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【連載小説 中篇予定】愛が生まれた日(74)2007年新井ビルの屋上での座禅ボーイ(ひとり)……雨、自民党の下野

 西村がソファに眠るゆきむらの介抱をしていた。だきしめんばかりにというか、手も握っていたし、その胸に頭をのせていた。男と男。

 まあ、こーゆーこともあるのだろう。

 異性愛者は多数派だが、かずがおおい。それだけのことに過ぎない。同性愛者(或いは両性愛舎)は一割はおる。知ってる。これでももう、こう見えても三千年は生きて来ているのだから。

 ボーイ・ミーツ・ガール。B to B.

 G meeting.ゆるゆるゆり(百合)ら。

 私(JJの5次元ソンザイ)が、最初で最後の子が産まれるのを待っているときに読んでいた本に、玉川沿いの女子寮の話が出てきた。マゾヒスト(犯罪者)の告白。

 曰く、水洗になるまえの、便所の溜まりに潜む。

 べんというは新鮮でないと口にはできないらしい。ふるくなると、死を招く。だったらなんだ、死ねよ。

 頭上をみあげると便器にまたがる女の股。

 糞尿のシャワー。

 これを全身をもって受け止める。舌を出して。三寸に魂を込めて。

 よごれる。

 汚れたい。大饗(汚穢)。

 ワイルド・アット・ハート。

 許せない。かんぜんはんざい。嫉妬で狂いそうになる。

 ざっへる・まぞっほ。『毛皮を着たヴィーナス』

 死ね。死ねしねしねしねはんざいしゃども。

 うつくしいクニに似つかわしくない変態たち。

 旅行記ならまだいい。伝聞ならゆるそう。

 しかし。

 どうも。

 ルポルタージュ風に書きやがって。本当に在ったことみたいやっし。

 けしてゆるすことはできない。

 おれの先にいくな。

 おれのまへに立つな。

「ラヴ・ストーリーは筑前煮」という言葉がこの世にはすでにある。

 これ、どうにかして発症(発祥)はおれと云うことにできないだろうか。

 すべてを手にしたい。起源を。機嫌をとりつつ自分の。

 そうしてようやっと日々をこなしている。

 おれが最初に言ったといわせて欲しい。その手柄だけでいい。著作権なんてどうでもいいから、判明するのは十数世紀後でもいいから。

 さいしょはおれだとゆーことにしてくれ。

 たのむから。貸した金のことなんてどうでもいいんだ。

 こちとら生まれ墜ちてけふまで、金に困ったことなんてただの一度もない。あるけどない。

 墓も銅像もいらない。

 ただ、記憶にのこりたい。あんたのハード・ディスクの1Kの片隅に。

 忘れてほしくない。覚えていてほしい。

 こんな、救いようもない異性愛者がいたとゆーことを。

 My name is JJ.

 


本稿つづく

#連載小説
#愛が生まれた日


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