駄菓子文「冠婚葬祭に関して準備の良い男ってスマートだよな、と言う話」

割とコンスタントに人って死にます。

入って死ぬじゃないですよ? 人って死ぬ、です。
主に自分の親周辺の親戚が結構な頻度で死ぬようになってきて
「ああ、自分も結婚式より葬式に出る割合の方がずっと多くなってきたなぁ」なんて思ったりするんですけども。

礼服。

礼服、着るでしょ?

葬式なんっつったらもっぱら黒一色、ネクタイも黒で靴下も靴も黒シャツだけ白。
まぁ、それが葬式に参加する男子の基本装備、こん棒、旅人の服、おなべのふた(他人の家のタンスから物色)、皮の帽子、みたいなRPGの敵と戦う前の一般装備っくらい基本の装備になるんですけども
「死」って割と急にくるもんで「あー何月何日に死ぬからよろしく~」みたいなのあんまりない、病院で生きるか死ぬかの境目だよ! なんつって、医者が神妙な面持ちで「もって2、3日でしょう」とか言ったのにガッツリ6年生きた人とか親戚にいるし、死はわりと融通が利かない。

な、もんで、準備がままならない時とかあって、どうしても黒の革靴が無い時があって、その時は茶色でつま先がツーーンッ!! ってなってる靴履いていったんですが、やはりそれなりに恥をかきました。
「ネクタイさえどうにかすれば結婚式行けるんじゃねェのオメェ……」
みたいな周りの視線、痛かった。

だ、もんで、二度とあの時のような恥をかかないように、黒の革靴を用意するのはもちろん、礼服のスーツには胸ポケットに黒のネクタイ、内ポケットには黒のハンカチ、御芳名や香典の時も慌てないように黒と灰色(薄墨)インクの筆ペンと普通のボールペン、万が一に備えて御霊前の香典袋まで入れて「よっしゃ! いつでも葬式こいや!!」状態にしてあります。

で、今年の始めっくらいも会社の関係でお葬式があり、亡くなった方と面識もあって、自分も営業だって言うので、まぁまぁ自分が会社代表的な感じで行ったんですね。
周りも「香典袋は?」とか「なんなら数珠貸す?」みたいに言ってくれたんですけど、自分って、ほら、準備がスマートに整っている男って所あるんで「大丈夫です、行ってきます」と颯爽と出掛けました。

んで、その日雨だったんですが、周りがビニール傘とか使ってるなか黒い傘を颯爽と差し登場、濡れた肩も「大丈夫なんで」みたいな顔して黒いハンカチを取り出しサッサッと拭き、御芳名帳に名前書いてねって所で、用意されているボールペン使わず「ありますんで」みたいな顔して内ポケットからボールペンを取り出し、サラサラっと書き「じゃあ、次は向こうの受付で香典を」って段階でヤベってなりました。
香典袋は用意してたんですけど、お金を入れたり名前を書いたりをしてなかったんですよ、完全に用意してある事に安心しきってた、でもまぁ「離れた所にあるテーブルで書いちゃおう、何せ俺ってほら、筆ペンも持ってるから、スマートだから」って内ポケット手ぇ入れて偉い事になった。

祝儀袋だコレ。

そんなバカなって思うでしょ? でもね? そっちが思ってるより7億倍くらいその時の俺は「そんなバカな」って思ってたからね? 上回った顔しないでね?
そう言えば、一回、一回ね? 婚礼的な物に黒のスーツで参加した記憶がある、結構長い間独身だった友達の結婚式に「オメェもついに年貢の納め時だなwwww」なんつってね? 「オメェ程度の奴のために祝儀袋書損じちゃって2枚も買っちゃったよバカヤローwwww」みたいな事があったような無かったようなようなようなような(エコー)……。

待って待って待って待って????

いやいや、待って待って? 胸ポケットちゃんと探れば……あった! あったよ、そうそう、コレコレ、探してたよ讃美歌の歌詞カード

違くて違くて違くて違くて違くて違くて違くて!!!!!!!!!!

結構な工場のね? 会長様が亡くなってね? 結構な数の人間が来てるわけね? で、その人数を捌くため芳名とか香典とかは完全なる流れ作業になってるわけね? もう、今から戻るわけにも行かず、かといって「芳名書いてるけど香典は置いて行かないよ?」ってアウトローをやるわけにはいかず「行くも地獄!!戻るもHELL!!」状態になってるんだけど、コレどうしたら……。

結果ね、香典渡す所に「あの、すみません、御霊前を忘れてしまいまして……」って言ったら「大丈夫です、御用意してありますので」って出してくれました、俺みたいな人居なくはないくらいの確率で出てくるみたいです、本当に助かった、でも皆はちゃんと用意して行こうね? 俺がラッキーだっただけなのかもなんだからね?

まぁ、何だ。

冠婚葬祭は一回一回ちゃんと確認してから準備しような。


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