都立中と都立中受験を知ろう!

これまで10年以上に渡り、
東京都を中心に公立中高一貫校の指導をしておりました。
指導した生徒の合格者数は100名以上になります。

現在はオンラインの作文添削を中心に
公立中高一貫校対策の指導をしております。

夜中に伝えたいことを書き連ねておりましたが、
この記事を見られる方の中には
そもそも都立中についてよく分からない方もいらっしゃるだろうと思いまして、
まずは都立中やその受験について知っていただくところから始めようと、
新たに記事を作成いたしました。
都立中や都立中受験を聞いたことがあるという方も、
新たな発見があると思いますので、ぜひご一読ください。

①都立中とは?

まず、一般に「都立中」と呼ばれる都立の中高一貫校は下記の10校に、
千代田区立九段中等教育学校を加えて11校あります。

(1) 中等教育学校

(2)併設型(都立中学校+都立高校)

現在名称の上では「中等教育学校」と「附属中」に分かれていますが、
既に附属中も高校入試の募集は終了しており、
11校全てが中学入試以外に入学することができません。

私立に比べて安い授業料で6年間の一貫教育を受けられることや、
公立学校でありながら、特色のある学習カリキュラムを経験できること、
高校入試に分断されることなく部活動や習い事を続けられること等、
多くのメリットがあるため、毎年高倍率の受験となります。
また、どの学校も2月3日に一斉受験となるため、
併願受験ができないという特徴もあります。

11校は、校風やカリキュラム、部活動や課外活動など、
公立校とは思えないほど様々な特色があります。
もし受験を検討される場合は、まずどの学校を目指すのか、
学校見学やHPを見比べてご家族で検討することをお勧めします。

②都立中高一貫校へ行くためには?

都立中の進学を希望する場合は、学校によって帰国子女枠や課外活動で優れた成績を収めている受験生向けの特別枠もありますが、基本的には他の私立中同様に入学試験に合格する必要があります。
※公式には入学試験とは呼ばれませんが、便宜上そのように記述いたします。

試験項目としては、報告書と呼ばれる小学校の成績と
適性検査と呼ばれる試験結果の合計点によって合否を判断されます。
(帰国子女枠、特別枠では上記二項目やそれ以外の面接その他の試験が課される場合もあります。)

1.報告書について

小学校の通知表に記録されている各科目の成績を数値化したもので、
高校入試の内申点をイメージしてもらえると分かりやすいと思われます。
区立九段中のみ小4〜小6の3年間の成績を数値化しますが、
他の10校は小5〜小6の2年間の成績を数値化します。

内申点と異なる部分として、
 ・教科の成績のみが数値化される
 ・3段階の評価ではあるが、各成績の間の差が一定ではない
  (よくできる:30、できる:20、がんばろう:5)
 ・課外活動や委員会活動などは一切加点、減点がない
といった点が挙げられます。

2.適性検査について

毎年2月3日に一斉受験が行われる都立中ですが、当日出題される試験は
適性検査と呼ばれ、一般的な算・国・理・社といった科目ではなく、
適性検査Ⅰ、適性検査Ⅱ、適性検査Ⅲといった名称の科目となります。

各科目については概ね以下の出題形式になります。
 ・適性検査Ⅰ:国語の読解問題+作文問題
 ・適性検査Ⅱ:算数、社会、理科の大問が各1題ずつ
 ・適性検査Ⅲ:算数、理科の問題が全部で大問2〜3題

それぞれ100点満点で、
学校によって適性検査ⅠとⅡの2科目を課す学校と、
適性検査Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3科目を課す学校があります。

各科目の問題については、唯一の区立である九段中のみ、
全ての問題を独自に作成しており、
その他の都立10校は基本的には共通問題が出題されます。

しかし、適性検査ⅠやⅢ、適性検査Ⅱの一部について、
独自に作成した問題を出題する学校もあります。

詳細についてはここでは触れませんが、
Xの方で日々レポートしておりますので、
気になる方はこちらもぜひご覧ください。
https://x.com/papyrus_sakubun?t=s7Ny8V1KgnMEDaW8dWRYag&s=09

3.配点と合否基準について

報告書と適性検査の得点にそれぞれ傾斜配点を行い、その合計を1000点満点として、得点の高い順に合格者が決まっていきます。
※これまでは男女別に定員が設定されていましたが、2025年度入試から男女別の募集枠が撤廃されます。

学校によって異なりますが、「報告書:適性検査」の配点比率はそれぞれ
「20:80」、「25:75」、「30:70」のいずれかになっています。

適性検査についても、各科目に対して学校ごとに異なる傾斜配点が採用されています。例として下記の2校を示します。

適性検査2科目の例(三鷹中)
適性Ⅰ:適性Ⅱ = 300 : 500
https://www.metro.ed.jp/mitaka-s/img_sub/filelink/filelink-pdffile-22408.pdf

適性検査3科目の例(大泉中)
適性Ⅰ:適性Ⅱ:適性Ⅲ = 200 : 200 : 300
https://www.pweb.jp/data/dataoz/oizumijy1834090839.pdf

③得点の比重が大きいのは理系

上記の2校以外の学校についても、適性検査Ⅰ に比べ、
適性検査Ⅱ や適性検査Ⅲ の方が得点の比重が大きいです。

報告書については、どの学校についても適性検査に比べて比重が小さく、
さらに傾斜配点によって基礎点よりも圧縮された得点になるため、
他の受験生との差はつきにくくなります。
注意点を強いてあげるならば、「がんばろう」や「もう少し」は極力無くす
ことが望ましいというところでしょうか。

入試では当然得点の高い人から合格していく訳ですから、
比重の大きい科目の対策に時間を使うべきです。
つまり、

都立中対策では理系対策を最優先するべき!


というわけです。

④それでもなぜ作文の添削指導なのか?

理系対策が最優先事項であると分かっていながら、
なぜ私は適性検査対策として作文の指導を選んでいるのか。

その理由についてはまた明日改めて記事を公開いたします!
どうぞお楽しみに!


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