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500 Startups海外進出アクセラレーターに参画し得られた重要なアドバイス

こんにちは、GAOGAOアドベントカレンダー23日目の記事です。

弊社は東南アジア発のスタートアップスタジオとして2年半前に創業し、現在世界4カ国以上のスタートアップ・大手新規事業部のお客様の開発を支援しております。

今年2020年3月からは代表である私がシンガポールに一人で渡り新拠点の立ち上げを0から行なっておりました。その直後からコロナでサーキットブレイカーが発動し家に閉じ込められどうなるかと思いましたが、業務全てをオンラインに早いうちに対応することができ、現在事業全体はグロースを続けております。

そんな中9月頃にふと東京都が主催しているX-HUB Tokyoという海外進出支援のプログラムの存在を知り申し込んでみました。USや東南アジアなど世界の地域を選べるようになっており、地域ごとに実際のアクセラレーター運営母体は変わるようです。シンガポールコースは500 Startupsが全ての運営の委託をしているようです。500 Startupsはご存知の方も多いと思いますが、USを代表するトップレベルVCです。彼らがGlobal Launchというスタートアップの海外進出に特化したアクセラレータープログラムを運営しておりました。

・500 StartupsのGlobal Launchプログラム

・Global Launch - Batch 2採択スタートアップリスト

弊社は今年の10月から約2ヶ月間ほどこのシンガポール進出のためのアクセラレータープログラムに参画し、結果的に大変厳しいご指摘をいただき、自社バリューの再認識を行う機会として非常に良いプログラムとなったので忘れないうちにnoteにてメモをしておきます。

500 Startups Global Launchアクセラレータープログラムとは

アクセラレータープログラムの参加対象としているのは、母国で既に一定以上の売上を上げているスタートアップです。そのような企業を海外進出するためのノウハウを500 Startupsが提供し、将来的な投資先としての縁を作るようなプログラムのようです。

提供されている内容は以下のような充実の内容です。

・東南アジア進出に関連したレクチャー:国ごとのカルチャー・市場の理解、パートナーシップ戦略、採用などについての講義を受けられます。実際にAirbnbの海外進出を担当していた方などが解説をしてくれたり、と内容の質も高いです。インタラクティブに質問も可能です。
・豊富なメンタリングセッション:各スタートアップに一名専任のメンターが付き、その他にもメンターを指定して相談できるシステムになっています。
・ゲスト対談とネットワーキングイベント:後半1ヶ月はレクチャーよりももう少しラフな対談・パネルディスカッション形式で行われ、名だたる企業の方々とネットワーキングも可能です。
・ピッチトレーニング+投資家向け最終ピッチ:最終的に投資家向けにピッチをするために、英語ピッチのトレーニングサービスがつきます。

全てオンラインで実施されました。進行は全て英語で行われます。期間は約2ヶ月間、弊社からは私と共同創業者のKenさんと2名で参加しました。他のスタートアップは日本以外にも、インド、US、香港、ヨーロッパなど世界中から参加していました。

選考のための面接では「サービスについて」、「ユニークポイント」、「市場の大きさ」、「なぜ東南アジアなのか」など事前に用意された質問に対してきっちり4分間以内に英語でピッチするというものでした。事前にシンガポール人の知り合いにレビューをしてもらったりなどして私たちはなんとか選考は突破できました。

上記に挙げた提供コンテンツの詳しい内容についてはここでは触れませんが、私にとって最も学びが得られたと思う点に絞ってご紹介いたします。

メンターに怒られる経験と一番の学び

毎週メンターに相談できる機会をいただきました。私たちの専属メンターはアメリカ人でスタートアップのアドバイザーとして活躍されている方でした。

2週目に私たちは深く考えずチャネルパートナーに関連した話で「東南アジアでは日本のお客様に提供している方法とは少し変えて攻める」と言った内容の報告をしました。

それを聞いたメンターの方は「なぜ」と質問しました。それに対して私は「今週一回行ったヒアリング結果からそう思った」と説明しました。それを聞いた彼はなんと激怒しました

