【掌編400文字の宇宙】アパッチ族とピルグリム・ファーザーズとピルグリム・ファーザーズとアパッチ族
安波茶(あはちゃ)交差点というのは十字路にプラスもうひとつ道が交わっている。
首里の大角座(うふかくじゃー)というのは交差点にさらに道がふたつ交わっており、いわゆる六道の辻である。
どちらも人は歩道橋。車は道。東西南北からそれぞれの用事やら事情やらが交わっている。
ある日、というか毎日右折しようと思っている。対向車がとろとろしていると「へーく(はよせえ)」と思う。横に伸びる道に停まっている車たちは「へーく」と思っている。
信号は青、赤、黄。このうち、点灯している時間が最も短いのはイエローである。人とひとの諍いはこの色のうちに大体起こる。真ん中のカラー。世界に一つだけの花と、またひとつだけのオンリー・ワンの利害がぶつかる。
パトランプが回っている。スマホ片手に保険会社に連絡する運転手、或いは同乗者。渋滞。好奇の目、アイ、ひとみ、瞳、象嵌された人形たち。
それでも人生は続いてゆく。目的地へ。