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人生で一番泣いた日

何年たっても忘れられない出来事って誰しもあると思います。

しかも鮮明に覚えていて、その時の情景や匂い、感情までハッキリと覚えている。最悪な出来事だったけど自分の中では絶対に忘れたくない日。

それは、サッカー選手として頑張っていた23年間の中の1日です。

報われない悔しさ

皆さんにもありますよねきっと。泣いても泣いても何で涙は枯れないんだ!という経験。

あれは前十字靭帯断裂という大きな怪我から試合の復帰に向けて頑張っている時でした。

毎日毎日試合に復帰できる日を思い描いて必死でした。
もう本当に、必死でした。

必死だった理由の1つは、私の復帰を楽しみにしてくれている人たちがいたから。
もう1つは、このシーズンでこのチームをやめることを決めていたから。

だから何としてでもこのシーズンが終わる前に復帰して、このチームに最後恩返しをして終わらないといけない。そんな誰でもない自分自身がかけたプレッシャーと戦っていました。

当たり前ですが、怪我が治ったからといって試合に出れるわけではなく、怪我が治ってそこから自分のパフォーマンスを上げて、「試合出場」を勝ち取らなければなりません。

「怪我をする前の自分」と「今の自分」を比べてしんどくなったことが何度も何度もありました。

「こんなもんじゃない」
「もっとできていたはずだ」
「まだまだやれる」

そんな風に自分を奮い立たせてもがいていました。

怪我をしたことある人ならきっとみんな同じ経験をしていると思います。

でもこの考え方って自分を苦しめる要因でもあって、あの時とは自分の身体は違う、ということを認めた上で進んでいかないと一生そこから抜け出せなくなるんです。

「まだまだやれる」という感情は必要な感情だけど、時に自分を苦しめることにもなる。

そんなことを感じていました。

そして調子も上がってきてもうすぐ復帰できそう。
試合にも出れそう。という時。

たくさんの人が、こんな私の復帰を楽しみにしてくれていて、

「そろそろ復帰?」「出るなら次の試合見に行こうかな」

ありがたいことにそんな風に言ってくれる人たちがいて、その人たちの期待に応えるためにも絶対メンバーに入らないと、と余計に追い込まれていたと思います。

絶対にメンバーに入ってやる!!

と意気込み1週間必死で練習からアピールしました。

試合前日の練習後、メンバーがボードに張り出されます。調子が良かったので割と自信がある中、ボードを見に行きました。


私の名前はありませんでした。

涙を堪えてやるサッカー

すぐに監督に聞きに行きました。

「理由を教えてください」

基本、メンバーに入れなかった時は自分の実力不足、まだまだ足りない、自分のプレーでチームを勝たせられるレベルまで達していない。

そう思うのが普通で受け入れられるのですが、この時ばかりはどうしても納得できず、考える間もなく聞きに行ったのを覚えています。

「怪我する前のプレーにまで戻っていない」

そう言われました。怪我をする前の自分と比べないようにずっとしてきた中で、このタイミングでこれを言われたのは正直自分にとって残酷でした。

でももちろん自分で分かっていました。あの頃の自分にまで達してないことは。でも「今」の自分を見てチームに貢献できるかで判断してほしい。あの時はそう思っていましたが、それも勝負の世界では甘い考えだったのかもしれません。

そしてメンバー発表後すぐにメンバー外だけで行う紅白戦がありました。

監督に指摘された部分を、部分だけをとにかく意識して、必死に涙を堪えながら、悔しさをぶつけるようにいつも以上に頑張りました。

どんな状況でも腐らないとだけ心に決めていたので。

でも涙を堪えてやるサッカーは全く楽しくなかったです。

ひたすら泣き続けた2時間

紅白戦が終わった後、真っ先にグランドを抜け出しすぐ隣にある海岸に一目散に向かいました。

人気がないところでうずくまって、堪えていた涙を思う存分流し続けました。

これは盛っているわけではなく、本当に2時間、もしくはそれ以上、枯れることなく、おさまることもなく泣き続けました。

メンバーに入れなかったくらいで、人生の終わりかのように感じていたあの時。何が私をそうさせたのか。それはやっぱり、

「応援してくれる人の期待に応えられない悔しさ」

だったと思います。

たくさんの知り合いが明日の試合を観に来てくれる予定だったので、その人たちに復帰している姿を見せるつもりで、文字通り死ぬ気で、必死で頑張ったのに報われなかった。

頑張ったからって報われるとは限らないし、報われない事の方が多いことを分かっていても、悔しさが減るわけではありません。

どんな顔で明日試合会場で知り合いに会えばいいんだろう。

ピッチに立てないどころかベンチにもいない私を見てどう思うだろう。

そんな「周りからの期待」を必要以上に自分で大きくして受け取っていたからこそ、余計に辛かったのだと思います。

見知らぬお婆ちゃんがくれた優しさ

1時間ほど泣き続けた頃でしょうか。

近所に住んでいるであろうお婆ちゃんが私のもとにやってきて、

「兄ちゃん、何があったんか分からんけど、人生しんどいことばっかりと違うからな、必ず良いことがあるから大丈夫やで。」

と言ってリポビタンDを渡してくれました。

しばらく部屋に飾ってたリポビタンD(笑)

号泣していた私はその言葉に更に号泣し、言葉にならないありがとうを

「うぅっ」

とだけ伝えました。「兄ちゃん」と言われたことに突っ込むことすらできず後から反省したのを覚えています(笑)

今でもこの時を思い出すと涙が出そうになります。でもこのお婆ちゃんのお陰でこれを思い出した時に出そうになる涙は、悔し涙ではなく感動の涙に変わりました。

お婆ちゃんの優しさも相まって更に涙は止まらず、そこからまだ1時間くらいは泣き続けたと思います。今思えばそんなに泣くことか?へちょいな自分、と思いますけど。

チームメイトが私を探しにやってきてくれました。そしてチームメイトを見てその優しさに更に号泣。いい加減にせえ!(笑)

そういえば友達を空港に迎えに行かないといけないことを完全に忘れていたことに気付きそのチームメイトにお願いして迎えに行ってもらいました(笑)

その時点でかなり遅れていて、携帯も持っていなかったから完全に無視。友達は困っていたことでしょう。あの時はゴメン(笑)

車に乗って帰る時も、いつも相談に乗ってくれる仲の良い友達に号泣しながら電話。もう本当にいい加減にして?(笑)本当に涙が止まらないってこういうことだ、と身をもって体験しました!!

伝えたいこと

結局私がこの話を通して伝えたいことは、

今涙が止まらないほど悔しい経験をしている人も、いつかこうやって笑い話にできる日が絶対に来るし、

その涙はあなたが本気の証拠だし、

そのもがく時間は、あなたを一歩前に成長させてくれるもので、腐らずやり続ける限りは必ず意味のあるものになって自分に返ってくる

ということ。

そして周りの期待に応えようと頑張りすぎず、周りはあなたが心から楽しむことを期待している。と心に留めておいて欲しい。

そしてお婆ちゃんはいつだって偉大

ということも!

アスリートなら誰だって経験するような話を少し良い感じに書いただけですが、誰かの勇気に繋がれば嬉しいな~!と思って書いてみました。

ちなみにこれは泣き続けた次の日、目がとんでもないくらい腫れてたのでホットアイマスクしているところです。

それではまた、書きに来ます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


Hikari



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