(以下実際は英語で言われています)

「お前たちはたった一つのヒアリング結果でやり方を変えるのか、もっとお客の課題をとにかく大量に聞いてこい!」

「君たちはなんの課題を解いているんだ!」

さらに加えて、「10、20件以上お客様とヒアリングをしない限り私は君らと話をするつもりはない!!」

と、激おこでした...(冗談ではなく)。

その時出席していた私と共同創業者のKenさんは最近怒られる経験をしておらず呆気に取られつつも、彼の的確な発言にハっと気付かされました。

「確かにメンターの彼の言う通り、自分たちはきちんとお客様の課題を理解していなかった」と。

お客様の本当の課題を理解する

これが、私たちのこのプログラムを通じて得られた一番の学びです。

弊社はエンジニアを集めたスタートアップスタジオです。今は起業家の支援から大手の新規事業部、最近ではDXの支援まで幅広くソリューションを提供しています。なんとなく私たちには、このエンジニア需要の強い市場で優秀なエンジニアが集まり開発を支援していけばグロースしていくだろうと言う気持ちはありました。それは日本国内ではなんとなくうまくいくかもしれません。しかし、海外を進出するにあたって、日本語も通じないお客様を相手に、それではうまくいかないでしょう。起業家である私たちはお客様が抱える課題に真摯に向き合い深掘りしていく必要があり、それをきちんと実施していなかったことに気づきました。

ついつい社内に目が行きがちだった私たちは彼のアドバイスのもとお客様側にもっと向き合うことに決めました。そこからしばらくは方針を切り替え、とにかくヒアリングの実施に専念しました。

顧客と向き合うことは基本中の基本

弊社サービスは既に著名大手企業にも数社利用していただいています。既存のお客様、ポテンシャルのお客様、パートナシップの可能性のある方など様々な方とヒアリングを実施しました。以下はその一部をリストしているものです。

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ヒアリングを通じて2点ほどお客様が抱える大きな課題が浮かび上がってきました。

1. 社内にビジョンや予算などを理解した上でIT・サービス開発に関連した意思決定をできる人材がいない
2. 特に海外にある日系企業の場合、日本人エンジニアの意思疎通のしやすさ・品質の高さを理解しており、オフラインで日本語でコミュニケーションを取りながら進められる人材を探しているが見つからない

お客様が困っていることに対して戦略を練る

弊社ではこのお客様の困っているポイントにフォーカスし、解決を実行できるための人材を "スタートアップエンジニア" と名称つけ、そのスタートアップエンジニアがお客様と同じチームの一員として企画段階から開発、内製化まで支援するタレントプラットフォームを構築するアプローチを取っています。

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過去スタートアップの現場に代表される10名以下の組織での開発現場を経験しているエンジニアこそが、意思決定能力を含む0->1のフェーズで必要なスキルを伸ばしていることが多く、事業責任者と同じチームでバリューを発揮できると考えています。弊社ではそのようなエンジニアの技術スキルだけではない部分の価値に注目し、社内の評価制度を策定、教育の実施、また採用基準としても設定することにしました。

投資家向けのピッチの結果

最終的にこのプログラムでは投資家に向けてピッチを行います。メンターによるピッチトレーニングサポートも繰り返し受けて、本番に臨みましたが、残念ながら私たちのサービスは特に海外の投資家たちには響きませんでした。


私たちのサービスは人を軸にしたビジネスモデルで、VCの望むようなJカーブのグロースを実現しにくいため投資対象としては少し外れることは理解しております。一方、弊社のような人中心コンサルのビジネスモデルに近い事業は比較的売上を伸ばすことがしやすいですので今すぐ資金がなくては生き残れないという状況でもありません。VCからの調達自体はあくまで手段であって目的ではないです(負け犬の遠吠え)。弊社の場合、将来資金が大きく必要になるタイミングでまた戦略を立てて調達をすることを検討しています。

