駄菓子文「私用の理由と言う話」

「有休は良いんだけど理由は何?」

良くない?

それは別に良くない?

「私用」ですよ。

書きましたよね? 俺。

フォントサイズ9で6行くらいビッシリ書けそうなくらいの「理由」のカラムに空白があるExcelの申請用紙ではありますけども。
末席ではあるにしても、文字を書く事を人生の楽しみにしている人間としては本当に苦渋の2文字ですけども「私用」ですよ。
私用は私用以上の理由居る?って話なんですよ。

例えばそれに
「ちょっと亀に、亀って言うか、亀のボス的なやつに姫が攫われまして、明日の1日で救いに行ってきます」
って言う理由つけても
「親がゴールドエクスペリエンスレクイエムに無限に殺されてまして」
って理由つけても「私用」は「私用」じゃないですか?
もはや「有休は良いんだけど」が通った今、その理由は完全なる不純物じゃないですか?

「私用ですが?」

「いや、だから私用って何?」

食い下がるか~~。
直属の上司よ~、食い下がるのか~、直属の上司~~。

いや、例えばよ?そこで俺が急に机を強く叩いて
「俺が行かなきゃアイツらが!!……すみません……今は言えません……っっ」
って「アレ?世界救っちゃう感じ?コイツ」感を出しても

「一日中海の砂を数えようと思いまして」
って「やべー……もしかして会社的にかなりコイツの事追い込んじゃった?」ガチヤバイ感出しても、そこはどっちでも変わらないじゃないですか。有休かつ私用は労働者の権利じゃないですか?

1か0でしょ?程度の違いは無いじゃないですか?忌引きとかそういうのじゃないわけですから。
ましてやお客様に迷惑をかけまいとこの日のために色々な事を、本当に色々な事を前倒しで用意して激務をこなしてきたわけですから。
誰にも!誰にも迷惑はかけないように!!最大限の注意をしてきたわけですから!!!!上司!!直属の上司ぃ!!!!

「言わなきゃダメですかね?」

「一応ね」

もうね、俺の事大好き過ぎでしょ上司。
ここまで来ると「オマエの事は全部知っておきたいんだよ」と言うニュアンスで受け取りますからね!? なんなら一緒に休む? 昼から飲む?
はいはい!わかりましたよ!観念しましたよ!!
直属の上司の熱いまなざし。「一応」の「一応」が何を指すのか全く理解は出来てませんけども観念しましたとも!!!!

「言いにくいんですが……ちょっと……親父が……」

「え?……お父さんが?」

「ええ……あまり周りに吹聴したくないんですが……」

「悪いの?」

「…………」(目を伏せる)

「……そうか……何か、ごめんな?言い難い事聞いて」

「いや……良いんです……」

と言うわけで、有休取れました。
別に親父はなんとも無いんですけども、俺の親父って「ちょっと」って部分あるんで、はい。
それで得た休みは亀のボス的なヤツに姫攫われたので救ってきました。

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