【掌編400文字の宇宙】「シャングリラ」外伝
電気グルーヴに「シャングリラ」という曲がある。名曲である。
夢でキスキスキス キスキスキス
という歌詞があるが、これは当初、
糞にキスキスキス キスキスキス
というものであったという。これを聴いたプロデューサーかそういう人が「あのなあ…曲はいいんだから、アホか」ということで歌詞を変えさせたらしい。
「糞にキスキスキス」のままだったら、ここまでヒットはしなかったに違いない。お笑いソングとして残ったとは思うが(何しろ曲はいいから)。
若気の至りというか、悪ふざけである。若いというのは、バカであるということである。何もわかっていない。故・野村克也監督も「人間は五十にならないと何もわからない」という旨の発言をされていた。
というかこのエピソードは、作り手だけにすべてを任せてはいけないという好例である。
人というものは何にしろひとりでは何もできない。どんなに才能があるにしても、そうであるのである。