【連載小説 中篇予定】愛が生まれた日(72)オリンピックの遺した傷跡
どういう話であるのかほぼ忘れてしまったのだがはなしを再開しよう。さいかいはつ。参加することに意義がありけり。
いつだったか忘れたが、福岡県は五輪の開催を拒否した。やったらええのにと思ったがいまおもうと賢明な判断であった。
五輪ピックというのは現状、スポーツでひとびとをだまくらかして、裏でウラマンナメナメやウラガネーゼたちが懐をあたたかくするだけのイヴェントに成り下がってしまった。クーベルタン男爵がこれを見聞きしたら、さぞかしお嘆きのことであろう。
京の東のトーキョー、そこから西の練馬の先の西東京というところがあるが、そこでもコロナ禍の折は外出自粛等がされていたと思う。変なちいさなマスクはすぐに捨てられ……色々あって射殺事件もあった。
それはさておき。
わたしには、というかわたしたちには夢がある。
We have a Dream.
ひとびとが安心して暮らす。子どもたちが笑っている。町角にちょろちょろと行き交うちいさな人たち。「あぶねーんだよ。前見てあるけアホが」とか。
学校では「のびのびのんき君、あのなあ、きみは一体全体どうやったらこんな点数がとれるのかね」。舌を出すのびのびのんきくんは指でゼロ点の答案用紙をつまんでいる。教室にわらいごえ。
会社ではひめたる恋ごころ。味わいどころ。発情期。「おほん、ちみたちねえ、最近たるんではおらんかね。こーゆーことでは、おほん、給料が出せませんねえ」。秋の強い風が職場に吹き渡る。部長のズラがずれにけり。くすくすという目尻たち。
車椅子を押して、段差でチリンと鈴が鳴る。臨済宗龍門寺。
泥酔する老爺。煙草を吸う老婆。
若者たちの口喧嘩と殴り合いと止めにはいる町の顔役のどなり声。
○○家では葬式を出している。「えーっと、本日はおいそがしいなか、父の父の子の息子の父の葬儀にご出席いただきありがとうございます。父の父の子の息子の父は、几帳面な性格の反対のその真逆のうらがえしのたちで、生前はみなさまに大変お世話になりました。家屋敷を売り払ってどうにかこうにか、年内にはお借りしたあれもお返しいたします」
こういうのでいいわけ。これがいいの。明朗会計貸し借りなし。飛ぶ鳥あとを濁さず往生要集。
なのに。
そりゃ考え方ややり方はいろいろあるんだろう。しかし目指すところはおなじなはずだ。
話し合う必要があるし、まずはそれぞれお互いの立場やセツメーや事情を慮って、日本語を、ことばを鍛えないといけない。たがいを誹謗、中傷(抽象)ばかりしおって、何を言っているのかそもそも全然わからん。しょーもない下品な言説ども。
どんどんどんどん。怒りが溜まる一方だ。さっさとおさらばしたい。
道がみえない。どこに向かえばよいのか、誰に会いたいのか、何をはなしたいのか。
願わくば、小惑星よ墜ちてきて、この星を粉々するとよい。
というわけで。
まあ、それはさておき(笑顔)
本稿つづく