【特別企画 夏の怪談】ブラウン管の鬼①
夏といえば怪談、幽霊ばなしである。私は怪奇体験はしない、できないタイプの人間だが、怪談、幽霊ばなしが大好きである。高校の時の部活動では、幽霊が見えるという人が同じ学年に三人いた。同じ学年の部員は10名ぐらいだったから、三分の一が幽霊見える(サーダカ生まれ)の人だった。割合としては多すぎだろうという気がする。
沖縄にはこのサーダカ生まれの人が多いような気がする。十人いれば、一人は必ずいる。というかこれは沖縄の特殊性ではなく、本土においても同じだけいるのだと思う。おそらく、本土のサーダカ生まれの人は、自分がそうだということを隠している。本土は沖縄よりも文明的に進んでいるので、こういうことを言うと、頭がおかしいと思われるかもしれないと、サーダカ生まれ(本土の)の人たちは思っているのかもしれない。
沖縄はいまのところ、いちおう日本なので、先進国に属していると思われる。しかし文明が比較的遅れているようなところがあるので、このサーダカ生まれの人たちは、社会的に認知されている。学校でも、教育的な配慮がなされる。たとえば、出席日数が足りなかったり、定期テストを受けられなかったりしても、サーダカ生まれだからということで、ある程度ゆるされる。
社会というのは、いやなことがたくさんある。というよりいやなことしかない。いやな雰囲気とか、同調圧力とか、かげぐち、からかい、仲間外れ、口喧嘩、殴り合いなどが起こる。サーダカ生まれの人はこれらにくわえて、霊に悩ませられる。想像することしかできないが、霊によるいじわる、いやがらせ、つきまとい、落書き、死の秘密、などがある。きっと大変だと思う。
本稿つづく