【特別講義】ミステリを簡単に書ける方法を、とくべつに無料でおしえます
私はミステリとかSFとかを書く頭脳には恵まれていませんが、それでも書くことができます。それも簡単に。私にできるので、あなたにもできると思います。ある程度の文章力は必要となりますが、そんなに難しく考えなくともよいです。
方法は三段階です。
1.出典を決める(好きなミステリ小説をつかいましょう)
2.設定をすべて自分の身の周りに置き換える
3.書く
以上です。できそうじゃないですか?
実際に、ちょっとやってみましょう。
出典は『犬神家の一族』にします。設定を私の身の周りに置き換えます。場所の那須湖畔を、ちかくにある龍潭(池です)にします。池端町とか当蔵町、あるいは大中町か儀保町にします。
元の小説には富豪が住んでいますが、富豪の知り合いはいないので、個人商店とします。この個人商店は、年老いた夫婦がやっています。積極的に商売をしているわけではなく、親から引き継いで、娘がやっています。娘はよそに嫁いでいて、そこに住んでいるわけではありません。
商店の二、三階はアパートになっていて、家賃収入もあると思います。娘と、その夫は、よそからわざわざ通ってきて、商店を営んでいます。なぜかというと、その商店は地域の重要なコミュニティを担っており、近所の老人や、子どもたちはこの店がだいすきです。
店内は昭和です。わりと広いです。椅子があちこちに置いてあり、子どもたちが座るスペース、老人が座るスペースは一応きまっているかんじです。
子どもたちは椅子にすわってお菓子を食べたり、アイスを食べたりします。そしてスマホを見ます。
老人はすわって酒をのんだり、お茶をのんだり、べらべらおしゃべりをしています。いつまでも。
子どもたちは店外の階段などにも座り、みんなでスマホを見ます。ワーワー盛り上がって、うるさい、と怒られることもあります。多いときには、十人余りがあつまって、見ているだけで暑苦しいです。
店外のあちこちに灰皿があり、また猫用の餌皿と水皿があります。猫が異様にいっぱいいます。近所のマンションに住むおばさんが、マンションの敷地内は餌やりが禁止されているため、この商店に来て餌をやります。餌はおばさんの手作りです。
このおばさんは内地の人で、沖縄に嫁入りし、旦那さんは数年前、大腸がんで亡くなって、おばさんは現在ひとりぐらしです。子どもたちはそれぞれ家を出ています。孫もたぶんいると思います。
ほら、どんどんキャラクターがととのってくるでしょう?
犬神家の人々を、これらのキャラクターに置き換えればよいのです。スケキヨとかも、近所には妙な人がたくさんいるので(たとえば大地主で一度も働いたことがなく、年中よっぱらっているおじさんとか)こういう人に置き換えます。野々宮家、青沼家なども、適当にあてはめていきます。
名探偵金太一耕助は、このキャラクターは重要ですので、ちょっとよく考えます。私、ということにして、一人称視点で語ってもいいですし、近所の塾に通う、進学校の高校生のひとり、にしてもいいです。現役で東大に合格した子も知っているので、夏休みに帰省したその子を金田一にしてもいいです。
さあ、もうほとんどできました。殺人トリックは、そのまま使ってもいいですし、アレンジしてもいいです。アレンジしたほうが、良心的かもしれません。
有名な、湖に上半身をしずめて、逆立ちするように死んでいるシーンでは、龍潭をつかいます。
はいはい、はい。
できました。ここまで来れば。
あとは、書くだけです。簡単。
さあ、書きましょう!
この方法はミステリだけでなく、SFでもホラーでも、冒険小説でも恋愛小説でも何にでも通用します。
出来上がった作品は、『犬神家の一族』には似てもにつかない、あなたの書いた物語になっています。必ず。
さあ、やってみましょう。私はあなたの、あなたの場所の『犬神家の一族』が読んでみたいです。
ぜひ、書いてください。
以上になります。
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