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鉄筋ヲタクが語る!配筋とは

あなたにとって配筋とは……なんですか?

私にとって配筋とは……推しです。

施工管理時代、お仕事ではなく推し事だったあいる。しかしそこに行き着くまでにはけっこう色々あったのです。今回は工事現場における配筋と、配筋に悩まされる施工管理1年生の苦労を挟みながら推しを語っていきまする!

配筋とは。大前提をどうぞ

まず配筋というジャンルについて語ります。
一言で言うと、建物の骨組みを作る工程の名前です。
鉄筋(資材)を職人さんの手で、梁や床や柱に壁などたくさんのパーツを作っていくんです。
<配筋は芸術>
と、あいるの知り合いの配筋好きは言っていました。まさにその通り。鉄筋1本1本を組み上げ構造(建築用語。梁や柱など建物のパーツのこと)を作り上げる様子は最早芸術。絵画と同じです。
ちなみに。以上を知人に語ると変なやつと思われかねないのでご注意ください。

そして。
建物の強度を左右するとても重要な工程です。

建物の役目はなんだと思いますか?
たくさんあります。画面の向こうの貴方が思った事全部が正解です。
そして配筋にスポットライトを当てている今、あいるの思う建物の役目は<有事の際に人を守る事>
つまり、地震や火災が起きた時簡単には崩れない事です。
設計士さんは頭を捻りに捻って安全性を追求します。鉄筋のサイズ、組み方、本数。どれひとつも疎かには出来ません。
そんな、建物を支える工程こそが配筋なのです。

配筋と施工管理技士

では、配筋と施工管理技士(現場監督)さんの絡みについて語りましょう。
配筋は建物にとって重要な工程です。
そして、施工管理技士1年生にとっての登竜門でもあるんです。
現場監督の仕事のひとつに、配筋写真の撮影と管理というものがあります。
この仕事が現場に配属されて1番最初に任される仕事なんです
配筋写真は完成した配筋の写真を撮り、きちんと設計図通りに工事している事の証明写真です。建物が完成すると大事な書類として提出し半永久的に保存されます。
あいるはこの配筋写真を専門に3つの現場に行きました。何故専門なのかなどは別のお話で語りましょう。こちらも建築業にとって課題になっているお話です。

この配筋写真が何故1年生の仕事なのか。
何も知らない1年生に出来る事は少ないから写真撮ってこいよぉ!という意見も正直あります。
ですが、1番の理由は工程を肌で感じて理解するためなんです。
配筋写真を撮るためには、いつ、どの構造(建物のパーツ)が完成して、次は何をするのか。これを理解しないと撮り逃してしまいます。

ここで皆さん。何で撮り逃すんや?と思いませんでしたか?

配筋は骨組みです。周りの肉の部分、建物で言うとコンクリートを流し込む工程<打設>があります。打設が終わると鉄筋は見えなくなり、写真は撮れません。更に言えば、コンクリートを流し込む型、ケーキ型の様な役目の<型枠>を作る<立て込み>という工程もあるので、それよりも先に撮る必要があるんです。

しかしこの配筋写真。とんでもなく癖ものなんです。
現場監督さんが聞けば絶対に共感してくれるはず。
次は配筋写真が癖ものな理由と現場監督1年生の苦労について語りましょう。

めんどくさいと好きはイコール

こちらのフレーズ。TOKIOの長瀬智也さん主演の刑事ドラマ「うぬぼれ刑事」7話マラカスの詩に出てくるセリフです。あいるこのドラマめちゃくちゃ好きなんです。
そしてこのセリフこそ、あいるが鉄筋ヲタクであると納得したきっかけでもあります。

めんどくさいところ1個目。

近年の夏は気を抜くと熱中症で昇天しそうな酷暑、冬は身を切るような極寒。現場仕事が倦厭されるポイントですね。当然ながら配筋写真は暑さ寒さ、雨などの天候関係無く外での作業です。あいるも作業着の上に、空調服(横腹に小型の扇風機が着いた服)やカッパ、防寒着をそれぞれ着て現場を駆けずり回ってました。本当に体力勝負です。今まで文化一辺倒だったあいるは施工管理をして8キロ痩せました。

