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【私小説】水仙①

 あるとき、おかあ(私の妻)が不思議なことを言ったのを覚えている。いまのわたしはものも喋られなくなり、五体も満足に動かせないが、そのかわり心が随分と楽になった、いままでは周りに気を使い、空気を読む生活を強いられ、自分はそれが苦手でくるしめられてきたが、今はもうそれもしなくともよくなり、周りの人たちに世話をされるのも仕方のないことだと、周りの人たちがそう思ってくれるからだ、と。

 私は男なのでよく分からないが、女というのは余程生き難(にく)いものらしい。

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