【読書記録】天を味方につける生き方
表紙のたくましい筋肉と、スピリチュアルなタイトルを見て若干読むのをためらっていたのですが、良い意味で裏切られる内容でした。引き込まれて、一気に読み切りました。
以下の動画でも、本書と共通する内容が話されています。
著者のYoutubeチャンネル:
本の内容
著者の山納銀之助さんはエコビレッジビルダー(他にも色々な肩書きがある)で、暮らしに必要なものを自然のもので手作りしたり、自給自足が可能な村づくりをしている方です。タイ、ミャンマー、タンザニアなどでエコビレッジ作りをしたり、Youtubeを見たところ今は石垣島を拠点に活動しているようです。
本書はPart 1とPart 2の二部構成になっており、Part 1ではタンザニアでマサイ族と一緒に村づくりをする45日間の様子が書かれています。Part 2は東京での講演会の内容をもとに、著者がエコビレッジ作りに至るまでの経歴や、実践の様子が書かれています。Part 1も面白いのですが、私が引き込まれたのはPart 2でした。
山納さんは23歳のときに起業し、電気・ガス・水道の資格をとって、家の便利屋さんの仕事を始めました。26歳のときには日本の代表に選ばれて、ドイツとスウェーデンに建築や福祉を学びに行っています。建築に関する豊富な知識から、日本人が世界的に見て高い水準の給与を得ているのに、豊かではない理由の一つが住宅ローンや住宅の寿命に短さにあると指摘します。
著者の人生を一言で表すと、まさに波乱万丈と言えるでしょう。仕事が順調に進み、下請けに依頼するほど大きな仕事を受けますが、中間会社がいなくなって6400万円の借金を背負います。3年間かけて返済したものの、何度も病気を患い、家、車、そして家庭も失いました。その後も、10年間かけて作った村が東日本大震災で被災して壊滅したり、その次に作った村も地主に乗っ取られるなどの大きな挫折を何度も経験します。
全てを失い、どん底の中で木の下で寝ているとき、もうこれ以上落ちることはないことや、24時間自分のために使える時間というかけがえのないものを手に入れたことに気がつきます。その後、長年狩猟採集をして暮らしている師匠に出会い、自然の中で生活する方法を学びます。自然の中で自分自身が満たされ、次第に余裕が出てきて人助けをしたくなった頃に、エコビレッジを作る依頼がやってきます。そこからは、人間界に戻って安心な生き方を伝える活動を始めます。
エコビレッジ作りの実践の部分から学べることは、自然の中で生きることの素晴らしさや、人間は縛られているということでしょうか。チェンマイで土で家を作るワークショップを開いたときには、医者や弁護士などのお金持ちばかりが集まりました。
彼らが口を揃えて言うのは「お金では安心を買えない」ということでした。お金を稼ぐほど失うことが恐ろしくなって、家を塀で囲んだりガードマンを雇ったりします。エコビレッジではドアも壁もないところにみんなで寝ていて、安心して過ごしていました。
自然の中で暮らしていると、都会で暮らしていたときにバラバラになった体と魂が一つになります。自然の中で暮らすと、動物が寄ってくるようになるそうです。自然はそれだけで素晴らしい場所で、自然の中で得られた安心感は、都会に戻ることを難しくします。自然の中で過ごすと五感が研ぎ澄まされて、タンザニアに言ったメンバーはメガネが要らなくなったといいます。ちなみに、著者の視力は4.0あるそうです。
印象に残ったところ
タンザニアで、警察に連れて行かれて牢屋の中で1泊したときの話。
大学に入学した理由について。思わず笑ってしまいました。
必要以上に蓄えないことについて。
畑仕事は15分でする。
まずは自分が満たされてから。自分が満たされて初めて、周りを気に掛ける本当の余裕ができる。
好きなことをやるから上手くいくし、上手く行かなくても満足できるからそれでいい。
まとめ
面白かった!おすすめです。私も今は何も約束がなくて自由なので、「やりたいことやればいいよ!」と背中を押してくれる本でした。