海外進出は簡単じゃない

「海外」、「グローバル」と聞くとワクワクすると思います。私もグローバル視点は必ず持ち続けたいと思っていますし、もっと日本のエンジニアや起業家がグローバルマインドを持っていくべきだとも思っています。

ただ、海外進出(特に海外のお客様の獲得)は日本語というコミュニケーション手段を使えないですし、我々は英語もネイティブではない点もあり、むしろ不利です。なんとなく価値提供をすればうまくいく世界ではありません。海外の方々へヒアリングすると「日本人=少し変わったカルチャーを持っていて、サービスもちょっと他の国より価格が高そう」という印象くらいしか持ち合わせていないように感じます。グローバルをターゲットにする場合「日本人だから」という発想にとらわれず、実際にお客様のヒアリングをしつこいくらいに実施して、自社の強み・バリューを再考して、価値を提供していかなければなりません。

また、海外には日本では見えなかった競合の存在も出てきます。東南アジアは特に安い人件費でサービスを提供する企業も多いため、日本マーケットとはまた違う差別化も考えていく必要があります。

私は海外進出を短期的なものと考えてはおらず今後数年かけてまずはアジアのハブとしての存在感が強いシンガポールを起点に施策を進めていくつもりです。海外拠点のノウハウがほとんどない状態からこのようなプログラムなどを通じてなんとかやっており、徐々に立ち上げのナレッジが溜まってきたので、それらも定期的に別記事にてまとめようと思います。

着実に実績を積み上げていくしかない

今回のアクセラレータープログラムを通じて海外進出のエッセンスを学ぶことができました。結論としては、海外進出して成功するかどうかは何かのノウハウがあれば必ず成功するものがある訳でもなく、一つ一つ文化を知り、お客様を知り、着実に小さいところから実績を積み重ねていく他ないと思っています。

マジックはないので愚直にやっていきましょう。ただ愚直と言っても日本と全く同じやり方で海外を進めると言う意味ではなく、海外でその文化の特性に柔軟に合わせて泥臭くお客様と向き合い、一つ一つ丁寧に乗り越えていく姿勢を持つイメージですね。

英語について

私も英語は特別得意でもなく流暢でもないため、このプログラムは全般的にかなり苦労しました。一方、このプログラムを通じてかなり英語力を向上できたという実感がありますので少しだけその点についても触れておきます。

自分はリーディングとリスニングはある程度できる典型的な日本人英語学習の道を辿っていたため、この2ヶ月間はとにかくスピーキングに集中してトレーニングを行いました。

私が実施した英語スピーキングトレーニング手法
1. Shadowing by Podcast
2. Daily Business English Lessons
3. English Pitch Training
4. Speak Anything You Just Now Think
5. Meet Foreigners in Person

ちなみにシャドーイングにオススメポッドキャストはこちらです。

上記のスピーキングトレーニングの内容は英語オンリーの技術LT大会であるEnglish Nightなど前回登壇させていただきました。またご紹介させていただくかもしれません。

興味ある方はぜひ12/26(土)のEnglish Night vol. 6  にご参加ください。

まとめ

今回は大人になると貴重な怒られる(しかも英語で)という体験を通じて得られた学びの内容について綴らせていただきました。厳しく接していただけたことでより気が引き締まり弊社としてはプラスの方向へ向かうことができたのは間違いないと思っています。怒っていただけるということはそれだけ真剣に考えてくれているという意味でもあるので、このような有益なプログラムを用意してくださった500 Startupsシンガポールチームの方々には本当に感謝しております。

おそらくまた来年もこのアクセラレータープログラムが実施されると思いますので興味のある方はぜひご参加してみてはいかがでしょうか。豊富なコンテンツの他にもAWSなど多くのサービスのクレジットももらえます。良い事だらけです。

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