プロにならないほうの演劇
※本当は前回のnoteに組み込むつもりだったのですが、長文になってしまったので別記事としてまとめました。ウダウダとした文章ですが、よろしければお付き合いください。
転職の話
転職活動中に、「『本当は演劇がやりたかった』と二度と言いたくない」というnoteを書きました。大学4年間を演劇サークルに費やしてきた人間なので、心のどこかで(せっかく転職するなら好きなことを仕事にしたい)と考えていたのだと思います。
結論から書くと、演劇や映像に直接関わる仕事には就きません。
舞台制作として内定をいただいたりもしたのですが「プロ(本業)として演劇や映像をつくる人」にはならないことに決めました。
(転職先はエンタメ業界ですが制作会社ではないので、いわゆる"現場の人"にはなりません)
理由は単純で、労働環境に耐えられないと考えたからです。
「残業70Hでとても好きな仕事に就く」か「残業30H未満でそこそこ好きな仕事に就く」か考えたとき、自分は後者をとることにしました。
正直、新卒のときだったら前者をとっていたと思います。
でも前職で持ち帰り残業や休日に連絡がくるような環境を経験して、自分はそれらに耐えられるほどタフではないと感じるようになりました。また新卒1年未満での転職だったので、「2回目の転職を見据えた転職」はリスキーだな、という思いもありました。
あとは、転職活動になってようやく「働いている自分」を想像できるようになったのも理由の一つかな~と思っています。
もう、前の会社で働いているときの自分がヤバくてですね。
休日も仕事のことが頭から離れないし、毎日疲れて帰ってくるから家のことは何も手伝えないし、祖父母宅に帰省するときも「週明けの報告レポート作らなきゃだからPC持って帰ろう。」みたいな。それでいて超過分の残業代は支給されないし。実家暮らしだからなんとかなっていましたが、一人暮らしだったらどうなっていたかわかりません。
結婚や出産だって全く考えていないわけではなかったので、このまま働き続けることに不安がありました。
それに、いつも自分のことで一杯一杯で、イライラすると親しい人にあたってしまっていて、それがなんとも不甲斐なかったです。
こういうハードな生活を送っている自分を想像したときに(ああ、転職後もまた家族や大切な人たちに心配をかけることになるのか)という思いがよぎったこともあり、23歳の私は演劇を本業にしないと決めました。
逆に言えば、二の足を踏んでしまう時点で業界に飛び込んでも続いていなかっただろうとも思います。今はこれでよかったと納得できているし、我ながら穏やかな日々です(今までの人生がわりと鬱々としていたので、こんな調子のよい日々が訪れると思っておらず、ありがたく、うれしく感じています)。
余談ですが、制作現場のリアルが知りたい方は超きくちゃんさんの動画がマジでおすすめです。
「演劇をつくりたい人じゃないんだね」
舞台制作の最終面接で「現場で制作を経験した後はプロデューサーになるわけですが、どんなプロデューサーになりたいですか?」と聞かれました。「広報やマーケティングの知識を持ったプロデューサーになりたいです。内輪で消費される演劇ではなく、新規顧客の獲得まで視野に入れた公演を企画していきたいです。」みたいなことを答えた気がします。たしか。
で、その前後でのやり取りを含め「演劇をつくりたい人じゃなく、宣伝したい人なんだね。おもしろいね。」的なことを言われた気がします。たしか…たしか……(うろ覚えでスミマセン)。
このときメチャクチャ「そうなんですよ~~~~(^^;」という気持ちになりました。そ、そうなんですよ……自分、脚本書いたりとか0→1の行為よりも、宣伝美術とか広報とか1→100の行為が好きでして……という気持ちで満ち満ち(?)になりました。
そこそこ好きなことで、生きていく
「1→100が好きだったら広告やPR系で就職っていう選択もアリじゃない?」と思われるかもしれませんが、厄介なことに自分は「演劇などの『創作物』の宣伝が好き」という少しニッチな欲求の持ち主です。
この欲求を満たそうとすると、恐らく下記の3択になります。
①どこかの劇団の広報になる
②グラフィックデザイナーとして劇団からの依頼を待つ
③制作として現場から経験を積み、プロデューサーになる
④自分で演劇ユニットを立ち上げて責任を負いつつ、自由に振る舞う
①はそもそも立ち上げメンバーにならない限り募集していないであろうポジションだし(というか広報ができればどの劇団でもいいとは思えないし)、②になるにはデザインスキルが未熟過ぎるし、③になるには労働環境に耐え続けなければならないわけで。④は完全に趣味レベルの話ですし、しかも①と②に関しては雇用形態や給与の問題も関わってきます。