めんどくさいところ2個目

施工管理経験があるあいるはよく、建築関係の学校出身?と思われますが全然違います。地元の高校の普通科が最終学歴です。
それでも現場監督って出来るんです!実は!
ただ、スタートラインはかなり遅れています。建築の知識をイチから身につける必要があるからです。ゼネコンさん(工事現場を受注し回す会社さん)は大学卒業か建築関係の学校卒業でないと入れない所もありますが、やはり建築知識ゼロで始める方が多いというイメージです。
当然、「これ、なんですか!?」「こいつ…こいつ…名前わからんけどこれ、なんですかぁあああ!?」と聞きたくなると思います。
しかし。現場は万年人手不足。先輩達は忙しいし、職人さんはちょい怖いし、どうすればええんや!?という場面。

を、救うものが無いんです。

年齢の割に転職経験豊富なあいるは色んな会社さんで働きましたが、どの会社さんにも多かれ少なかれマニュアルが存在しました。この際善し悪しは問いません。
全てが口頭継承、肌感で学び、先輩の仕事を盗み取る。そんな昔ながらのやり方が続く業界です。
勿論、ITツールやデータ化などなど進化しようともしています。ですが、結局のところ人の手と感性に頼らざるを得ない。その感性を教えてくれる人や材料を新人に与えるほどの余裕が現場には無いんです。

めんどくさいところ3個目

外での体力仕事、マニュアルなどの教育面、ラストは王道中の王道、人間関係です。

あれ?配筋関係無くね?

と、思いましたか?
確かに直接的には関係ありません。ですがこれに関しては細かな説明が要らない程、全人類が共感する事かと思います。

敢えて挙げた理由は、何か一つが大きな爆弾ではなく、積りに積もった着火剤に火種が着いてしまい爆発する。その結果今流行りの退職代行サービスや、バックレなどなど育つ前に辞めるという結果になるとあいるは考えています。
最も、どんな仕事でも同じかとは思いますが、現場独特の上下関係、入社した瞬間から下っ端の後輩でありながら職人さんを指揮する上司的役割を持つ施工管理だからこその人間関係を悩むと思います。

事実あいるも「おい、コラ!」と思う事がありました。
現場監督の作業着を着ている以上あいるも監督ではあります。
しかしながら。先輩方から見たら未熟者でも、職人さん、特に新規で入った職人さんから見ると立派に現場監督です。分からない事があれば聞くのは当たり前ですし、あいるが答えられないのも当たり前です。
ここでお互いに認識のズレが発生し、お互いにイラッとする…
職人さん「何でこんな事も知らんのや!」
あいる「私も現場来て日が浅いので!?知らんです!」
簡単に言うとこんな感じですね。
こんなのは序の口ですし、もっと大変な目に合ってる監督さんは大勢居ます。

こんなめんどくさい事が1年生の時に起これば…まぁ、お察しです。

好きに変わる瞬間…

しかし。
配筋について少しずつ知識が増えていく、それも単純な知識ではなく極めて専門性の高い建築の知識です。普通の事務員さんや営業マンでは知り得ない知識が増えていく快感と、とめどない知識欲。
そして頑固オヤジとか、めんどくさいと思っていた職人さんから「あいるは真面目にやりよるわ。若いのに偉いなぁ」と褒められ、認められる喜び。
確かにめんどくさい…でもなんだろなこの気持ち。
と、まるで恋でもしているような…そんな気持ちでした。
これを後輩ちゃん(上司には人生のパートナーと呼ばれる程仲良いんです)に打ち明けると。

「あいる、良い事教えたる。それ、病気やで」

と、真顔で言われました。
後輩ちゃんには鉄筋に恋してる(確かに恋は病と言いますのでね)と言われるほど、めんどくさいが昇華される事もあるんです。

もし貴方があいると似たような感情を少しでも感じたら……貴方は既に鉄筋ヲタクなのかもしれません。

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