【掌編400文字の宇宙】大韓民国国防部
中国から、尖閣諸島付近で大規模な爆発があったという電信が入った。26分前にマグニチュード9の地震があり、何の前触れもないことから北の攻撃ではないのかという質問が青瓦台から入ってきていた。
ジョンミンは夫と、三人の娘たち家族のことが心配だった。先ほどから何度もステラ・フォンにコールしていたがそもそも電波がつながっていなかった。
ミヨン。と思った。三人目の娘だ。
「長官。空軍に緊急指令をされますか」
「米軍は」
「連絡がとれません。街も、滅茶苦茶です……」
「38度線は」
「とくに動きはありません」
どうしよう。どうすればいいのだろう。今年で定年なのに。
デスクのホロ・フォンが鳴った。ボタンを押すと、大統領の上半身が中空に現れた。
「長官、書記長が君と話したいと言っている」
「わかりました」
書記長が浮かび上った。夫だ。
「ジョンミン、無事か」
「はい。あなたは」
「こっちは大丈夫だ。ミヨンは」
「わかりません」