考えに考え抜いて「そこそこ好きな仕事」で働くことに決めました。
趣味としての演劇
「あら、じゃあもう演劇はやらない?」と言われれば、全然そんなことないです!!全然そんなことないです!!!!(クソデカ声)
本業じゃなくても、プロを目指してなくても、演劇は続けたいと思っています。
「プロを目指してないんだったらおままごとでは?」とか、「会社員が演劇をやるなんて、演劇に専念している人に対して失礼なのでは?」とか、色々頭をよぎったのですが、自分の中では「趣味としての演劇があってもいいよなあ。」というゆるい結論に達しました。
演劇はプロを目指している方が多い分野です。
プロとアマチュアの境界も曖昧で、趣味にするにはお金も人も関わり過ぎるところがあります。趣味といってもハラスメントや感染症の対策もしっかりする必要があるし、なんだか本当に、力の入れ方がむずかしいなあと思います(コスプレと似ているかもしれません)。
特に、最近はクリエイター向けのツールが個人でも購入できる時代になりました。簡単にクオリティの高いコンテンツが作れるようになり、演劇に限らず、アマチュアとプロの境界線が揺らいでいるような気がしています。
一方、趣味が高じてプロデビューされる方も増えており、プロとして求められるレベルは年々上がっているようにも感じる昨今です。
そんな時代に流されたこともあってか(?)、自分の中で「演劇は本業じゃなくてもいいかもしれない」と踏ん切りをつけるに至りました。
でも「演劇は一切やらない」と0⇔100で考えるつもりはありません。
やっぱり、一会社員としてであっても、演劇には関わり続けていたいです。たとえ趣味だとしても、一生懸命、手を抜かずに楽しみたいし、学んでいきたいなと考えています(もちろんプロとご一緒する場合は、迷惑をかけないように食らいついていきながら)。
会社員(23歳)と演劇
話が脱線しますが、わたしは多分、みんなで集まって何かを作るのが好きなだけです。それがたまたま演劇だっただけで、スポーツが好きだったらスポーツクラブに入っていたと思うし、音楽が好きだったらバンドを組んでいたと思うし、コスプレが好きだったら併せをしていたと思うし、二次創作が好きだったらコミケとかにハマッていたと思います。
あと、かなりプライベートな話をすると、サークルの人たちにもう一度演劇をやって欲しいな~という気持ちが根底にずっとあります。そりゃプロにはならないかもしれないけど、一緒に演劇をやっていた人たち、本当にかっこよかったので。色々と都合がつけられないかもしれないけど、また何か一緒にできたらいいなあ。ゴリゴリの正社員たちが集まって、それこそ仕事と趣味のサイクルをまわせたら最高だよなあ~ということを、最近は考えています。
例えばユニットを作るのも楽しそうだし、WEBサイトを作るのも楽しそう。ラジオ企画も面白そうだし、写真もたくさん撮ってみたいし撮られてみたい。演劇をきっかけに互いに知見が深まれば、これ幸いといった次第です。
ただ上記のとおり、自分は脚本を書いたりといった0→1を生み出す行為が苦手なので、人を集めるきっかけに欠ける人間なんですよね(詰みゲー)。自分から声を掛けるのか、声を掛けられにいくのか、これはどうなるかわかりません。
「納得」はすごいぞ
完全にオチを見失っている。
えー、何が言いたいかというと、「1番やりたいことを仕事にしなくても人生が面白そうでよかった。」と安心しているということです。傍から見れば「色々書いてるけど、要は夢を叶える覚悟がなかっただけでしょ?」って感じだと思うのですが、ところがどっこい、自分でもびっくりするくらい絶望していません。むしろ前向き。超元気。人生で一番安定を感じている。ひゃっほい。
私も大学生まで「好きなことを仕事にできなかったヤツがつまらない大人になるんだぜ!」と思っていました。予定通りいけばもっと絶望しているはずだったのですが、2番目にやりたいことは仕事にできているし、その選択のおかげで生活を大切にできているし、1番やりたいことも続けられそうなんだよなあ~と思うと、自分なりに一生懸命考えたので悔いなし!という心持ちです。
すごい!!これが「納得」の力!!!!
おもろい大人になりたいわ
……と、まあこんなことを言ってられるのも、仕事がわりと暇な今だけかもしれませんが。なんだか長いくせにはっきりしない文章になってしまいました。まあ、お気持ち表明だったのでこれでヨシとします。
あわよくば、何かに悩まれている方の参考になれれば幸いです。
今日はここまで。唐突におわります。
お読みいただきありがとうございました!
「ほ~ん、なかなかよかったですよ。」と思われた酔狂な方は、以下よりサポートいただけましたら幸いです。気が向いたときだけで十分です。ありがとうございます。