【掌編400文字の宇宙】スキャットマン・ジョンと結婚式の二次会
二十一年前に結婚式と披露宴があった。主役はJとJ。北野武が監督した『ソナチネ』で、主人公がマシンガンを持って突入したホテルがその場所であった。映画公開の十年後に二人は結婚したようである。
宴というのは異様に酒をのむので出席者たちの記憶は朧である。
二次会は多分「A」というJの親戚がやっているスナック。このスナックは現在もある。バブル風の造りで、急坂の途中にあり、店内は海底みたいな感じ。大きな岩が壁にそってしつらえられていた、気がする。
ここで当時二十代の若者たちの宴が繰り広げられ、ゲームなどもあり、盛り上がってJはスキャットマン・ジョンの歌をカラオケでうたった。しどろもどろ。酔眼朦朧。笑い声とブランコ。ゆれる屋根。
その後、三々五々となり、身近な人たちで鳥堀のJの実家に行った。そこでも酒宴がひらかれている。三線の音。パン工場に勤める人の歌が印象的であった。
沖縄の結婚式は中々終わらない。
◇参考
『ソナチネ』(北野武 Youtube)