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【読書記録】「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」

自分の読書歴でSFに触れるようになったのはここ最近の数冊だが、この本は特別、来る日の技術よりも、それを背景とする人間倫理を中心に描いている。後書きでも、人間とは何かがテーマであると語られている。

主人公が無生物であるはずのアンドロイドに同情を抱いてしまう疑問を抱えてこの物語は幕を閉じるわけだが、その前提には当然のことながら、アンドロイドには同情を寄せないものであるという前提が横たわっている。我々の感覚からすると、アンドロイドと感情を共にすることは不思議ではないが、ラッダイトに端を発する機械を悪と捉える価値観が優勢な西欧文明であるからこの設定ができたのか、それともロボットと人類の融和という少し考えれば疑問も持たないであろう概念すら打ち捨てられた世界を作者が一から作り上げたのか。後者であるならばその緻密な文化設定には目を見張るものがある。

この文章を書いていて思ったが、ドラえもんって、SFだったんだな。

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