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考えれば考えるほど深いすき焼き
料理としての立ち位置がグレーゾーンだけど、愛される食べ物と言えば「すき焼き」だろう。
肉と野菜が1つの鍋に収まって、醤油・砂糖・みりんで作られて甘タレでグツグツ煮込まれる。
しかし、鍋料理ではないというなぞの立ち位置。
肉を焼いているからギリギリすき焼きのポジションを確立しているけど、非常に曖昧さがあるのは否めない。
しばし、すき焼きを前に疑問に思うことがある。
いったい、すき焼きのメインはなんなのか。
大多数の人は「肉に決まっている」と考えるはずだ。
事実、子供のころは野菜に目もくれず、とにかく肉を多く食べることを重要視していた。
それに、すき焼きに使う肉は、普段よりも値段や質が高く存在感がある。
やはり、肉なのだろうか。
とはいえ、年を重ねるたびに体が求める食材が変化することもある。
個人的な意見にはなりますがね。
例えば、子供の頃には見向きもしなかった、汁を吸いこんでクタクタになった野菜たちが美味しく感じることもあるのだろう。
ネチョネチョして青臭いネギが、すき焼きにはなくてはならない存在に変わる。
はたまた、肉と野菜が溶けだした旨味たっぷりの出汁を吸収した「しらたき」を溶いた生卵に付けて、ラーメンのようにすすり上げることも。
細切りされた「しらたき」が、口の中でプチプチして歯切れのよい食感を与えてくれる。
年を重ねると単純に、肉ばかり食べられない身体になってくるだけかもしれないけどね。
結局のところ、すき焼きのメインは肉ではないかもしれない。
各家庭によって違いはあるだろうけど、すき焼きの占めとして「うどん」や「雑炊」をする人も多いのではないだろうか。
料理の「占め」ということは、メインディッシュを意味する。
もしかしたら、肉や野菜は占めの「うどん」や「雑炊」を食べるための前菜なのではないか。
つまり、すき焼きのメインは肉ではなく「うどん」や「雑炊」だ。
ちょっと強引過ぎる個人的な意見ですけどね。
恐らく違うでしょう。
それならば初めから名前が「すき焼き」ではなく「うどん」か「雑炊」になっているはずだから。
考えても深みにハマるだけなので「すき焼き」を食べて落ち着きたい。
ただ、時間を掛けて野菜や肉から溶けだした栄養満点の出汁が一番のメインなのではないかと、個人的に納得している。