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【読書記録】「書くための文章読本」瀬戸賢一

日本語文筆の宿痾、文末表現について、数々の銘文を引きつつ、一定の解答を明文化する。これまでの「美文を見て学べ」の放任主義とは一線を画そうというもの。

とはいえセクション最後に大事なところを列挙しましたという形式ではないので、読み進めていくうちに肝となる心得が遠く彼方へ過ぎ去ってしまう。そこで以下に本書の挙げるポイントをまとめておこう。

  • 常体と敬体

    • 構文や構成を考慮して使い分ける

    • 敬体の間に常体を織り交ぜる

      • 常体の合間に敬体を挿し込むのは至難

      • 接続助詞との相性を把握する

        • 敬体の文章では逆説に近いほど常体+接助は相性が悪い

      • 文の主体性が強いほど常体

  • 過去の処理

    • 過去と現在を織り交ぜる

      • 文の主体性が強いほど現在

      • 背景説明に近いほど現在

  • キャラ立て

    • ステレオタイプの表現

      • お嬢様言葉や時代物など

    • 効果的な終助詞

  • 用言を駆使

    • 用言が短いと締まりが悪い

    • 効果的な複合動詞

    • 形容詞も文尾に置ける

    • 巧く否定する

      • 二重否定

      • 部分否定

      • 「ず」「ぬ」などの文語的否定

  • 体言止め・倒置

    • 文末焦点を利用する

    • 話し言葉を紙に落とす努力

    • 表現を遅れて追加する

    • 括弧やダッシュ

  • 問答法

    • 自分でたてた問題に自分で答える

    • 読者が疑問する体の問題に自分で答える

    • 疑問を読者に答えさせる(修辞疑問・反語)

    • 選択肢を与える

  • 感動詞

    • 効果的な詠嘆と祈願

    • 「そう」「いや」を使った問答形式に

  • 読み手を名指す

    • 2人称

    • 1人称複数

    • 読者を表す3人称

  • 省略

    • 余剰が漂い文尾が変化に富む

  • 引用

    • 引用中の文体は破天荒でいい

    • 伝達動詞を省いて歯切れよく

    • 直接引用にできて間接にできないことはない

    • 鉤括弧不要

付箋ポイント

存在文は日本語の伝統的な構文であり、デス調の文章の中に不安なく収まります。また「もつ」の他動詞構文も、「…には〜がある」という存在文に変換でき、それで違和感が生じることはありません。

文章読本の新御三家

  • 本多勝一『日本語の作文技術』

  • 丸谷才一『文章読本』(古典に重き)

  • 井上ひさし『自家製 文章読本』

  • 筒井康隆『創作の極意と掟』

複合動詞・オノマトペを使いこなす

感嘆と祈願

「あなた」以外で名指す

より対話的に「そう」「いや」

引用の「と」やその代替物がなくとも、主語や伝達動詞がなくとも、肝心なのは引用そのものです。
  子供の頃からの夢「バッタに食べられたい」を叶えるためなのだ。

引用中引用は前野ウルド浩太郎「バッタを倒しにアフリカへ」

伝達動詞の代わりに仕草が用いられる

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