【思い出すこと】わったいむいずいと
私は沖縄という小さなシマに住んでいるので、ときにジンガイ(外人)から話かけられることがある。
5、6年前だったか、ビーチ(海浜)にたまたま行って、座っていると、白人の女がズーミギ(水着)姿で、のこのことこちらへやってきて、
「ワッタイムイズイト」
と急に言ったことがあった。
「え、えーっと……とぅ、とぅーおくろっく、あばうと」
と私がこたえると、
「テンクス」
と言ってその女は、白くて脂身が多すぎる尻と腰をぶりぶりと振って、向こうに行った。
このエピソードは現象としてこれで終わりなのだが、思い出すと、腹が立つ。立ちませんか。それとも、勃ちましたか。
私は腹が立つ。
たとえば私たちがニュー・ヨークなどに行き(行ったことないけど)、ブロー・ド・ウェーなどで、そこらの南蛮人をつかまえ、「今何時?」と日本語で訊いたらどうだろう。
無視(むし、或いは、ムシ、また、虫)。だろう。無視ならまだましで「は? 英語喋れやコラ」「ここはアメリカだ」「有り金すべて出せジャップが」などと、蟹が横に這うような言葉でめっちゃ煽られる可能性もある。こわ。
ちなみに「そうねだいたいねー」という人は日本通で、サ・ザン・オール・スター・ズファンかもしれない。
ちなみに私はあまりサザンが好きではない。殊能センセーは好きだったみたいだが、ボーカルの顔と声が気に喰わない。音楽はまあまあいいと思う。まあ、普通だな。
何の話をしているのか。
私が腹が立つのは、あの、マリーン(海兵隊)か何かの、年端のいかないビッチ(ヤリマン)についてでもあるし、そして何より、それに対する私の態度である。何が「え、えーっと……とぅ、とぅーおくろっく、あばうと」だ。情けない。
あのとき言い忘れていた言葉が、時をこえて、ずーっと思っている。
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