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【連載小説 中篇予定】愛が生まれた日(71)町の子と街のこと島のひとびと

 おれ(JJ)は町に育ったのだが、まちといっても外れのほうだったので森とか杜、原野の風景がなつかしい。といっても田舎育ちというような柄ではない。なんというか境界線の人類なのである。

 小学校の頃に通っていた塾で、おれらが那覇に行くと言うとセンセイが「あのなあ、那覇の子というのは数が多いしいろいろいる。おまえらのようにのんびりとはしていない。気をつけろ」といわれた。

 その頃はモノ・レールもなかったので那覇に行くには29号線まであるいてでて、バスにのって行った。29号線というのは多分県道で、たぶんバス・ターミナル(久茂地らへん)が起点で、那覇、首里、西原、中城、北中城、普天間、宜野湾あたりまでの道路である。

 このうち、首里、西原、中城は人が住んでいるだけである。基本的には。というか西原はまあまあひらけてきてはいる。北中城というとライカムがあるので最近かなりアツい。マンションも一億円ぐらいする。丘の上は。普天間等は人口密集地域であり、米軍のヘリが大学に落ちたこともある。この基地はいつ返してくれるのか、知らん。怪しい歴史検証的見地からいうと、普天間というは基地ができてから人口が密集したので、この密集した人口は基地外の被害は甘んじて受けて文句を言うべきではないらしい。ようわからん。

 宜野湾というのは浦添の次の北で、人がいっぱいいる。つーか中南部はどこもひとでいっぱいなのだが。宜野湾人の自慢はコンベンションセンターである。シドニーぽい建築物がある。大量に金をかけ、維持(遺児)にたいりょうに金を費消している。

 しかしまあ、結局南極この北の、北谷(ちゃたん)とか、嘉手納(かでな)とかいう所の方が顔が大きい。金もたんまりもっとる。このふたつはどちらも町なのだが、市町村合併なぞどこ吹く風で手前のところでどうでも踊ってゆける。何しろ金がある。

 といってやはりアツいのは北谷町であろう。ホテルもあるし商業施設もなんでもかんでもある。ガチマジスポットである。

 一方、嘉手納というのは人が住むというか、ほとんど空軍基地である。極東最大。浮沈空母。といっても小学校も中学校も高校もある。高校は甲子園に出たこともある。つい最近。

 南部から見ると、中部というのは騒音的に人が住むところではないと思う。しかし逆に中部のひとにいわせると騒音なぞどうでもいいらしい。慣れるとのこと。そうかな。全体的に公平に見て、中部の人は荒っぽいしすぐ喧嘩をするので、慣れているのではないと、判断せざるを得ない。

 あんなもんに慣れるわけがない。そもそも。なれていると思っている(おもわされている)だけで、南部的一方的審級で見ると、こころがすさんでいる。

 基地がある場所のひと、そのひとの子どもたちはあれる。

 完全に不平等だから。

 基地外がおおくなる。


本稿つづく

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