


仕方ないので、キャンプ場らしきところがあったのでそこを尋ねる。

キャンプ場に行くとハキハキとしたおじいさんが受付をしていて、泊まれることになった。

歩いて旅をしている事を話すと料金を安くしていただき応援して貰えた。

お客が他に一組いたが日帰りなのか帰っていき、浜辺のキャンプ場を独占できた。

画像7

キャンプ場の主人に勧められ灯台が見えるいい場所にテントを張れた。


テントを張っていると、足元に金属が落ちて。

それが探していた壊れた部品にはまるちょうどいい金属だった。

あれだけ道で探したものが、テントを張ったその場所に落ちていたのが奇跡的で驚いた。

浜辺で他にもないか探したが、他はやはり錆びてるかサイズが合わないかだった。

金属が手に当たらないように保護するための劣化してない輪ゴムも見つかり。キャリーバッグ問題があっけなく解決した。

画像8

お酒の自販機があり、そこでビールを買って、しばらく浜辺でゆっくりした。

海鳥が集まっていて、波も穏やかにうちよせ音が心地よかった。

沿岸沿いを歩いた旅だが、なかなか浜辺でゆっくりする機会に恵まれなかった。

曇りっていた為、夕日こそ見れなかったが、浜辺を独占して穏やかな時間が過ごせ。


この旅で最高の瞬間だったかもしれない。


暗くなる前に食事の準備をしていると、

お店の女性が訪ねてきて、ウニをごちそうしてくれた。

ありがたい。


歩き旅をしているという事で色々話。

他にも歩き旅をしている人がいたか尋ねた。

前に2人いたらしく。初老の男性と料理人の人が歩いて旅をしていたそうだ。

この先にまだトンネルがある事も聞いておいた。


食事を作っている途中で小雨が降り出し、急いで食べて、テントに入る。


独占した浜辺で飲むビールが美味く、すこし飲みすぎた。


17日目終了 歩いた距離 30km

アイコン


投げ銭で応援して頂けると嬉しいです!サポート代は私の活動費になります。