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【連載小説 中篇予定】愛が生まれた日㉚婦人警官セシタセツコ、部下タムラ、ペトロ第一の手紙

「クリス、これをみてもきみはまだ、まだあんなことを」「ああ、和姦内(わからないの意)もう……」「え、クリス」。キスする男女(エロいやつ)。「ああ……」。焼肉屋のいらっしゃいませ(幻聴)。生まれたばかりの声(か細く、よく響く)。「まって、四郎さん。四郎さん。四郎さん四郎さん、四郎さん」。西村四郎に近づくゆきむらゆきひろ。「来るな……たのむよ、このままおれを行かせてくれ」。沈黙(一瞬)。「無理だよう」。涙声。「ばか。無理なのは……」四郎絶句。ガチャガチャ。道具を消毒して、おれが切ったユキノシタの腹の肉を縫合する由希子。スノー・ガーデンの店長があたらしく沸かしたお湯の入った大鍋を持ってくる。取っ手をタオルでつかんで。というか、このお湯いる? さっきから。何に使ってるの?

 目がぐるぐるする。生でやりはじめる白人男女。ちょっと。椅子から立ち上がる。

「パードン(英語)。ちょっと、ミスター。アンド、えっと、ミス、ミセス? ああそうか、ミズ・ブラック」

 つながりながらこちらを見る男女。

「やめてください。ここでは。だめです。プリーズ・ゴー・トゥー、えっと、そこのドアをあけて。そっちに行ってください(英語)」

 やりながらクリスとグッドマンはドアを開けて隣の部屋(ガッチング部屋、今はノロ・ウィルスの雪美が気絶している部屋)に行った。プロテスタントとポーランド正教(元福音派)の白いお尻。

 バタン。ドアが閉まる。

 めまいがする。

 ガチャ。

 また。また誰かが来た。もういいよ。

 入口(出口でもある)から警官が入ってくる。女の警官だ。

「失礼します」

 女の警官は胸ポケットから、紐のついた定期券入れみたいなやつを取り出して見せる。ふらふらしながら近づいて、見る。警察手帳である。顔写真、その他いろいろな情報。

「セシタセツコといいます。通り魔事件のことはご存じでしょう。その事情聴取を行っています。ぜひご協力をお願いします」

「はあ」

「タムラ、あんたはほかの人たちに聴いて。すいません。お名前をきいてもよろしいですか」

 おれは名乗った。タムラと呼ばれた若手の男の警官は、手帳をひらいてほかの人たちのところに行った。

「これは、ミルミルヤレルのパーティー?」とセシタセツコ。

「え。はい、そうです。知ってるんですか」

「まあね」セシタセツコはニッと口角をあげる。「あなたがつぎのディレクターなんだ。瀬川さん(ホセのこと)からLINEきてたよ」

「ああ、そうですか」

 横死(オウシ)。嫉妬(̪シット)。ファック。噛む(カム)・ウィズ・未唯(ミイ)

 隣の部屋からやかましい声がきこえてくる。

 にやり。とセシタセツコ。

 だから、あらゆる悪意、あらゆる偽り、偽善、そねみ、いっさいの悪口を捨てて、今生まれたばかりの乳飲み子のように、混じりけのない霊の乳を慕い求めなさい。それによっておい育ち、救(すくい)に入るようになるためである。あなたがたは、主が恵み深いかたであることを、すでに味わい知ったはずである。主は、人には捨てられたが、神にとっては選ばれ尊(たっと)い生ける石である。この主のみもとにきて、あなたがたも、それぞれ生ける石となって、霊の家に築き上げられ、聖なる祭祀となって、イエス・キリストにより、神によろこばれる霊のいけにえを、ささげなさい。

「ペテロ第一の手紙」第二章一節~第五節『新約聖書』1954年改訳 日本聖書協会

本稿つづく

#連載小説
#愛が生まれた日

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