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【読書記録】「畜犬談」太宰治

犬に限らず、世間がもてはやすものにどこか恐ろしさを覚え、また恐ろしさを抱きながらも愛着が湧いており、かといって怖いものと思っている手前、自分に芽生えた愛着を認めたくない。そんな捻じ曲がった感覚が集約されている、類例には適度にウザい人があり、厚かましさに辟易しつつも、かと言って自分からも好意的な態度を取ろうかと思ってしまう、でも好感を抱いているとは思われたくない、そんな面倒な感情に近い。

家族がペットをねだるが自分は乗り気ではなく、反対するも家族の懇願に押し切られて家にやってきた犬の世話を結局自分が率先してみることになる、そんな父親に私はなりそうな気がする、きっと子供には理解されないだろう、この矛盾を、好意の字面を一言も見せずに文面に起こす太宰の筆力が冴えた、無名の一作。

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