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娘が熱性けいれんで入院した話
先日、3歳の娘が救急搬送されました。
今日はそのことについて、誰かの…というか小さな子を持つ親御さん、将来の親御さんたちの経験値となるように、いまnoteを書いています。事細かに記載をするので、少し長くなってしまいますが、ぜひお読みいただければと思います。
まず、娘が救急搬送された理由ですが「熱性けいれん」でした。まずは熱性けいれんについて、簡単に説明をしておきますね。
熱性けいれんとは
主に幼児に見られる症状です。1歳~5歳くらいまでを中心に発症する症状です。多くは一度だけ発症し、その後は発症しないことが多いのですが、まれに複数回発症する可能性のある症例です。
発症するタイミング
熱性けいれんは「38℃以上の高熱が出ている際」に発症する可能性がある病気です。子どもはよく熱を出しますが、そういった際に突発的に発症する危険性があります。
症状
これは私の保育士としての知識と今回の経験を合わせてお話をします。まず、熱性けいれんの症状には個人差があります。よくある症状としてはこんな感じです。
両手両足がガクガクと震える
目が上を向いたり、焦点が合わなくなる
呼びかけに応じなくなる
呼吸が止まる(抑制される)
意識障害が起きる
文字面だけ見ると非常に恐ろしいですよね。実際、知識としては熱性けいれんについて知っていた私であっても、実際に熱性けいれんの現場に立ち会ったのは私の娘の症状が初めてです。かなり焦りました。正直言って、死を身近に感じたほどです。
ただ、知識として「こういった症状が出ても、ほとんどの場合は数分以内に治まる。」ことと「命に別状はない病気」だということはしっかりと理解をしておく必要があります。痙攣がおさまれば、普通にそのあと入眠することがほとんどです。ただ、その場では何が起きているのか分からなくなりますし、なんといっても症状の見た目が恐ろしい。正直かなり焦ってしまいます。
私の娘の場合
ここからは私の娘の症状について時系列にそってお話をしていこうと思います。親にとってはどのような情報が助けになるかわかりません。何かの参考になればと思い事細かに書かせていただきます。
8:30~発症~
(前提として、私は自宅の隣で仕事をしています)
前日から発熱していた娘は、クリニックでの診療で「インフルA型」と診断されていました。熱は前日から40℃前後あり、タミフル飲み過ごしていました。解熱剤は娘が嫌がり飲みませんでした。うちの家庭は妻が思想強め(失礼)なため高熱であってもあまり解熱剤を飲ませない方向になることが多いというのも解熱剤を飲まなかった理由です。
で、当日の朝8:30仕事をしている私のケータイにパートナーから着信があり「今すぐダッシュで戻ってきて!!!」とすごい剣幕でした。ただごとではないと思い、すぐに帰宅しました。隣なので、30秒ほどで現場に到着しました。
到着した時、娘はすでにグッタリしていました。いわゆる一般的に想像するような「けいれん」の状態は脱しているように見えました。
パートナーは「息をしていない」と混乱していました。うちの夫婦は共に救急救命講習を受講しているのですが、パートナーはすっかり混乱しており、手順は抜け落ちているように見受けられました。
まずは娘をやわらかいマットの上に横にします。意識の観察をすると、目が上を向いていました。上手く伝わるかわかりませんが、「寝る直前の目」「白目を剥きそうな感じ」と言えば伝わるでしょうか。声掛けをしましたが反応は鈍かったです。
呼吸をしていないとのことなので、耳で呼吸音を聞きました。確かに弱いです。ただ、お腹は動いています。自分の指をすこし舌で濡らし口と鼻の近くで呼吸を感じます。呼吸は確かにありました。しっかり呼吸はしています。パートナーに呼吸をしている旨を伝えると、私が到着したこともあり、少し落ち着いたらしく、すでに救急隊と電話で会話をしていました。
8:40~救急隊到着~
救急隊が到着するまで、娘に呼びかけを続けます。「●●ちゃん、わかる!?」と聞くと、こっくりうなずきました。ただ、相変わらず目は上を向いたままです。後から医師に聞きましたが、「上天(じょうてん)」という状態らしいです。
まずは人工呼吸もAEDも必要なさそうだと少し落ち着いている間に救急隊が到着しました。後から思うと、到着は本当に早かったです。日本の医療ってすごい。救急車ではバイタルのチェックと酸素の吸入をしてくれています。同時に症状の状況の確認も始まります。搬送先の病院探しが始まります。
どこの病院に問い合わせるか。
決まったら移動する前にも親に確認をする。
語りかけは落ち着いて、ゆっくりと。
こういった対応が徹底されているのでしょう。緊急事態であるにもかかわらず、混乱する親を冷静にさせてくれるようなプロの対応であったと思います。本当に頼りになりました。
9:00~一時搬送先病院へ移動~
搬送先では医師による症状の確認と説明がありました。ここでひとつ発見がありました。熱性けいれんというと、白目を剥いてガクガク震える、こわばる。というような予備知識がありました。娘は私が到着する頃には、目が上に向いてはいたものの震えておらず、こわばってもいませんでした。つまり、けいれんは一瞬だったのだろうと思っていました。これが認識違いでした。
この、「目が上を向く上天状態」もけいれんの症状のひとつなのだそうです。娘は病院に移動した際にけいれんを抑える薬を入れてもらっていました。その際に上天は解消しましたが、それまでの時間は30分ほど経過していました。つまり、娘のけいれん時間は30分ほどの長時間であったというのが医学的な判断になるのだそうです。
