見出し画像

【連載小説 短篇予定】美の骨頂㊱HOTEL at Tsuji......長女は、水商売に向いている

 いまだ解明されていませんが、なぜか長女は、水商売に向いています。

 未来のための犠牲は、まずは弱いものというかその世話をしたがる人に集中します。負荷が。

 長女というのは、ひとの世話が好きです。「たすけて」人にと云われて、無視できるのは、長男と末っ子だけです。

 というのも、長女は今しか見えていないし、亡霊の奴隷なのです。

 わたしたちはこの弱みに付け込んで、仏国ではあれ、そして江戸期はお七という風に、鳥居の向こう、奥に、奥武、奥の院、原因、すべてを押し付けてセーラー服を着せたり、スカートを短くしたり、好きなように躾けて、吉原、離れ島のなんとかとか。

 幽霊は、まず、女のかたちをしています。あとは少女とか。ほかには僧形。

 ようするにここ最近、弱みを背負ったひとたちの記憶の形なわけです。

 女。

 あるいは僧。教父。牧師(墨子)。

 恐怖。

 何が怖いのかわかりますか?

 わたしは、よくあれですが。おそらく。

 血です。平安朝の日記にも書かれていなかった、そして今もあんまり書かれていない、なぜか書かない、報告のすくない、経血についての文章が圧倒的に不足しているのです。

 夏来にけらし、といふ山腹の白い布には、おそらく血の痕があったはずです。

 それを詠まないといけまへん。

 そうでなければ、今のままでっせ。

🎤

 それでいいならいいですけど。

 岡田、バース、掛布。バース、掛布、岡田。岡田、バース、掛布。

 話しなはれ。

本稿つづく



#連載小説
#短篇小説
#美の骨頂

いいなと思ったら応援しよう!