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元会社員エンジニアから経営者へ。海外で2社起業して感じること

私は今から6年弱前にタイで1社目を起業し、3年前に2社目を起業し現在はシンガポールやタイを中心にスタートアップスタジオの事業を行っています。

四六時中毎日コードを書いていた長いエンジニアキャリアを歩んでいた自分が、ここ2年くらいで経営にフォーカスすることになり、現在感じていることを備忘録として綴ります。

もしこれから起業を考えていたり、事業責任者になるようなエンジニアの方がいたらご参考になれば幸いです。

1. 経営はマラソン

プログラミングは期待されるアウトプットがあり、それに対してインプットデータが与られ実装したアルゴリズムを通じてアウトプットを確認していくものです。いかに早く正確な出力を算出できるかが重要になります。一方、経営(事業作り)も期待されるアウトプットを定めて決めた手続きを実行するという点は似ているのですが、評価を行うまでに時間がかかります。また多くの事業は「人」という時に非論理的な媒体を介すことが多いためシンプルな論理では通じないことも多く、目標に向けてまずはやってみる、そして評価し改善し続けていく根気強さも大事です。現実の世界では、色々予想しないデータが流れてきて、問題が起きては修正をしていきます。大抵数ヶ月といった短期間では実現できず数年単位で先を見据えるべきです。プログラムを数行かけば魔法のように企業が成長すると言うことはなく、長期の目標を設定してそこに向けてコツコツとやっていくマラソンのような世界だと感じています。

2. 経営はエンジニアリング(工学)

経営は抽象化すると「自社でバリューを作って、それを望むお客様にバリューを提供する」ことです。そのために、お金・人・ナレッジ・ツールを活用し磨きをかけてバリューに精度を高め、そのバリューをお客様に提供し対価としてお金をいただき、バリュー提供の総和を大きくしていく活動と言えます。

バリューを最大化するためのKPIを設定して、その数値を高めるための因数分解を行います。例えば、KPIを分解すれば採用活動に行き着くはずです。採用は自社のバリューを高めるために大事な活動です。採用活動を行うチャネル、かける時間、候補者の採択率、採択後の活躍、それぞれさらに定量的に分解し、より良いアプローチをとっていく活動が大事になります。

それぞれの数値を上げるための施策をどう実現するか、その手続きをソフトウェアのプログラミングという枠を超えてどういうアルゴリズムで実装するのか、を考える必要があります。「因数分解をどのように行うか」と「分解をしてから実行すること」は双方違った難しさがありますが時には解答がすぐに得られない問題をどう解くのかを面白く感じる時もあります。そう考えるとエンジニアは経営を楽しめる気がしますね。

3. 教育を軽視するな

潤沢な資金があったりもうエンジニアからの認知度が確立されているメガベンチャーや大手であれば採用にそこまで困ることはないと思います。一方、自分が立ち上げたような無名な会社にエンジニアがなぜ集まるでしょうか?資金もないブランドも確立していない会社がエンジニアを獲得するためには、ビジョンに共感する人を集めて巻き込んでいくしかないです。

私自身教育を軽視していた節があります。なぜならば、私が在籍していた大手やメガベンチャーにいたときは随時優秀な人材が入っては数年したらやめていくのが普通で、教育を受ける必要ないエンジニア人材が循環されているんだろうなというような印象を持っていたからです。

即戦力が必要と謳われるスタートアップこそ、きちんと教育に向かい合う必要あります。まずビジョンを持ち、そちらに共感してくれる人を巻き込み、「スキルだけでなくビジョンを共に目指す志も育てていくこと」が大事です。ビジョンがもしなかったら、仮にどなたかが参画したとしても高額な報酬を払い続けられない限り、すぐに辞めてしまうでしょう。(そもそもビジョンのないスタートアップは他の選択肢と比べてリスクしかないので、見向きもされないかも知れないですね)

スタートアップのような新しいことにチャレンジできる若手こそ、スキル面だけでなく会社が目指している方向性と個人が目指している方向性を教育によって合わせていくことができると思います。「共感してくれるメンバーを大切にし、教育を行なっていくことが大事である」と言うことに私が気づくのに結構時間がかかってしまいました。

4. 受託マインドを捨てろ

起業しているなら受け身で仕事をしている人なんていないと思われるかも知れないですが、私は大手から自身で起業を行なった後、しばらくは自分で仕事を生み出す方法がわからない時期がありました。今までの仕事は上から降ってくるという働き方に慣れすぎていたんです。

「仕事をする」=「仕事を生み出し、意思決定を行うこと」です。

仕事はどっかからやってくると言うような考え方は今すぐにやめましょう。仕事に受け身である姿勢を弊社では「受託マインド」とか呼んだりしていますが、案外独立して数年経っているフリーランスの方も受託マインドが染み付いてしまっている方も多いです。

自分がリードする意識をしっかり持ち、仕事を作っていく意識を持ちましょう。そして、意思決定を避けてはいけません。経営を行う立場になったら、何かの意思決定で最終的に決裁権を持つのはあなたです。関わるところは積極的に介入し意思決定に関わるアクションを実行していくことが大切です。なお、プチバズり(?)したツイートがこちら。

5. 仲間を信頼せよ

優秀なエンジニア出身起業家が陥りがちな罠でもありますが、他のメンバーが入って教育をしながら進めるくらいなら、自分でやってしまった方が速い、と考えてしまう方も多いです。実際に一時的にはそうなのかも知れないですが、そのフェーズを超えた後はメンバーや会社に残るものは少ないはずです。おそらく参画したメンバーにとっても、やりがいがなく辞めてしまうでしょう。この考えを持ってしまうと延々と個人事業主の枠を超えられないです。

私も一時期そのように考えている時期がありました。とある時に新卒のメンバーに思い切って任せてみました。結果、彼は私の予想を上回り、自走し、うまく進めることができました。この経験を通じて私は「仲間を信じて任せること」を学びました。

今では私は最近、自分一人じゃ何もできない、と思うようになってきています笑

「仲間を信頼し、教育も行い、任せていくことで、より大きなことを実現できる。」そのようにマインドが変わったのはここ数年です。不思議とそのような考えを持ってから事業が伸びるようになりました。

6. 自分そのものをさらけ出そう

なかなかうまくいかない時に「他の人はできているのに自分はなんでできていないんだ」と考えたくなるかも知れないです。

他の人になることはできないので自分らしさをより一層出していけば良いんです。そのように頭を切り替えてから不安なく進められるようになりました。

人は嘘を見抜く能力が高いそうです。自分を偽っても、その嘘は社員に伝わります。自分らしく堂々とやっていこうと決めてから私は気持ちが楽になりました。興味のある方は、詳しくは以下の記事をご参照ください。

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以上、起業してからの学びという意味ではこの10倍以上は書けそうですが、、今回の記事ではここまでで。

元エンジニア会社員から起業して6年経ち今思うことを綴りました。もしエンジニアから経営者を目指している方がおりましたら、ぜひご参考までに。実際に起業・経営したら楽しめる方も多いんじゃないかなと思います。

最後に

弊社GAOGAOでは現在スタートアップからDXまで多くのプロジェクトが日本と東南アジアを中心に並行して動いています。エンジニア(特にNextJS/Rails/Laravel)、デザイナー、PM、広報・採用担当者などあらゆる職種が現在切実に足りておりません!

業務委託でOKですので、ぜひエンジニアが世界や起業にチャレンジして、世界中でものつくりの連鎖を起こしてワクワクする世界を作りたいと思っている方おりましたら是非お気軽に @tejitak まで連絡をお願いします!


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