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【特別企画 夏の怪談】ブラウン管の鬼⑤

「ブラウン管の鬼」本編がはじまります。

ブラウン管の鬼

 小学校の頃、MBは団地に住んでいた。

 どこの団地なのかは、不明。MBはJS小学校なのだが、近くに団地はない。あるいはそのとき、MBは別の小学校だったのかもしれない。MS小学校だったのかも。もう忘れた。

 その日は土曜日、MB家族は外で食事をして、帰宅した。MBは焦っていた。8時だよ全員集合という番組があり、MBはこれを最初から見たかったから。車が駐車場につくと、MBは車から飛び出し、団地の怪談を駆け上がった。部屋は四階。エレベーターはない。

 鍵を開け、家に入る。居間に行き、テレビをつける。時計を見るとちょうど20時を回ったあたり。

 ブン。。。ブラウン管が温まる音。チャンネルは10、だったかな。そう10。画面は砂嵐。ん? MBはチャンネルを回す。全部砂嵐。なんで。アンテナかな。室内アンテナの位置を調整している。それでも砂嵐。

 背後に親と弟が帰宅してきた音。弟は走ってきたようだが、立ち止まる。何も音がしない。振り向くと、父、母、弟が目を見開いてテレビ画面を見ている。MBも見ると、砂嵐を背景に、鬼の首が映っている。

 絵でもなく、CGでもない、生の鬼の首。赤い鬼で角が二本ある。 

本稿つづく

#夏の怪談
#ブラウン管の鬼
#サーダカ生まれ
#8時だよ全員集合
#団地


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