また、熱性けいれんには単純型と複雑型という2種類があるのだそうです。長時間のけいれんや、娘のようにインフルA型と同時に発症した場合は、複雑型とという症状になるそうです。
この複雑型の場合、その後の経過で脳症などの後遺症が残るリスクや、けいれんが再度発症する可能性があるのだそうです。そのため、入院し一週間ほど経過を診る必要があるのだという説明を受けました。
10:00~入院先の病院へ移動~
ただ、肝心の入院はここではできないことが分かったため、その場で転院が決まりました。再度救急車に乗り込み別の総合病院へ、ERというのでしょうか、そちらに移動しました。この病院は地域の夜間小児救急に対応しているため、夜中の発熱で過去に訪れたことがありました。
到着後すぐに救急の部屋に入り、採血による感染症のチェック、炎症が起きていないかのチェック、心電図の計測などを行います。その後、感染症(コロナ)が陰性であることを確認の後、小児科病棟の特別治療室(看護ステーションのすぐ横の部屋)に入院となる旨が伝えられました。その頃には娘も高熱ではあるものの、起きている時には普通にコミュニケーションも取れましたし、帰りたいとも言っていました。ここでの待機時間は非常に長かったです。そして、救急医療のスピード感と忙しさは本当にすごかったです。
救急にはひっきりなしに救急車が到着していました。高齢の方が多かったです。転倒して頭をケガした人や、AEDの処置を受けながら入ってくる人、車いすで入ってくる人、状況を聞きに来る警察。人気アトラクションレベルの混み具合でした。そんな中、娘にもやさしい声をかけてくる看護師さんたちの職業倫理観の高さに涙がでる思いでした。
12:15~小児科病棟に入院~
検査が終わり、手続きが終わると小児科病棟に入院となりました。入院の同意書、小児のため安全確保の際に身体の動きを一部抑制する衣類、器具の使用をする旨の同意書、入院中のアメニティのレンタル契約、アレルギーのチェック、その他の説明があり、最後に医師から今後の流れと症状の具体的な説明、入院の期間や治療方針について説明がありました。
前述した通り、娘はインフルにかかっており、けいれん時間が長いこともあり、発症後48時間程度はバイタルチェックをしながら看護ステーション付近の部屋で様子を診ることになりました。部屋にはベッドが4床あり、私の娘も含め3床が使用中でした。正直、娘以外の2床の子ども達は、かなり重症であるように見受けられました。
48時間に再度のけいれんや脳症の疑いがなければ、一般の部屋に移り経過を観察、その後退院となるとのことでした。期間としては約一週間。これは私がほかの経験談を見させていただたいた際の日数とほぼ合致します。一般的な対応として、その程度の日数がスタンダートなのでしょう。
その後、面会時間が15:00~20:00でしたので、一度帰宅し必要なものを用意、再度病院に伺い20時まで娘のそばで過ごしました。
救急医療を利用して感じたこと
私はこれまで健康そのもので、救急医療も総合病院もかかったことがありません。なので、大きな病院の現場は初めて体感したということになります。
まず娘の対応がひと段落して感じたことは「医療関係者への感謝の気持ち」でした。救急隊、看護師、医師、すべての人が冷静で迅速。丁寧で配慮のある行動でした。こんな医療対応が出来る国が世界にいくつあるのだろうか、と思いました。
私も過去に夜勤の仕事に就いたことがありますが、夜勤は本当につらいものです。人への配慮もおろそかになりがちな生活スタイルです。医師も看護師も24時間対応の仕事です。しかも命というとてつもなく重たいテーマと向き合う方々です。そんな中、患者や家族と真摯に向き合い、安心と健康を提供する方たちのなんと尊いことか。本当に感謝の気持ちで一杯です。
そして、日本の小児医療制度のすばらしさ。もちろんちょっとした風邪等で病院にかかっているたびに日々感謝をしているのですが、今回のような救急車の利用、総合病院での治療、入院。ここまでの流れでざっと見積もっても表に出る人たちだけでも医療のプロが10人以上娘と私達家族に関わってくれています。
にもかかわらず、今回かかる費用は衣類やタオル等のアメニティーと、提供される食事の料金のみです。
これは日本の医療・福祉のシステムにおける優れた点だなと思いました。マイナスの気持ちだけでなく、医療にかかわる人たちのために、微力ながら頑張って納税しようと思えました。もちろん負担は軽くできるようにしてほしいとは思いますけども。
まとめ
今回のケースを今日あらためて文字にして、予備知識として皆さんに共有できそうなことを箇条書きでまとめさせていただこうと思います。ぜひ子を持つ親の皆様の役に立てばいいなと思っています。ひとつの例にはすぎませんが。
熱性けいれんは見た目が怖いが「それ自体で死ぬことはない病気」
けいれんが起きたらまず横にして、経過を診る。意識と呼吸を確認する
余裕があれば動画で撮影する(けいれんの様子、時間を医師に詳しく聞かれます)
けいれんが長い場合、様子がおかしい場合はすぐに救急に電話をしたほうがいい
救急で最初に聞かれる情報は住所。まず最速で住所を伝えてからその後の処置を聞く
熱が38℃以上ある場合は、熱性けいれんの可能性があることを頭にいれて看病をする
医療証・保険証・診察券・おくすり手帳は常にひとまとめにして所定の場所(マザーズバッグ等)に常に入れておく
出来るかぎり落ち着く。医療のプロを信頼すること
こんなところが私が得た今回の学びです。
この情報が誰かの助けとなることを願っています。