一月一酒 第32回
初出:月刊ハンガリージャーナル 2007年3月号
Dobogó Furmint 2004
醸造所:Dobogó Pincészet
産地名:Tokaj
1869年から今に伝わるドボゴーDobogóワイナリーは、トカイ・ワイン地区の中心にあります。1995年に同ワイナリーを買収したツヴァック・イザベッラZwack Izabella氏の目的は、Dobogóの歴史的ワインを復活させるとともに、トカイ地区のかつての栄光を再現することにあります。氏の醸造哲学は、トカイの伝統を守ると同時にワイン醸造技術の発展に寄与するということにつきます。
同ワイナリーから市場に供されるワインは、辛口のフルミント、遅摘みブドウによる甘口のキューヴィー、そして貴腐ワインは6プットのみです。
同社の醸造哲学の1つの例題ともいうべきワインが、今回ご紹介する2004年産の辛口フルミントです。この美しい白ワインは、Mád地区の特徴的な香りと、ハンガリー原産ブドウ種の良さの再発見、という2つの要素が統合しています。
このワインに使われたフルミント種は、MádのBetsek畑とTállyaのPalota畑で栽培されている30歳の株から収穫されたものです。そこにはバニラ、洋梨、桃、オレンジ、オークの香りが秘められています。味わいはフルミント種のもつ個性が凝縮され、クリーミーな舌触りも発揮されています。
全量の半分ずつがバリク樽とステンレス樽のなかでそれぞれ醸造された、若くダイナミックなこの白ワインは、7~8年の熟成能力を有します。合計8,936本生産の2004年産フルミント、魚、鶏肉、海産物、きのこ類の料理のお供におすすめします。
原文:Szilaj Eszter
画像・訳文:高久圭二郎
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