![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/172886332/rectangle_large_type_2_2cc6d59b5f2ef0307d2ae78849e5d845.png?width=1200)
ジークアクスが描く「2025年たった一つの正解」
公開直後からSNSで話題沸騰。さらには追加の情報解禁や、舞台挨拶でその盛り上がりが加速している『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』。
僕らもこの作品に大興奮し、何本もの記事を公開してきました。
今回はこのあまりにも衝撃的、そして歪な作品構造がいかに世界を変えうるエキサイティングなのものなのか。そして本作こそが2025年の理想的なコンテンツ像ではないかというテーマで話したいと思います。
もちろん作品内容に触れますので、ネタバレ注意でお願いします。
ガンダムを再発見・再スタートさせる「第一話」
![](https://assets.st-note.com/img/1738537641-mw3Qn5pRULPoOMXDZIdyetuF.jpg)
先日、僕も制作スタッフとして参加している人気Podcast「THE SIGN PODCAST」のジークアクス回に出演し、音楽評論家の田中宗一郎さん、映画音楽ジャーナリストの宇野維正さん、ライターのさやわかさんと共に、全2エピソードにわたって本作について語りました。
その中で僕は「第一話が2回ある映画」という話をしました。
つまり、本作では2つの物語がスタートしているわけです。この「2つ」「2人」というのは、「MAV戦術」や「クランバトル」「白いガンダム/赤いガンダム」という作中概念や構図からも、明確に作品テーマと結びついていることがわかります。
マチュのさりげない発言「割り込まないで!」も、ストーリー全体を象徴する重要なセリフとなることでしょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1738537682-6gKqnEXM8PxDvyOms2QCrGW1.jpg)
では、本作で始まった「2つの物語」とは何なのか。
どこに視点を置くのかでその解釈は変わりますが、ユーザー目線、あるいは『ガンダムシリーズ』や『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』を俯瞰した際に見えてくるのは、次の2つです。
・ガンダムファンが見る「新しい『機動戦士ガンダム』A」
・新規ファンが見る「新しい『機動戦士ガンダム』B」
つまり、ここでは1979年の『機動戦士ガンダム』が再び立ち上がるばかりか、2つの新しい姿を見せているわけです。
しかし重要なのは、AもBも実際は同じ初代『機動戦士ガンダム』であること。
ちょっと想像してみてください。
ガンダムファンにとって冒頭の『-Beginning-』は、知っているけど知らない新しい初代『機動戦士ガンダム』であり、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』はそのこれまでに観たことのない初代『機動戦士ガンダム』のその先を描く作品です。
それに対して、ジークアクス新規の視聴者にとっては全くガンダムが別の視点で見えてきます。
SNSでは彼らが新しく初代『機動戦士ガンダム』を配信で視聴し始めている動きが盛り上がっていますが、彼らにとってはむしろ『-Beginning-』が起点。
![](https://assets.st-note.com/img/1738537726-Fu43WZXBq5CoYIyH7hw62cki.jpg)
要するに初代『機動戦士ガンダム』でサイド7にシャア専用ザクが侵入しないこと、そしてシャアではなくアムロがガンダムに乗ること自体が「あれっ?」という驚きなんです。
初代ガンダム1話見ました https://t.co/AoIrSvcfiK pic.twitter.com/AOJ0xV8j4a
— 汚泥灰🥇 (@odeibai) February 3, 2025
それってガンダムファンが『-Beginning-』で感じた違和感と衝撃を、別レイヤーで体験しているってことですよね。
さらにはSNSに投稿される彼ら新規ファンの驚きが自体が、これまでのガンダムファンからすれば「自分たちが体験できなかった視点での初代『機動戦士ガンダム』」になって、それもまた「コンテンツ」になるわけです。
・『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の始まり
・「新しい『機動戦士ガンダム』」の始まり
この2つが、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』で始まったのです。
世代の分断をつなぐ「TikTok的コンテンツ」
![](https://assets.st-note.com/img/1738537797-vgJ0Wc8uyHMoZBLljmOqnSEN.jpg?width=1200)
『機動戦士ガンダム』という古典とも言える長寿&広大なIPに新しい命を吹き込み、往年のファンと新規ファンが世代を跨いで、それぞれの視点を楽しみながら緩くつながっていく。
この『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』から連想したのは、音楽におけるTikTokです。
というのも、実はTikTokで流行る音楽は、最新の楽曲ばかりではありません。昔の曲が突然リバイバルヒットすることが多く、これは日本だけでなく海外でも共通です。
YouTubeともまた異なるアルゴリズムの力によって、文脈を超えたヒットやリバイバルを生むTikTok。
そして、企画と作品構造、圧倒的な情熱と作り込みによって、これまでの歴史で紡がれた『ガンダムシリーズ』のお作法や文脈を超えたところで、『機動戦士ガンダム』にオリジナル以来最大のリバイバルを起こし始めている『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』。
「絵柄が古いので若い世代には厳しいだろう」と言われていた『機動戦士ガンダム』を若い世代に見せたこの功績は、ガンダムを超えて、世界中の巨大IPにとって新たな指針となるのではないでしょうか。
(実際、すでに「スター・ウォーズはこれをやるべきだった」という意見も)
「2つの物語」って「現実世界そのもの」じゃん?
![](https://assets.st-note.com/img/1738538724-LJiWnN4F9xzskShDGYT3HjXV.jpg)
最後に。
ジークアクスが何よりエキサイティングなのは、本作が作った状況や物語が、現実世界とリンクしているということ。
「認識が世界を作っている」とはよく言いますが、今ほどこの言葉が真実味を持って感じられる時代はないでしょう。
フェイクニュースやフィルターバブルという言葉がすっかり馴染んだ現代において、誰もが同じ世界を生きているのに、パラレルな世界を見ている。
そしてその”並行世界”感は、二項対立という大きな物語と緩く接続され、利用されてしまいがち。
![](https://assets.st-note.com/img/1738538921-SawkUMtlCbWci7o9P8mZdYvX.jpg)
そんな世界と時代を生きている僕らに、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』はどんな物語を見せてくれるのか。
どんな光を見せ、音を聞かせてくれるのか。
本当に楽しみです。
(照沼健太)
ちなみに、僕らのYouTubeでは米津玄師「Plazma」をジークアクスの展開予想と絡めて解説しています。よかったらぜひご覧ください。