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【連載小説 中篇予定】愛が生まれた日(66)それでみらいはどうなったのか…未来は今
今では大物映画監督になった人、名まえが思い出せない。なんとかという人。
当時おれは職場の何とかいう女の人に見込まれて新作映画の批評を書いていた。上映前の、仮上映のあれ、なんというのかそのあれもわすれた。
『鍋の中』という小説がある。読んではいないが映像で観たことがある。なんとかという女性のひとが書いた作品で、監督はだれだったか。呆けた老女の話である。原爆を経験した人。花火と空襲をまちがえてパニックになる。
もうああいう感じになってきた。近づいているのが分かる。
それはさておき、大物監督のデビュー作なのかな『メメント』という作品を観た。これは大物監督の弟が脚本を書いていたと思う。
新作映画のレビューを書くときの条件は、けなさないこと。である。悪く言ってはならない。よしあしは別に、読む人が観たいと思うように書いてと言われた。
心が千々にちぎれるほど難しかった。というのも映画というのは次々に作られ、そのほとんどは本当に下らなかったからである。当時、ただで(仕事で)観た映画のほぼ全てはくだらなかった。
くだらないのに「読む人が観たいと思うように」書いた。売春をしているような具合だった。だってどう考えても見る価値のない、洗剤と香料で胡麻化した排泄物のような動画だったのだから。
しかし、おれは給料とは別に原稿料を貰っていたので、それなりに頑張った。金というのは、こうも馬鹿馬鹿しいものだと骨の髄でおもった。
そんな折に『メメント』を観た。おれは夢中になった。レビューも夢中で書いた。いい文章だったと思う。記憶と、時間についてしつこくしがみついて書いた。二十年以上前の文章だ。五千円もらった。金はどうでもいい。どこかで読めないのかと思う。
その後『メメント』の監督はおれでも分かるぐらいの才能の持ち主であったので、とんとん拍子に出世した。現在に至るまで沢山映画を撮っている。
バットマンの映画も撮った。これも多分観たと思う。気に入らなかった(おれにはね)。
以降、この人の映画は観ていない。ベートーヴェンみたいな人なのだと思う。
勿論ベートーヴェンはきらいではないが、自分的には重い。肩が凝る。
バッハやモーツァルトの方がいいのかな。
どうだろう。
クラシックは嫌いではないが、ポップの方が好きである。或はロック。
いや、ロックもロックで。
歌いやすい曲が好きである。うたうのがすきなので。
民謡派なのかな。結局南極。
フォークは思想によって夾雑されているので、やっぱ民謡かな。
テクノも好きです。
本稿つづく