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【連載小説 中篇予定】愛が生まれた日(77)ウィリアム・てるてる坊主と一蘭や二郎系、家系はそうでもない

 ウィリアム(42歳婚活ガチ勢由紀夫)は電話をしてきたときにラーメンの話をしてきた。

「へえ、あなたトウキョウから来たの」

「はい」

「二郎系食べた?」

「たべたことないです」

「ありゃりゃ、もったいない。わし行ったよ。出張のときに」

「へえ」

「雨がさ、ざーざー。外で並ぶけん、しゃーしかったわ」

「はあ」

「そんで店入ったらよ、注文のしたかもようわからんし、往生したっちゃ」

「ほう」

「んで、出てきたんが、あんた、めちゃ大盛りなんよ」

「ひー」

「まあ、余裕やったけどな。二件目も行ったけん」

「ふーむ」

「家系いうやつ。あれ、あんた好きですか」

「いや、苦手かもです」

「わしも。イマイチやったわ。あんたラーメン何すいとう?」

「醤油ですね」

「えーっ。やっぱとんこつやろもん」

「あ、はい。とんこつも好きです。うまかっちゃんも」

「一蘭食うたことある?」

「うんと、はい。一回だけ。味は覚えてないっす」

「あの味はな、ようでけとる。普遍性がある。みとけ。全国制覇するけん、そのうちな。じゃあの」

 がちゃ。

 こんな感じだった。

 ウィリアム(42歳婚活ガチ勢由紀夫)と由希子は今労災病院に居るはずだ。ユキノシタと赤ん坊と一緒に。多分(←読み返してない)

 ちなみに九州の人は鶏が異様に好きである。から揚げ、鳥天、南蛮、筑前煮。薩摩はよくわからない。豚も好きかな。熊本人は馬を生で食ふ。

 四国、中国、北陸、東北北海道はよくわからん。沖縄と関東は豚が人気。関西人は牛をこのむ。

 魚は日本海側がおいしいような気がする。太平洋側の人たちは鮪をよくたべる。鮪や鰻は近年、おいしいということが世界にバレて、取り合いっこ、養殖競争みたいなことになっている。日本の天然鰻は絶滅しそうとのこと。

 おれは島の生まれなのでやはり豚がいちばん。次に牛。次に鶏。魚はあんまり好きではなかったが、九州に来てからこのむようになった。馬はまあ、あれば食う(空)。鰹はそうでもないので、いつか四国にいってたべてみたい。鰻はそんなにうまいか?と思う。

 麺はラーメン。沖縄そば。うどん。そーめん。日本蕎麦。冷麺。米の麺。この順。ラーメンと沖縄そばはほぼ同ポインツである。そーめんと日本蕎麦もほぼ同ポインツ。

 青森には焼きそばにラーメンの汁をかけるという食べものがあるらしい。いつかたべてみたい。盛岡のじゃじゃ麺と冷麺もたべたい。

 上海で拉麺を食べたことがあるが、いわゆる日本のラーメンとは全然違う。ものすごいシンプルな味。味のついた汁に麺が入っとるだけ。調味料をいろいろ自分で入れるのが正式なたべかたなのかな。

 とはいえおれは食い物に関しては冷淡で、味がついていて、うまければなんでもよい。

 たいせつなのは寝ること。眠ることをもっとも重要視している。

 助手の雪美みたいに。こいつはソファで戦死者のように昏々とねている。

 おれも寝ようか。いや、コーフンしてねられない。

 もうちょっとだ。がんばれ。


本稿つづく

#連載小説
#愛が生まれた日


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