【掌編400文字の宇宙】リーランドのパンチパーマ
パンチパーマの発祥は北九州市である。アメリカ人旅行者のリーランドはあるときこの発祥地である床屋でパンチパーマを当ててもらった。というのもリーランドは理髪の免許を持っていて、興味があったのだ。
出来上がった髪を見て、「funny」とリーランドは思った。気に入ったようである。
本国に帰り、故郷のシアトルでリーランドは理髪店を開いた。親と銀行から出資してもらった。腕がよかったので、店は流行った。数年で借金を返し、人も雇うようになった。支店を出したらという人もいたが「自分は一人しかいないから」とリーランドは言った。
ある日、常連客にパンチパーマというのがある。日本で学んだという話をした。客はおもしろがってやってくれと言った。出来上がると「黒人みたいじゃん」と面白がった。他にも何人かパンチパーマをして欲しいという客がいた。流行りはしなかった。
今年の春、残念ながらリーランドは交通事故で亡くなった。
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