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【特別企画 夏の怪談】ブラウン管の鬼⑦怪奇現象分析家JJ

突如、テレビの画面に出てきた鬼が「玄関に行け」「靴を並べろ」と云って消える。翌日、団地の部屋に警官が来て、昨夜この家から飛び降りがあったと通報がありました、という。

ブラウン管の鬼

 MBの話はこれで終わりである。私(JJ)は当時(高校生の時)、怪奇研究家として仲間内では知られていた。JMRという私的機構を起ち上げ、怪奇話の蒐集とその科学的(文学的)分析を行っていた。

 JMR(J・ミステリ・リサーチ)によると、このブラウン管の鬼の話はこうなる。かつて、この団地の部屋では投身自殺があった。自殺というのは、死後、何度も繰り返される。あるいはその日は、彼・彼女の命日であったのかもしれない。鬼は、自殺の見届け人(鬼)である。あるいはその日、何度も繰り返された自殺の、最後の日であったのかもしれない。自殺者はようやく成仏するのかも。そこは不明であるが、鬼は、自殺者がちゃんと自殺できるよう、介助をし、また、それを見守る見届け人としてMB家族が選ばれたのである。選ばれた理由は、その部屋に住んでいたからである。

 この分析を聞き、みなは納得した。「さすがJMR」という声。

 この部活の合宿、とくに部活はしない合宿の夜は、まだ続いた。

 次に話されたのは「名護のアクセルとブレーキ」である。

本稿つづく

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